正しい腕立て伏せのやり方と種類別の効果【初心者やできない人にコツも紹介!】
本格的な筋トレをやろうとまでは思わなくても、ちょっと体を鍛えてみようかと考えた人が最初にやってみるのが腕立て伏せです。
自宅で手軽に始められることもあって、なかなか続かない人が多いですが、初心者でも女性でも始めやすい腕立て伏せの効果は決して侮れません。
しっかりとした知識の下に続ければ、大胸筋、肩、上腕三頭筋、腹筋などを強化する効果があります。腕立て伏せで効果を上げるための正しいやり方をご説明します。
腕立て伏せは初心者でも始めやすい効果的な筋トレ方法
腕立て伏せは初心者が筋トレを始めるのに丁度いいです。
腕立て伏せが筋トレ初心者向きのトレーニング方法である理由と初心者が守るべきポイントについてご説明しましょう。
自宅で手軽に始められる
腕立て伏せが初心者にとってやりやすいのは自宅で手軽に始められるからです。筋トレはいきなりジムに入会して本格的に始める方法もありますが、人によっては、それではハードルが高い場合があります。
ジムに入会するには入会金や月会費といった費用がかかりますし、マッチョな人たちの中でトレーニングするのに気後れするかもしれません。
腕立て伏せはその点、誰にも見られずに自宅で手軽に始められるメリットがあります。限界まで挑戦するような本気の腕立て伏せからでなくても、ちょっと鍛えてみようぐらいの軽い気持ちで始めてもいいでしょう。
最初はできる範囲で始める
初心者が腕立て伏せを始めるに際してはいきなり高い目標を立てると意外に続きません。
誰にも見られずにできることはメリットである反面、自分の気持ち以外にモチベーションになるものがありませんから、高過ぎる目標を掲げると、それがプレッシャーになって続かなくなることがあります。
何でもそうですが、始めてみないと自分に合っているのかもわかりません。筋トレに興味を持ったとか、本屋で自重トレーニングの本を見たなど、きっかけは些細なことであっても、腕立て伏せをやってみようと思ったなら、まずはできる範囲で始めてみることです。
フォームを崩さない
初心者ほどフォームには注意すべきです。筋力がないために回数がこなせないために、かえってフォームが崩れやすくなります。
フォームの崩れ方で初心者が間違いやすいのが体を一直線に保てないことです。
お尻だけ浮いてしまったり、逆にお腹だけ先に降ろしてしまったりと、意外に体を一直線に保つのが難しいです。
腕立て伏せの正しいやり方!大胸筋に効く5つのフォームのポイントを解説
完全に下まで降ろす
腕立て伏せでも可動域の広さが効果に大きく影響します。体を一直線に保ちながら、必ず完全に下まで降ろしてから腕を伸ばすところまでで1回です。
上の方で少しだけ上下させるような動作では可動域がまるで足りません。腕立て伏せでも必ず完全に降ろすようにクセをつけましょう。
回数を毎回1回ずつ増やすのを目標にする
初心者が腕立て伏せを行なうについて、毎回1回ずつ回数を増やすのを目標にするのも効果的です。
毎回1回ずつ増やすのは無謀のようにも思えるかもしれませんが、意外にできます。
毎日腕立て伏せを続けたとして、1日に1回増やしていけば、100日続ければ100回連続してできるようになります。決して不可能な話ではありません。
腕立て伏せができない場合の対処法
腕立て伏せの効果的な回数は1セットあたり何回なのかを議論する以前に、1回もできない人も少なくありません。
男性の場合でも体重の割に筋力が弱い人であれば1回もできなくても不思議ではありませんし、女性であればなおさらできなくても不思議ではありません。腕立て伏せができない場合には次のような方法で一歩前進できるでしょう。
膝立てから始める
腕立て伏せではつま先を支点として、両手を床について運動するのが基本ですが、これでは1回もできないなら、負荷を軽くするために膝をまず立てて行なう腕立て伏せから始めてみましょう。
つま先を支点とするよりもかなり負荷が軽くなりますから、筋力が弱い人でもやりやすいです。
壁立て伏せから始める
膝立てでの腕立て伏せでも負荷が重過ぎてできないならば、その準備段階として、壁立て伏せをやってみましょう。
