筋トレ器具の種類と効果を比較して徹底検証
筋トレがアメリカなどで本格的に行なわれるようになったのは第二次世界大戦以降ですから、60年から70年ぐらいの歴史があることになります。
その間に実に多くの筋トレ器具が開発されてきました。一時的に話題になってすぐに消えたものから、長い間、普及しているものまで様々です。
ずっと生産されている筋トレ器具は効果があるから存在しています。どのような筋トレ器具が筋肉を発達させる効果があるかを検証してみましょう。
筋トレ器具の種類
筋トレ器具として開発されたものには実に様々なタイプがあります。
大別して、バーベルやダンベルといったフリーウエイト、機械的な構造を持つマシン、自分の体重を利用する筋トレ器具があります。それらの筋トレ器具の効果を検証します。
バーベルの効果
バーベルは筋トレ器具の中で最も効果があります。これは過去から現在にかけて変わることがありません。
バーベルがなぜ効果的な筋トレ器具なのかを解説します。
筋力を伸ばす効果
筋肉を大きく発達させるためにはまず筋力を伸ばすのが近道ですが、それを実現する最速の方法がバーベルを使ってトレーニングすることです。
マシンだけでいくらトレーニングしても、マシン単独ではそれほど筋力を伸ばせません。これは厳然たる事実です。鍛える筋肉にもよりますが、バーベル抜きでは筋力を大幅に伸ばすのは難しいです。
基本種目に最も効果がある筋トレ器具
個々の筋肉を鍛えるには基本種目と呼ばれる種目を中心にしてメニューを組み立てるのが筋トレの王道です。基本種目と呼ばれるものは個々の筋肉ごとに存在しています。
脚ならスクワット、大胸筋ならベンチプレス、背中にはデットリフト、肩ならバックプレスやフロントプレス、上腕三頭筋にはライイングトライセップスエクステンション、上腕二頭筋であればバーベルカールといった具合です。
特にスクワット、ベンチプレス、デットリフトは基本種目の中でもビッグスリーと呼ばれています。筋肉を大きくしてマッチョな体を目指すのであればマシンだけでいくら鍛えても到達するのはかなり難しいです。
マッチョになるにはバーベルという筋トレ器具を使って基本種目を中心にして筋トレメニューを組むのが最も効果的です。
筋肉疲労が最も大きい
バーベルがなぜ最も効果がある筋トレ器具なのかを考えると、バーベルを中心にして筋肉を鍛えた場合とマシンを中心に鍛えた場合の筋肉疲労を比べてみるとよくわかります。
マシンだけで鍛えた場合、いくら頑張ってもそれほど疲労しないのがわかると思います。これがバーベルで鍛えるとそうはいきません。かなり疲労します。この疲労の強さが筋肉を大きくします。
ホルモンの分泌
筋肉が発達するか否かはホルモンの分泌量も影響します。
分泌量が多いほど筋肉が発達するわけですが、このホルモンを最も多く分泌させる筋トレ器具がバーベルです。
バーベルで運動するのは他の筋トレ器具と比べて各段にきついですが、そのきつさがホルモンの分泌と関係しています。
神経系の発達
筋力を伸ばして筋肉を発達させるには神経系の発達が必要ですが、ここでもやはりバーベルが他の筋トレ器具を圧倒しています。
バーベルが神経系を発達させる効果が高いのは、マシンと違って自分の力で重量を支えるからです。
ダンベルもフリーウエイトである点でバーベルと共通していて、重量を自分の力で支えますが、バーベルは扱う重量が最大級です。これが神経系を発達させます。
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ダンベルの効果
ダンベルはバーベルほど高重量を扱うことはできませんが、バーベルの難点を補完してくれる便利な筋トレ器具です。
可動域が広い
ダンベルはバーベルに比べて可動域を広くできるメリットがあります。例えばバーベルでベンチプレスを行なうとバーが胸に当たるところまでしか降ろすことができませんが、ダンベルであれば、それよりも下まで降ろすことができます。
大胸筋をバーベル以上にストレッチさせることができるので、発達を促進する効果が高いです。
バーベルでは効かせられない種目も効かせやすい
バーベルでは効かせられない種目でもダンベルであれば効かしやすくなることが少なくありません。
ベンチプレスをバーベルでやるとあまり効かない人が少なからずいますが、そういう人でもダンベルでベンチプレスを行なうと、似た動作にもかかわらず効かせられることが多いです。
実際、バーベルでのベンチプレスでは効かせられない人は少なからずいますが、ダンベルベンチプレスが効かない人はあまりいません。
工夫次第でできる種目が増える
ダンベルはバーベルと並んで非常に汎用性が高い筋トレ器具です。この汎用性の高さが効果の高さにつながっています。
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マシンの効果
バーベルやダンベルなどのフリーウエイトと対極にあるのがマシンと呼ばれる筋トレ器具です。
