マシン毎のケーブルローイングで広背筋に効かせるコツ【僧帽筋の使い方に注意!】
背中を鍛えるためにマシンが続々と開発されている現代にあっても、ケーブルローイングは依然として効果的な背中の筋トレ種目です。
ケーブルローイングとひと口で言ってもいろいろな方法があります。フロアープーリーマシンを使うのが基本的な方法ですが、ケーブルクロスオーバーマシンを使ってのケーブルローイングも効果的です。
ケーブルローイングは工夫次第で数多くのバリエーションを展開できます。バリエーションが多いほど広背筋を多角的に鍛えることができます。ケーブルローイングで効果を上げるための実践的な方法をご紹介します。
ケーブルローイングをスタンディングで行なう際のポイント
ケーブルローイングはフロアープーリーマシンのように、座って行なうのが一般的ですが、立って行なうスタンディングでもできます。その際のポイントをご紹介します。
力が入りにくいのが問題
ケーブルローイングをスタンディングで行なうと筋力の発揮という点で不利になります。立った状態でのローイング運動はウエイトに引っ張られて足場が不安定になるのは避けられません。足場が不安定だと問題なのが力が入りにくくなることです。これはケーブルを使う他の背中のマシンと比較してみるとわかります。
上からウエイトを引くラットマシンであれば、パッドがしっかりと脚を押さえてくれるので、体が浮きそうな重量であってもウエイトに体が持って行かれることがありません。
フロアープーリーマシンにしても足場がしっかりしている状態で、正面からウエイトを引くので、こちらも安定性が高いです。しかし、スタンディングとなると何も体を支えてくれないので、ウエイトに負けて体が引っ張られる不安定さがあります。
何かにつかまって運動しようとしても、片手であればともかく、両手でハンドルやバーを持ってのケーブルローイングとなるとそれも無理です。
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ケーブルを引く方向
それを解決する方法のひとつがケーブルを引く方向です。スタンディングの状態では正面や斜め方向からケーブルを引くとなるとウエイトに負けてしまいますが、斜め下方向から引くのであれば比較的に力が入りやすいです。
真下からケーブルを引けるマシンはありませんから、斜め下からのローイングが最善策になります。
正面からウエイトを引くのであれば、フロアーケーブルローと変わりないですから、わざわざスタンディングで行なうメリットもないでしょう。
スタンディングでのケーブルローイングに使えるマシン
ケーブルローイングに使えるマシンの中で、斜め下からウエイトを引ける構造になっているものとしては、フロアープーリーマシンとケーブルクロスオーバーマシンがあります。
フロアープーリーマシンはハンドルをつける位置の高さが固定されていて調節できませんが、本来なら座るべきシートの上に立つことでスタンディングでのケーブルローイングができます。このシートは幅が狭いですから落ちないように注意が必要です。
もうひとつ使えるのがケーブルクロスオーバーマシンです。運動としての構造はフロアープーリーマシンと同じですが、ケーブルの高さを調節できるメリットがあります。足場にしても、床に直接立てますので、フロアープーリーマシンよりも安定感があります。
高重量が扱いにくい
上記のマシンを使うことで、比較的に力が入りやすくなりますが、それでも完全に体が固定されるフロアープーリーマシンやラットマシンほどには高重量は扱えません。
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ワンハンドケーブルローイングのやり方
ケーブルローイングは両手で行なうだけでなく片手でのワンハンドローイングも効果的です。両手で行なう以上にストレッチ感が強くてよく効きます。
ワンハンドケーブルローイングで使いやすいマシン
ワンハンドケーブルローイングで使いやすいのがフロアープーリーマシンです。フロアープーリーマシンは広背筋を鍛えるためのケーブルローイング専用のマシンとして作られている唯一のものです。
ラットマシンを始めとして、ケーブルが使えるマシンはいくつかありますが、背中のローイングのために作られているのはフロアープーリーマシンだけです。
ラットマシンは本来的な使用方法としてはラットマシンプルダウンのように、上体を垂直に立てた状態でバーを下に引き降ろすことです。上体を大きく後ろに反ることでケーブルローイングにも使えますが、あくまでも応用方法としての話です。