壁の前に立ち、床に手をつくのと同じようにして壁に手をついて腕立て伏せをする方法です。負荷が最も軽い腕立て伏せの方法です。立つ位置を壁から離れて角度をつけるほど負荷が重くなります。腕立て伏せができない人が準備段階として効果的です。
この壁立て伏せで回数を苦もなくこなせるようになったら、次に膝を立てての腕立て伏せ、つま先を支点にする普通の腕立て伏せ、という具合に段階を踏んで進化させましょう。
腕立て伏せの種類
腕立て伏せには数多くの種類があります。それぞれの特徴についてご紹介しましょう。
普通の腕立て伏せ
腕立て伏せの中の最も基本形です。
肩幅よりもやや広い手幅で床に手をついて、体を一直線に保ちながら、腕を曲げながら大胸筋を伸ばし、降ろし切ったら、腕を伸ばして体を持ち上げます。
動いているのが腕なので、腕の運動のように見えますが、主動筋になっているのは大胸筋です。他の腕立て伏せのバリエーションもこの普通の腕立て伏せの基本形が基準になります。
ジャンピング腕立て伏せ
腕立て伏せのスタートのポジションは同じですが、深く降ろしたポジションから瞬発力でジャンプする方法です。
手で着地する際に手首を痛めないように注意が必要です。普通の腕立て伏せ以上に瞬発力をつける効果があります。
拳立て伏せ
基本的なの腕立て伏せでは手のひらを床について体を支えますが、拳で体を支えて鍛える腕立て伏せが拳立て伏せです。
拳で支えるので拳と手首の強化に役立ちます。
空手をやっている人に特に効果的な腕立て伏せです。
この拳立て伏せのさらなるバリエーションとして、拳で支えながらジャンプするジャンピング拳立て伏せがあります。拳で床を叩いて鍛えるのと近い効果があります。
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指立て伏せ
指を立てて体を支えて行なう腕立て伏せです。
普通の腕立て伏せと同様に大胸筋などを鍛えつつ、指の力も鍛える方法です。
最初は5本の指で支え、指の力がついてきたら、指の本数を減らしていきます。究極的に指が強くなると、親指1本だけとか、人差し指と中指の2本だけでもできるようになる可能性があります。
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片手腕立て伏せ
両手で体を支えるのが基本な腕立て伏せにあって、片手だけで体を支えて運動する方法です。両手で行なうものよりもはるかに難しくなります。両手でかなりの回数がこなせないとできない、ハイレベルな腕立て伏せです。
片手の手のひらを床について運動しますが、さらにバリエーションとして指を立てて行なう片手指立て伏せもあります。ブルース・リーがエキビジョンで片手だけの親指と人差し指の2本指だけで体を支える片手指立て伏せをやって見せたことがあります。
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腕立て伏せを毎日できるかどうかの判断基準
腕立て伏せも筋トレ種目のひとつです。その意味で言えば、筋トレの基本である筋繊維の破壊の後に起こる超回復との関係で、毎日腕立て伏せはできないことになりますが、現実には毎日腕立て伏せを行なっていて、効果を上げている例が少なくありません。
そこで、腕立て伏せを毎日行なっても大丈夫か、あるいはどれぐらいの間隔が必要かを判断するための基準をご紹介します。
1回あたりのボリュームとの関係
腕立て伏せを毎日できるかどうかは1回あたりのボリュームとも関係します。1セット10回だけで終わりなのと100回を5セットなのとではボリュームも体にかかる負担が格段に違います。
そのため、1日にどのぐらいのボリュームの腕立て伏せをするかによって毎日できるかどうかを判断できます。
量が多ければ疲労も比例して残るのが普通です。自分の体力ではどれぐらいの量の腕立て伏せができるかを押さえておきましょう。
強度との関係
強度が高いトレーニングほど回復に時間がかかります。腕立て伏せでも同じです。
