ピストルスクワットの効果とやり方【できない時の解決策も紹介!】
ピストルスクワットは片脚で行なうスクワットですが、片脚で完全にしゃがんで立ち上がるというかなり難易度が高い筋トレ種目です。筋力だけでなく、高いバランス能力も要求されます。
自重だけで足りなければダンベルを両手に持つことで、強度をさらに高まることができます。ブルガリアンスクワットなどと並んで難易度と効果が高いのが特徴です。
ピストルスクワットを難なく繰り返せるとしたら筋力やバランス能力も含めたかなりの身体能力です。
ピストルスクワットができないときの解決策
ピストルスクワットはかなりハードな運動ですから、できない人が少なくありません。ピストルスクワットができない場合の解決策についてご説明しましょう。
脚力を他の種目で強化する
ピストルスクワットができない一番の理由は筋力が足りないことです。ピストルスクワットは片脚で行なうスクワットですから、両脚で行なうスクワットよりもかなりきつい運動です。筋トレ経験がない人であれば最初は難しいのも無理もありません。
ピストルスクワットをできるようにするには脚力の強化が一番の近道です。その方法としては他の種目で鍛えて基本的な脚力を強化することです。
最も効果があるのが普通のスクワットです。筋力が弱い人の場合、ピストルスクワットができない以前に普通のスクワットもできない可能性があります。
普通のスクワットでも繰り返すのが難しいのであれば、まずは自分の体重だけで行なうヒンズースクワットから始めてみましょう。脚力の強化だけでなく、ピストルスクワットができるようにするためですから、完全に深くまでしゃがむフルスクワットを行なうようにしましょう。
ヒンズースクワットのフルスクワットを20回ぐらい楽にできるようになったら、バーベルを担ぐかダンベルを両手に持つなどして負荷を重くします。そうしてある程度脚力がついたら、ピストルスクワットができるだけの脚力になっているでしょう。
関連記事
ヒンズースクワットの正しいやり方と特徴!期待できる効果とは?
バランス力を高める
ピストルスクワットが普通のスクワットと大きく違うのが片脚で行なうことによる筋力的な負担だけでなく、バランス力がはるかに必要になることです。
このバランス力は初めからある人とないの差が激しいです。バランス力がつくように特別な練習が必要になります。
深く降ろせるように練習する
ピストルスクワットは普通のスクワットのフルスクワット以上に深く降ろすことになります。その上にバランスを取るのも難しいですから、ピストルスクワットができるようにするには筋肉を鍛えるだけでなく、片脚で深く降ろす練習も必要です。
ストレッチ運動で柔軟性をつける
垂直に立った状態で片脚で完全に深く降ろすピストルスクワットの動作はかなりの柔軟性が必要です。脚を中心にして筋肉の柔軟性をつけて可動範囲を広げるにはストレッチ運動が効果的です。ストレッチを正しく行なえばどんなに体が硬い人でもかなりの柔軟性がつくようになります。
ストレッチではピストルスクワットでよく使う大腿四頭筋、ハムストリング、内転筋、ふくらはぎなどの筋肉を特に入念に伸ばすようにしましょう。
ピストルスクワットとかかとの関係
ピストルスクワットでは片脚で立って運動しますから、かかとの関係性が深いです。
かかとは浮かせない
ピストルスクワットを行なう際にかかとを浮かせないようにします。
ピストルスクワットではただでさえバランスを取るのが難しいですから、かかとを浮かしてしまうと危険です。
かかとがしっかりと床についている状態と浮いた状態ではバランスがかなり違います。
かかとが浮かないように柔軟性をつける
かかとを浮かしてはいけないと言っても、足首が硬いなどの理由でかかとが浮きやすい人が少なくありません。
かかとが浮かないようにするにはアキレス健やふくらはぎの柔軟性をつけるのが効果的です。
ストレッチ運動を継続的に行なうことでアキレス腱やふくらはぎの柔軟性をある程度まではつけることができます。
かかとの高さがあるトレーニングシューズを履く
ストレッチ運動である程度は柔軟性がつくとしても、当然ながら無限ではありません。
ストレッチをしてもかかとが浮いてしまうならば、ある程度かかとの高さがあるトレーニングシューズを履くことで、かかとが浮きにくくなります。
かかとの高さがあるトレーニングシューズであれば、あらかじめシューズの中でかかとが浮いた状態で固定してくれるからです。
かかとの下に板などを敷く