筋トレ器具としてのマシンがどのような効果があるかを解説します。
鍛えたい筋肉をピンポイントに鍛える効果
マシンは総じて鍛えたい筋肉をピンポイントで鍛える効果があります。ピンポイントで鍛えられるのはそのように設計されているからです。これがマシンの長所ですが、短所にもなります。筋トレ用のマシンは目的の筋肉を効果的に鍛えられる反面、他の使い道があまりありません。
大腿四頭筋を鍛えるためのレッグエクステンションマシンは、それ以外にはほぼ使い道がありません。この点が汎用性が高いバーベルやダンベルとは大きく違う点です。しかし、そのようなマイナス面を差し引いても、目的の筋肉をダイレクトに鍛えられるのは大きなメリットです。
負荷が均等にかかる効果
マシンの効果のひとつが運動中に筋肉に均等に負荷がかかることです。これはフリーウエイトではできないことです。
バーベルやダンベルでは運動中に均等に負荷がかかるのではなく、最大限の負荷がかかるポイントを超えると負荷が弱くなります。例えばバーベルでアームカールをした場合、肘を伸ばした状態から90度のポイントで負荷が最大になり、そのポイントを超えると、負荷が弱くなります。
これに対して、マシンの場合、負荷が最初から最後まで均等になります。これがマシンの基本ですが、負荷がかかるポイントを調節できるようになっているマシンもあります。
そして、ハンマーストレングスマシンのように、プレス系マシンであれば押し切ったポイントで、ローイング系マシンであれば引き切ったポイントで負荷が最大化するものもあります。
ケガの危険が少ない
マシンは自分の力で重量を支える必要がないのでケガの危険が少ない効果があります。
もちろん、不注意な動き方をすればケガの危険があるのは当然ですが、完全に自分で重量をコントロールしなくてはならないフリーウエイトに比べればケガの危険が各段に少なくなります。これもマシンの効果です。
収縮系効果
ケーブル系のマシンには特に収縮系の効果があります。
ケーブルクロスオーバーマシンは大胸筋のキレを出すためだけでなく、上腕二頭筋のためのケーブルカールや上腕三頭筋のためのプレスダウンなどにも使えます。これらの種目が収縮系と呼ばれるものです。
目的の筋肉の緊張を最初から最後まで維持させるための効果があります。収縮系の種目は個々の筋肉を鍛える際の最後に仕上げとして行なうのがおすすめです。
自分の体重を利用する筋トレ器具の効果
自分の体重を利用する筋トレ器具があります。懸垂のためのチンニングバー、ディッピングスタンド、プッシュアップバーが代表的です。
チンニングバー
懸垂運動のための筋トレ器具がチンニングバーです。
チンニングは広背筋を鍛える種目の中でも特筆すべき効果があります。
ラットマシンプルダウンと動作自体はよく似ていますが、効果を比較するならチンニングの方が効果的です。
ラットマシンプルダウンでは、重量を下に引き降ろしますが、チンニングでは自分の体をバーまで引き上げます。似たような動きのようでいて、チンニングの方がかなりきつい運動なのは実際にやってみるとわかるでしょう。
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ディッピングスタンド
ディッピングスタンドは大胸筋の下部や上腕三頭筋を鍛える効果がある筋トレ器具です。
チンニングスタンドやレッグレイズマシンと兼用のものもあります。
ディップスは意外に重量を扱えます。体重だけでは負荷が足りなくなったら、ディッピングベルトにダンベルかプレートをつけて加重してみましょう。ディップスという種目は上腕三頭筋のバルクアップのためにもかなり効果的です。
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プッシュアップバー
プッシュアップバーはジムではあまり使う場面がありませんが、自宅で筋トレするのであれば、普通の腕立て伏せよりもかなり効果があります。
手のひらで体を支えるのではなく、プッシュアップバーを握ることで、運動の可動範囲が広くなって、大胸筋のストレッチ感がかなり違います。
手幅を狭くすれば上腕三頭筋を鍛えるのに効果的な筋トレ器具です。
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まとめ
筋トレ器具の効果をご紹介しました。筋トレ器具の中で最も効果的なのは上述のようにバーベルであることは過去から現在にかけて揺らぐことはありません。これからいくらマシンなどの筋トレ器具が開発されても変わることはないでしょう。しかし、いくらバーベルが最高の筋トレ器具であっても、それだけでは筋肉を多角的に鍛えるには足りません。
脚や背中などの大きな筋肉はもちろんのこと、肩や腕などの小さな筋肉であっても、最大限に発達させるには複数の筋トレ器具を使って多角的に鍛える必要があります。
ただやみくもに筋トレ器具を使っても効果が上がるわけではなく、正しく筋トレ器具を使用してこそ筋トレ効果が期待できます。