このフロアープーリーマシンは本来的には両手で使うハンドルで行なうものですが、ワンハンドケーブルローイングとしても使えます。片手であるため、広背筋のストレッチが強く、両手でやる以上に効かしやすいメリットがあります。
フロアープーリーマシンをワンハンドで効かせるポイント
ワンハンドケーブルローイングをフロアープーリーマシンで行なう際にはケーブルクロスオーバーマシンで使う片手用のハンドルを使います。
手で持つハンドル部分が滑らかに回転するものが理想的です。
広背筋に効かせるポイントは肩の力を抜いて肩を落として、肩関節を中心に大きく弧を描きながら広背筋をストレッチさせることです。ここで強くストレッチさせることで、収縮したときもより効きが強くなります。
ケーブルを引く方向
フロアープーリーマシンでワンハンドケーブルローイングをする場合、ケーブルを引く方向は体の正面からになりますが、ケーブルクロスオーバーマシンなどを使えば違う方向からも引くこともできます。
ケーブルクロスオーバーマシンはハンドルをつけるアタッチメントの高さを細かく調節できますので、ワンハンドケーブルローイングでも変化をつけやすいです。
ケーブルローイングで広背筋を多角的に鍛えるバリエーション
広背筋は大きくて複雑な筋肉ですから、究極的に発達させるには基本的な鍛え方だけではなく、いろいろなバリエーションを駆使して多角的に鍛えましょう。
次のようなバリエーションも効果的です。
ワイドグリップでのケーブルローイング
ケーブルローイングのバリエーションのひとつがワイドグリップでのケーブルローイングです。
ラットマシンプルダウンで使うオーソドックスな手で握るハンドル部分が斜めに曲がっているスタンダードバー、完全に真っすぐなストレートバー、ハンドル部分が平行になっているバーのいずれかを使います。
バーには相性がありますから、自分に合ったものを使いましょう。形は似ていても微妙に太さが違うだけで効き方が違うことがあります。
ストレートバーであれば、肩幅ぐらいの手幅が広背筋に効かしやすいです。
ハンドル部分が平行なタイプのバーの場合はハンドル部分が固定されているので、バーの形に限定されます。ハンドル部分が離れ過ぎていると広背筋のストレッチ感が弱くて効きが甘くなります。
ラットマシン用のバーは上から引っ張り降ろすことを想定した設計になっていますから、ケーブルローイングとして使うことを想定していません。そのため、ワイドグリップのケーブルローイングとして使うユーザー側が工夫して対応する必要があります。
スタンダードバーやストレートバーであれば、一直線に真っすぐになっている部分が長いので、手幅を調節しやすいですが、ハンドル部分が平行になっているタイプのバーは手幅を自分で調節できません。同じ形でいくつか長さのパターンがあるなら、その中から自分に合ったものを選びましょう。
グリップ方法はスタンダードバーとストレートバーについては、手のひらを下に向けるオーバーグリップと手のひらを上に向けるアンダーグリップのいずれかを選べます。これに対して、ハンドル部分が平行になっているバーについては親指を上に向けるグリップ方法しかありません。
ラットマシンを使ったバリエーション
ケーブルローイングの基本であるシーテッドケーブルローイングではウエイトを正面から引きます。これに対して、上からウエイトを引くケーブルローイング方法もあります。ラットマシンが最もわかりやすい方法です。
ラットマシンは上からバーを引いて広背筋を鍛えることを想定して作ってありますが、上体を大きく後ろに反らしてケーブルローイングとして使うことが可能です。
ケーブルローイングに使えるマシン
ケーブルローイングに使えるマシンについて考えてみましょう。ケーブルローイングで使えるマシンはケーブルローイング専用のマシンとは限りません。工夫次第で他のマシンも使えます。
フロアープーリーマシン
フロアープーリーマシンはケーブルローイングのための最も基本的なマシンです。フロアープーリーローとも言いますし、シーテッドケーブルローイングとも呼ばれています。
フロアケーブルローイング専用に作られているだけあって、広背筋のストレッチも収縮もやりやすいです。ケーブルローイングの種目の中で最も高重量を扱えます。
ラットマシン
ラットマシンは上からケーブルを引く構造ですから、本来ならケーブルローイングの範疇には入りません。しかし、ケーブルを引く際の態勢やハンドルを替えることによって、ケーブルローイングとして使えます。ラットマシンはケーブルが上から伸びていますから、上体を立ててラットマシン用のバーを使えばラットマシンプルダウンになります。
