太くて力強い上腕を手に入れる上腕二頭筋と上腕三頭筋のトレーニング法
腕を太く鍛えあげるためには、いかに上腕部を意識したトレーニングを積めるかが鍵となってきます。
上腕二頭筋と上腕三頭筋を直接鍛えるトレーニング、そしてあらゆるトレーニングの補助筋群としても意識することで集中して腕の筋肉を発達させることができます。
全身の筋肉の中でもトレーニングの効果が出にくい腕を効果的に鍛えあげましょう。
1.腕を鍛えるためには
体が鍛え上げられてるかどうか、その一番の指標が腕でしょう。袖から伸びる腕は露出することも多く、最もアピールする機会が多い部位です。
筋力トレーニングを行っている人なら腕の太さでその人のトレーニングレベルが推察できますし、女性にとっても男性の逞しさをストレートに感じる場所でしょう。
しかし腕の筋肉は体幹部の大胸筋や背筋、下半身の大臀筋や大腿四頭筋などの大きな筋肉と比べると比較的小さく、効果を得るまでに時間がかかる部位と言えます。
そこで腕の筋肉を鍛えあげるための知識や効率的なトレーニング方法を紹介します。
腕は肩から肘までの上腕部と肘から手首までの前腕部に分けることができます。
上腕部はいわゆる力こぶを作る上腕二頭筋と、一般的に二の腕と呼ばれる上腕三頭筋が主な筋肉です。上腕二頭筋は肘を曲げる動作を、上腕三頭筋は肘を伸ばす動作を行う筋肉となっています。
前腕部の筋肉は複雑な手の動きをつかさどる小さな筋肉の集合体で前腕筋群と呼ばれます。手首を360°滑らかに屈曲するために使われる筋肉です。
前腕は日常的に酷使されている部位でありトレーニングの刺激に対しての反応は鈍く簡単には肥大しません。
太くてたくましい腕を手に入れるためには、上腕部の上腕二頭筋と上腕三頭筋という2つの筋肉を意識してトレーニングすることが重要です。
そしてトレーニングを行う際にトレーニング器具を握る力をつかさどる前腕部は真っ先に疲弊する部位です。つまり上腕部を鍛えることに比例して前腕部も大きくなってゆくのです。
2.メインターゲットとして腕の筋肉を鍛える
上腕二頭筋
上腕二頭筋を鍛える代表的なトレーニング種目はアームカールとなります。
ダンベルやバーベルを負荷として肘の伸展と屈曲を繰り返す運動です。ジムなどであればマシーンを使ったケーブル・アームカールも行うことができます。
上腕二頭筋のピーク作りを意識したダンベルカールの解説動画
ダンベルでアームカールを行う際は、まず両手にダンベルを持ちベンチに座ります(フォームを習得した後は片腕づつ集中して行うことも可能です)。
直立姿勢で行うこともできますが、チーティング(他の大きな筋肉の力や反動を使った補助行為)を無意識に行いやすいので気をつけます。
- 肘を脇につけて固定し、反動を使わないように上腕二頭筋の力だけで素早く肘を曲げます。
- 可動域いっぱいに肘を曲げたら、次にゆっくりと肘を伸ばします。このとき完全に肘を伸ばしきってダンベルをだらんと垂れ下げてはいけません。
以下、これを繰り返します。
またダンベル・アームカールを行う際に手のひらを上に向ける通常のフォームだと上腕二頭筋の内側に強く作用しますが、ダンベルを立てて行うダンベル・ハンマーカールでは上腕二頭筋の外側を強く鍛えることが出来ます。
バーベルでアームカールを行うときもダンベル・アームカールと同じ手順です。
ダンベルカール・バーベルカール(アームカール)のやり方 フォームの3つのポイントについて
両手で行うバーベル・アームカールは片腕づつバラバラにダンベルを持つダンベル・アームカールよりバランスが取りやすいため高重量を扱うことができます。
ただ高重量で行うときはチーティングをしやすくなるため気をつけます。
また左右の腕の筋力差により筋力が強い方の腕が強く動作に関与してしまうため両腕に均等な負荷をかけることは難しいです。
バーベル・アームカールはバーベルを握る際に手幅を広げるワイドグリップで行うと上腕二頭筋の内側に、手幅を狭めるナローグリップで行うと上腕二頭筋の外側に、より効果的なトレーニングとなります。
ケーブル・アームカールはケーブルの先にセットしたウエイトを使ったマシーン・トレーニングとなります。
ダンベルやバーベルといったフリーウエイトとは違い、肘を伸ばしてから曲げきるまでの間、常に一定の負荷をかけ続けることができます。
ただ専用のマシーンが必要ですので、ジムなどでしか行うことができません。
またジムではアームカール専用のカール台も設置されているのでダンベル・アームカールやバーベル・アームカールもより効果的に行うことができます。
上腕三頭筋
上腕三頭筋は日常のあらゆる動作で使われる筋肉です。
つまり別部位のトレーニングを行う際も補助として使われることが多く、また逆に上腕三頭筋を鍛える時は他の筋肉にも作用してしまうことが多いのです。
そこで上腕三頭筋を集中的に鍛えるためのトレーニング種目がトライセプス・エクステンションになります。
上腕三頭筋のトレーニング | ダンベル・トライセプスエクステンション
- まずはベンチプレスを行うときのようにベンチに仰向けになります。
- バーベルもしくは両手にダンベルを持ち、肘を天井に突き上げるように曲げて構えます。
- その姿勢から上腕三頭筋を意識して肘を伸展します。このとき肘の位置を固定し動かないように気をつけます。