ジムでの筋トレではなく自宅でピストルスクワットを行なうのであれば、トレーニングシューズなど履かずに気楽に運動したいところです。
その場合はかかとの下に板などを敷くことで対応できます。手頃な板がなければ本でも使えます。
かかとに垂直に負荷がかかるように運動する
ピストルスクワットの動作は必ずかかとに垂直に負荷がかかるように運動するようにします。これが横にぶれたりするようだと危険です。
特に筋力が強くなってダンベルなどのウエイトを使うようになればなおさらです。必ずかかとに垂直に負荷がかかるように意識しましょう。
立ち上がるときはかかとに力を入れる
ピストルスクワットは片脚で完全に深く降ろしたポジションから立ち上がります。その際に足のつま先に力を入れて立ち上がるのではなく、足の裏全体に均等に負荷をかけながらかかとに力を入れると立ち上がりやすいです。
両脚でのスクワットでも同様ですが、ピストルスクワットではさらにバランスを取る問題もありますから、かかとの使い方がより重要です。
ピストルスクワットの難易度
大腿四頭筋や大殿筋を鍛える数多くの筋トレ種目の中でもピストルスクワットはかなり難易度が高い種目です。ピストルスクワットの難易度についてご説明します。
筋力的な難易度
筋力的に見てもピストルスクワットはかなり難易度が高いです。
片脚で完全に降ろしたポジションから立ち上がってやっと1回です。この1回ですらかなりの筋力がないとできません。両脚での普通のスクワットの1回よりもはるかに筋力が必要です。
技術的な難易度
ピストルスクワットは技術的な意味でも難易度が高いのが特徴です。
バランスを取るのも難しいですし、可動域が非常に広いので、さらに技術的な難易度が高いです。技術的な難易度は筋力を強化しただけでは足りません。
実際にピストルスクワットを行なうことで技術的にも力をつける必要があります。
柔軟性の難易度
柔軟性がかなり高くないとピストルスクワットができません。
完全に深く降ろすわけですから、柔軟性がないと、筋力があっても1回もできないことになります。
初心者にとっての難易度
これらのように、ピストルスクワットは筋トレ経験者にとってもかなり難易度が高い種目です。初心者にとってはさらに難易度が高いです。その意味では初心者向きの種目ではないと言えます。筋トレをしたことがないにもかかわらずピストルスクワットができる人もいますが、比率にすればかなり少数派です。
初心者であれば、無理にピストルスクワットを行なうのではなく、まずは基本的な脚力をつけてから挑戦してみるのがいいでしょう。
ピストルスクワットの筋肥大の効果について
筋トレを行なう人の多くは何らかの形での筋肉の発達を求めています。ピストルスクワットの筋肥大効果について解説します。
筋肥大する筋肉部位
ピストルスクワットで筋肥大が狙える筋肉部位は大腿四頭筋、ハムストリング、大殿筋といったかなり広い範囲の筋肉群です。
肥大する筋肉だけ比較すれば普通のスクワットと同じですが、特に大殿筋などはさらに可動域が広いことでストレッチがかかるので、両脚でのスクワット以上に負荷が強くなります。
筋肥大させるための負荷
筋肥大させるためには筋肉に強い負荷をかける必要があります。ピストルスクワットはかなり強い負荷を大腿四頭筋を始めとした筋肉群にかけることになりますから、筋肥大効果はかなり高いです。
何も持たない自重だけでもかなりの負荷になりますし、それで足りなくなればダンベルを持つなどして負荷を重くすることができます。
他の種目と比べた筋肥大効果
ピストルスクワットの筋肥大効果を評価するには他の脚の種目と比較してみるとわかりやすいです。
大腿四頭筋を始めとした大腿部の筋肉を肥大させるために最も効果があるのがバーベルでのスクワットです。このバーベルスクワットと比較した場合、ピストルスクワットの筋肥大効果は及びません。
バーベルスクワットに次いで筋肥大効果が高い種目がレッグプレスマシンやハックマシンです。これらの種目と比べると、大腿四頭筋の筋肥大ではレッグプレスマシンやハックマシンがピストルスクワットに勝りますが、大殿筋やハムストリングに対する負荷で言えばピストルスクワットに軍配が上がります。
ピストルスクワットではどうしてもバランスを取るためにエネルギーがかなり使われてしまうので、大腿四頭筋に対する負荷が言えば、バランスのことをほとんど考えなくていいレッグプレスマシンなどに及びません。
関連記事
レッグプレスマシンの種類と正しい使い方!使用時の注意点とは?