腕立て伏せの強度を高める方法には、足の位置を高くする、片手で行なう、背中に重りを乗せるなど、いろいろな方法があります。体力や筋力との関係もありますが、強度が高くなるほど回復するまでに時間がかかります。
疲労の残り方
腕立て伏せをしていることで明らかに疲労が残っているなら、その疲労が抜けるまでは腕立て伏せをするべきではありません。
筋肉痛がなくても、疲労が残っているならまだタイミングが早いということです。
回復力との関係
筋トレで疲労した筋肉や体全体がどれぐらいで回復するかはかなり個人差があります。
同じ筋肉を鍛えるには48時間から72時間空けた方がいいとされているのはタンパク合成の時間に合わせた考え方ですが、この時間にしてもそれほど厳密なものとは言えません。
自分がどれぐらいの回復力があるのかを押さえておくと、腕立て伏せをどれぐらいの頻度でできるかが判断しやすいです。
筋肉痛との関係
筋肉痛があるようなら、完全に抜けるまで休むようにします。
腕立て伏せではそれほど筋肉痛が残ることはないのが普通ですが、体がまだ慣れていない場合などでは翌日に筋肉痛が出る場合があります。
腕立て伏せで鍛えられる筋肉
腕立て伏せは上半身前面の筋肉を広範囲で鍛えます。具体的には次の筋肉を鍛える効果があります。
大胸筋
腕立て伏せで最も鍛えられるのが大胸筋です。
手幅を肩幅よりもやや広くするぐらいの普通の腕立て伏せはベンチプレスと同様に大胸筋が主動筋になります。腕で押すので腕の運動だと考えがちですが、最も刺激されるのは大胸筋です。
上腕三頭筋
大胸筋の次に鍛えらるのが上腕三頭筋です。しかしこれは、手幅を肩幅よりも広くした場合であって、手幅を狭くして上腕三頭筋を集中的に鍛える方法もあります。
肩の前面
肩の前面も腕立て伏せで鍛えられます。
大胸筋や上腕三頭筋ほど直接的な刺激は感じにくいところですが、ベンチプレスやインクラインプレスのように間接的に鍛えられます。
腹筋
腕立て伏せでは足のつま先を支点として、体を一直線に保持して運動しますので、腹筋もある程度鍛えられます。
体を一直線に保つためには腹筋で支える必要があるからです。
しかし、態勢を支えるための負荷に過ぎませんから、シットアップのような直接的な鍛え方ではありません。
腕立て伏せでの肘の使い方
腕立て伏せを効果的にするには肘の使い方も重要です。
大胸筋に効かせるための肘の使い方
大胸筋に効かせるには手幅を肩幅よりも広くして床に手をつきます。肩幅の1.3倍から1.5倍ぐらいが丁度いいでしょう。
この手幅に合わせて肘を体側から離します。肩の高さまで肘を上げたのではいき過ぎです。ベンチプレスでもそうですが、肘を上げ過ぎると肩の方に負荷が逃げてしまうのと、肩を痛めやすくもなります。
肘は脇から見て60度ぐらいが大胸筋い効かしやすいです。
上腕三頭筋に効かせるための肘の使い方
上腕三頭筋に集中的に効かせるには、手幅を肩幅よりも狭くします。
そして、降ろし切った際の肘の位置は体側につけるぐらいにします。ぴったりつけるところまで厳格にしなくてもいいですが、上腕三頭筋の軌道に合わせて軽く体側につけるぐらいの感じにします。
そうすることで大胸筋の関与率が下がり、上腕三頭筋に負荷が集中します。
腕立て伏せは女性にもおすすめな筋トレ種目
腕立て伏せは女性にもおすすめです。
女性の場合、体脂肪が男性に比べてつきやすいこともあって、体のラインが崩れやすい傾向があります。特に社会人になって運動不足になりがちな女性の方は腕立て伏せを続けることで体力をつけると共にシェイプアップにもなります。
上半身の引き締め効果
男性の場合と同様、女性が腕立て伏せを続けると上半身の引き締め効果があります。
多くの女性が痩せるために最初に始めるのが食事制限のダイエットですが、ただダイエットするよりも、腕立て伏せで鍛えた方がはるかに上半身が引き締まります。
腕立て伏せで筋肉を引き締めつつ、食事も必要に応じて制限すればさらに効果的です。
メリハリのある上半身になる
腕立て伏せで鍛えると適度に筋肉がついて、メリハリのある上半身になります。
大胸筋、肩の前面、上腕三頭筋を中心として間接的に上半身が鍛えられますから、かなり広範囲に刺激されます。