- 肘を伸ばしきったら次にゆっくりと曲げて最初の姿勢に戻し、これを繰り返します。
トライセプス・エクステンションはベンチプレスとは違い肘の曲げ伸ばしのみでウエイトを上下させます。
胸の筋肉を使わないように意識しながら行ってください。
またトライセプス・エクステンションは構える際に顔の真上にウエイトが位置します。やや軽めの重量を使用し筋力が限界になった際の安全はラックや補助者などで、しっかりと確保するようにしてください。
ダンベルで行うトライセプス・キックバックとダンベル・フレンチプレスも上腕三頭筋に集中して鍛えることができます。
上腕三頭筋の種目トライセップスキックバックのやり方を解説
- トライセプス・キックバックはまずダンベルを片腕に持ち、それとは反対の半身の手のひらと膝をベンチに乗せて四つん這いの姿勢を取ります。
- 肘は90°に曲げて構えます。背中を鍛えるワンハンド・ローイングと同様の構えです。
- そこから脇を締めて肘をしっかりと固定し、肘を伸展させダンベルを持ち上げます。
- リレーの選手がバトンを受け取るような動作をイメージしてください。
- 肘が伸びきったらゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返します。
【筋トレ基本】ダンベルフレンチプレス dumbbell french press
- ダンベル・フレンチプレスはベンチに座った状態で行います。
- 1つのダンベルを両手で合掌するように、もしくはプレートの部分を両手のひらで支えるように持ちます。
- 肘を天井に突き上げるようにし、ダンベルが頭の後ろにくるように構えます。上腕三頭筋を意識して肘を伸ばします。
- 伸びきったところでゆっくりと元の位置まで下ろし、これを繰り返します。
3.トレーニングの補助筋群として腕を鍛える
多くのトレーニング種目は器具を手で持つ必要があります。
つまり、そのようなトレーングでは腕の筋肉も少なからず作用しているのです。
また手軽に行える自重トレーニングにおいてもフォームを工夫することで腕を効果的に鍛えることが可能です。
そこでトレーニングを行う際にフォームを少し変えることで腕の関与を増やし、腕の筋肉のトレーニングとする方法を紹介します。
チンニング(懸垂)
チンニングは背中を鍛える代表的なトレーニング種目です。
通常のフォームは背中を集中して鍛えるためのものとなっています。
つまりオーバー・グリップ(順手)でバーを掴み、手幅を広めにとったワイド・スタンスです。このフォームを変化させることによって上腕二頭筋に効果的なチンニングとすることができます。
それは基本フォームとは逆のリバース・グリップ(逆手)と手幅を狭めるナロー・スタンスです。リバース・グリップは腕に作用しやすくなるだけではなく、上腕二頭筋の内側に効きやすいという特徴があります。
チンニングで上腕二頭筋を鍛えるときにはナロー・スタンスを基本としてオーバー・グリップとリバース・グリップを使い分けるとより効果的です。
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ベンチプレス、プッシュアップ(腕立て伏せ)
ベンチプレスやプッシュアップは胸を鍛える代表的なトレーニング種目ですが、腕にも強い負荷がかかります。
さらに腕の関与を増やし上腕三頭筋を集中して鍛えるためには手幅を狭めるナロー・ベンチプレス、ナロー・プッシュアップが効果的です。
ナロー・ベンチプレスは手幅を肩幅程度に狭めて行うベンチプレスです。
通常のフォームよりも上腕三頭筋に強く作用します。
また脇を締めて行うと上腕三頭筋の内側に、開いて行うと上腕三頭筋の外側により効果が出ます。
ナロー・ベンチプレスは胸の筋肉ではなく腕を主に使うため、また手幅を狭めてバランスが取りにくいため重量を軽くして行ってください。
ナロー・プッシュアップもナロー・ベンチプレスと同じ要領で行います。床に手をつく際に人差し指と親指でひし形を作るようにして行ってください。
リバース・プッシュアップ(ディップス)も上腕三頭筋に効果のある自重トレーニングです。
- ベンチや椅子などに手をつき、足を伸ばした状態で床に腰を下ろします。
- そこから上腕三頭筋を意識して肘を伸ばし体を持ち上げます。
- 肘が伸びきったら次に肘を曲げ、ゆっくりと体を下ろし、これを繰り返します。
前のめりにならず、胸を張るようなフォームで行うことで胸の筋肉の関与を減らし腕に集中して鍛えることができます。
ディップス用のパラレルバーがあるジムなどでは全体重を負荷として使うこともできるため、ディップスは初級者から上級者まで取り入れるトレーニング種目です。
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まとめ
腕というのは日常動作で酷使する筋肉です。負荷に対する耐性があるためトレーニングの効果は出にくく、また疲労を溜めないために負荷を他の筋肉に逃がす癖も身についています。
そんな腕を鍛え上げ、太くてカッコ良くするためには何より意識することが大切です。
腕の筋肉の構造を理解し、1つ1つのトレーニング動作でしっかりと腕の筋肉の伸縮を意識してください。