ピストルスクワットは最強の筋トレ種目のひとつ
筋肥大の効果で言えば、バーベルスクワットなどに及ばないとしても、総合的に見ればピストルスクワットは最強の筋トレ種目のひとつです。
まず、鍛えられる筋肉の範囲が非常に広いです。大腿四頭筋から大殿筋を直撃し、間接的にハムストリングから内転筋までも鍛えられます。
両脚でのスクワットでもハムストリングや内転筋を間接的に鍛えますが、ピストルスクワットは普通のフルスクワット以上に可動域が広いので、筋肉の稼働率がさらに高いです。
レッグプレスマシンやハックマシンは大腿部を鍛える優秀な種目ですが、バランス能力を鍛える効果はほとんどありませんから、身体能力を総合的に鍛える効果ではピストルスクワットの方が勝ります。
実際にピストルスクワットで本格的に追い込むとかなりの疲労度になります。
疲労度が高い種目ほど効果が高いのが筋トレ種目です。
ピストルスクワットとブルガリアンスクワットの比較
ピストルスクワットとよく似た効果がある筋トレ種目として「ブルガリアンスクワット」があります。
ピストルスクワットとブルガリアンスクワットを比較してみたいと思います。
鍛える筋肉の比較
ピストルスクワットにしてもブルガリアンスクワットは鍛える筋肉がほとんど共通しています。
いずれの種目も大腿四頭筋から大殿筋を直接的に鍛えて、ハムストリングや内転筋も間接的に鍛えます。鍛える筋肉は共通していますが、個々の筋肉で言えばストレッチ感などで違いがあります。
個々の筋肉に対するストレッチ感の違い
個々の筋肉に対するストレッチ感ではブルガリアンスクワットの方がやや勝ります。
大腿四頭筋やお尻の筋肉である大殿筋などについて、ブルガリアンスクワットの方がストレッチ感が強いのは、ブルガリアンスクワットの方がバランスを取るのが簡単なことと、態勢的に筋肉をストレッチさせやすいからです。
フォームの違い
ブルガリアンスクワットでは主に運動する脚を前方に出して後方の足を台に乗せるのに対してピストルスクワットでは運動しない方の脚は前方に出します。これがバランスを取ることの難しさにつながっています。
ブルガリアンスクワットでウエイトを使うにはダンベルだけでなく、スミスマシンを使うこともできます。バランスを考えればダンベルよりもスミスマシンの方がやりやすいでしょう。
ブルガリアンスクワットでは体を深く降ろす際に重心が前方に移動しますが、ピストルスクワットでは体を垂直に動かすため、重心の位置は変わりません。
技術的難易度の比較
技術的難易度を比較すれば、ピストルスクワットの方が難しいです。
ブルガリアンスクワットよりも体のバランスを取りながら高い筋力を発揮しなくてはならないので、その調整力に技術とエネルギーが必要になるからです。しかし、これらがピストルスクワットを総合的により効果的な筋トレ種目にしています。
足首にかかる負担の違い
足首にかかる負担ではピストルスクワットの方が負担が大きいです。
ブルガリアンスクワットでも運動するのは主に前方の脚ですが、後方の脚をベンチに乗せることで足首にかかる負担が軽減されるのに対して、ピストルスクワットでは全体重が片方の足首に集中するからです。
関連記事
ランジよりきつい!ブルガリアンスクワットの効果と正確なやり方【台の高さ・頻度・回数】
ピストルスクワットとハムストリングの関係
ピストルスクワットは大腿部とお尻の筋肉を鍛える下半身の総合的な筋トレ種目です。ピストルスクワットとハムストリングの関係についてご説明します。
ハムストリングは間接的に鍛えられる
ピストルスクワットでは体を垂直に保ったまま、片脚で上下に動かしますので、負荷が直接的にかかるのは大腿四頭筋と大殿筋です。ハムストリングも間接的には鍛えられますが、レッグカールマシンやスティッフレッグデッドリフトのようにはいきません。
レッグカールマシンはハムストリングを直接的に鍛えるための専門のマシンですし、スティッフレッグデットリフトもレッグカールマシンとは違った形でハムストリングを強く刺激します。