単に細い体ではなく、適度に筋肉がついたメリハリのある体ほど女性も男性もカッコいいです。
二の腕のたるみを取る
女性は体脂肪がつきやすいこともあって、二の腕がたるみやすい傾向があります。
そういうたるみはただ食事制限したぐらいではなかなか取れません。腕立て伏せで筋肉自体を鍛えて引き締めてこそ、たるみのない形の良い二の腕になります。
バストアップ効果
腕立て伏せでバストを大きくすることに関してはそれほど期待できませんが、大きさはそのままでも、大胸筋の強化と上半身が引き締まることでバストアップ効果があります。
腕立て伏せに効果的な器具
一般的な腕立て伏せでは何の器具も使いません。器具なしに手軽にできることがメリットでもありますが、手首に負担がかかることや、大胸筋や上腕三頭筋などの可動域が足りない場合があります。これを解決するのがプッシュアップバーという筋トレ器具です。
高さが床から20センチほどあり、手で握るバーがあるシンプルな筋トレ器具です。
このバーの部分を握って腕立て伏せをします。
高さがある分、大胸筋などの可動域が広くなり、普通の腕立て伏せよりも筋肉にかかるストレッチが強くなり、筋肉の発達を促進します。また、バーを握って手首を立てるため、床に手をつくよりも手首の負担が少なくなります。
値段の安いもので1000円ぐらいからあります。ホームセンターなどでも売っていて、腕立て伏せの効果をさらに高める効果的な筋トレ器具です。
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腕立て伏せの効果
腕立て伏せの効果について見てみましょう。
継続的に腕立て伏せで鍛えると次のような効果が出てきます。決して劇的な変化ではないですが、徐々に効果が出てきます。
筋肉の発達
大胸筋、上腕三頭筋などを適度に発達させる効果があります。
バーベルのように大きな負荷をかけることができないので、ガチガチのマッチョにはなれませんが、細マッチョを目指すことはできます。
負荷のかけ方を工夫することで、バリエーションが多いのも腕立て伏せの特徴です。
筋持久力の向上
腕立て伏せは訓練次第ではかなりの回数をこなせるようになります。
そのため、筋持久力をつける効果があります。
腕立て伏せは負荷のかけ方には限界がありますが、回数を増やして持久力をつけるにはかなり効果があります。
筋トレ体質になれる
人間の体は環境に適応します。
筋トレを続けている人は体が筋トレ体質になっていきます。
腕立て伏せも筋トレのひとつですから、続けていくと、やはり筋トレ体質になります。
筋トレ体質になると、体が筋トレに反応しやすくなります。
本格的に筋トレをしていて、凄いマッチョになっている人でも、最初は腕立て伏せから始めたというパターンが多いです。
まとめ
腕立て伏せは最も始めやすい筋トレ種目のひとつです。ジムに通ってまで鍛えたいとまでは思わない人、筋トレ器具を揃えてまで鍛えたいとは思わないけれど、ちょっと筋肉をつけてみたいぐらいの軽いモチベーションの人でもやりやすいメリットがあります。
自宅でちょっとした時間があればいいので、ジョギングなどよりも手軽です、
しかし、手軽であるゆえにかえって続かない面もあります。
ジムに通うのであれば会費がかかる分、その元を取らねばという気持ちがモチベーションになって続くこともありますが、腕立て伏せはいつでもできる気軽さと意思の弱さが相まって、なかなか続かなったりします。
続けるひとつのコツが腕立て伏せを習慣化してしまうことです。時間や曜日を決めてやるようにすると、習慣化しやすいです。
腕立て伏せはバーベルでの筋トレのように劇的に筋肉がつくものではありません。ある程度は筋肉が発達しますが、負荷が軽いですから、それまで着ていた服やスーツが着られなくなるとか、別人のような体格になるようなことはありません。適度に筋肉が発達していて、引き締まったカッコいい体になる感じです。
そのためにはコツコツ続けなくてはなりません。継続は力なりとはよく言ったもので、腕立て伏せにもずばり当てはまります。
腕立て伏せがきっかけになって、本格的な筋トレに発展することもあるでしょう。そのときのための基礎体力作りとしても効果的です。