ピストルスクワットではこれらの種目ほどハムストリングに直接的に負荷がかかりませんので、鍛える効果としては限定的です。
関連記事
ハムストリングの柔軟性の問題
ピストルスクワットとの関係でハムストリングが問題になるのが柔軟性です。
ピストルスクワットでは完全に下まで降ろすことになりますが、それができるかどうかはハムストリングの柔軟性にかかっています。
ハムストリングが硬いと深く降ろすのが難しいです。無理に降ろすとハムストリングを痛めてしまう危険もあります。
ピストルスクワットでバランス能力が鍛えられる
ピストルスクワットが難易度が高い種目だと言われているのはバランス能力がかなり必要だからです。片脚で全体重を支えて上体を垂直に保って、完全に深くまで降ろしたところから立ち上がるというのはかなりバランス能力がなければとてもできません。
バランス能力が他のスポーツ経験などで持っている人ならやりやすいでしょうが、それまであまりスポーツも筋トレもやったことがない人は片脚だけで運動すること自体がかなりのハードルになります。しかし、だからこそバランス能力が鍛えられるとも言えます。
ピストルスクワットを繰り返せるだけの筋力と柔軟性があるならば、あとはバランス能力があればピストルスクワットを効果的に繰り返せます。
最初はバランスを取るのに手間取るかもしれませんが、繰り返しているうちに適応します。難なくピストルスクワットができるようになったら、バランス能力もかなり向上しているでしょう。
ピストルスクワットを補助する方法
ピストルスクワットはバランスを取るのが難しいのが難点ですから、それを補助するには筋力の強化やストレッチ運動で柔軟性を高めるだけでなく、運動中に何かにつかまって補助する方法もあります。本来のピストルスクワットでは何にもつかまらずに自力でバランスを取りながら行なうものですが、それではできない人が少なくありません。
そういう人でもピストルスクワットを行なう際に何かにつかまればできる可能性があります。片手でつかまりやすいような垂直のバーがあれば理想的です。ジムであれば何かのマシンの一部などがつかまりやすいです。自宅であれば、家の柱や壁に手をついた状態でもできます。
ピストルスクワットと足首の負担
ピストルスクワットは片脚で体全体の体重を支えるため、足首にかかる負担が大きいです。これは避けることができません。
ピストルスクワットで足首の柔軟性をつける面もありますが、足首の柔軟性はかなりのところ先天的なものですから、どうしても限界があります。
片方の足首だけに負担をかけるというのは、かなり不自然な形ですから、決して無理をしてはいけません。違和感を感じたり、わずかでも痛みを感じたなら速やかに中止すべきです。そこで頑張った結果、足首を本当に痛めてしまっては元も子もありません。
まとめ
ピストルスクワットはバランスを取るのが難しいですし、初心者向きの種目ではないですが、お尻の筋肉である大殿筋などもよく鍛えられるので、ヒップアップ効果も高いです。ヒップアップ効果で言えば、両足でのスクワット以上です。
片脚で行なうため、普通のスクワットよりも深く降ろせて、大殿筋に対するストレッチが強くかかるからです。
最初からピストルスクワットを繰り返すのは難しいですが、しっかりと段階を踏んで鍛えれば、かなりの回数をこなせるようになります。
バランスを取るのが難しいことは、バランス能力を鍛えてくれることも意味しています。ピストルスクワットで鍛えた結果、すいすいこなせるようになったら、バランス能力もかなり向上しているでしょう。
ピストルスクワットとよく似た種目としてブルガリアンスクワットがあります。これらの種目が共通しているのが下半身全体の筋肉群を総合的に鍛えやすいことです。
ピストルスクワットはかなりハードな種目です。初心者の場合は無理に最初から挑戦するのではなく、ある程度、他の種目で鍛えてから挑戦するようにしましょう。
ピストルスクワットを20回ぐらいできるようになったらかなりの筋力です。自重だけでは物足りないぐらいに筋力が強くなったら、両手にダンベルを持つようにするといいでしょう。