それを、上体を大きく後ろに反らすことで、ラットマシンプルダウンがケーブルローイングの態勢になります。
ハンドルもいろいろと種類がありますからバリエーションも豊富です。
ケーブルクロスオーバーマシン
ケーブルクロスオーバーマシンは名前の通り、大胸筋にストリクションを入れるケーブルクロスオーバーに使うためのマシンですが、ケーブルローイングにも使える万能型のマシンです。
ハンドルをつけるケーブルの高さを低くしたり、高くしたりと細かく調節できるので、これがケーブルローイングに使うのに便利です。
ケーブルローイングで鍛えられる部位
ケーブルローイングは背中を鍛えるための種目ですが、鍛えられる部位は厳密に背中に限定されるものではありません。
背中に負荷を集中させて効かせるのは重要ですが、実際には間接的に鍛えられる部位もあります。
広背筋
ケーブルローイングのメインターゲットが広背筋です。広背筋は背中の下側から脇の下にかけてを覆っている大きな筋肉です。
広背筋は背骨から骨盤、肋骨などにかけて広い範囲で付着しているだけでなく、上腕骨にもついているため、腕でウエイトを引っ張ることで広背筋を鍛えることができます。
ケーブルローイングは広背筋の全体に効くとも言えますが、主に効かしやすいのが下部から中部にかけてです。これは体型にも影響されます。
外国のボディビルダーのように肩幅が広くて胴体が短い人たちだと、日本人よりもケーブルローイングで広背筋の上部までも効かしやすいでしょう。
脊柱起立筋
ケーブルローイングでも脊柱起立筋が鍛えられます。
デッドリフトやスティッフレッグデッドリフトなどほどではないとしても、ウエイトを降ろし切って広背筋をストレッチさせた状態から収縮させるまでの動作は少なからず脊柱起立筋を使います。
上腕二頭筋
本来なら上腕二頭筋の関与をできるだけ下げなくてはなりせんが、まったく使わないというわけにもいきません。
ケーブルローイングで上腕二頭筋が効いてしまって、その後に上腕二頭筋を鍛えようとすると重量が挙がらないような人もいます。
前腕と握力
もうひとつケーブルローイングで間接的に鍛えられる筋肉として見逃せないのが前腕です。ケーブルローイングに限らずですが、背中の種目はかなり前腕も使います。背中のトレーニングが終わった後に前腕が意外なほど張っているのを感じたことがあるでしょう。
ケーブルローイングの際にパワーグリップやストラップを使う人が多いですが、それは握力が先に負けてしまうからです。
逆に言えば、ケーブルローイングはそれだけ握力を使うことを意味しています。
パワーグリップなどはたしかに役に立ちますが、使わない方が前腕の発達や握力の強化になります。
ケーブルローイングを自宅でやるには
ケーブルローイングをするには必ず何かケーブル系のマシンが必要です。ジムであれば、設備が整っているので問題ないですが、自宅筋トレとなるとそうもいきません。
ケーブルローイングができる設備を揃えるのは経済的にもスペース的にも簡単ではありません。ジムにあるような業務用のフロアープーリーマシンを自宅に備えるのは経済的にもかなり非現実的です。
さらに、フロアープーリーマシンは単体として見ると、用途が狭く限定されることもあって、コストパフォーマンスとしてもそれほど良くありません。
ケーブルローイングに使えるマシンを自宅用に購入するのであれば、ケーブルローイングだけでなく、上腕二頭筋のためのケーブルカールにも使えるような汎用性があるものを選ぶようにしましょう。
ケーブルローイングの際の僧帽筋の使い方
ケーブルローイングの動作中には僧帽筋の力を抜いて肩が下がるようにします。僧帽筋に力が入っていると肩が上ってしまって、広背筋に効かしにくくなります。
ケーブルローイングを効かせるコツのひとつが肩を下げた状態で、肩関節を中心に大きく弧を描いて広背筋を進展・収縮させることです。肩から肘が遠くなるほど、広背筋に効きます。そのためには僧帽筋の力が抜けていないといけません。
特に僧帽筋の上方向に力が入って収縮していると肩が上りやすいです。そうなるとケーブルローイングを邪魔することになってしまいます。
広背筋に力を入れるときに僧帽筋に力が入るクセがついているなら、力を抜けるように直さないといけません。
ケーブルローイングだけでなく、ダンベルやマシンでのローイング運動でも僧帽筋に力が入っていると効きにくくなるからです。
ケーブルローイングで扱える重量
ケーブルローイングで扱える重量について考えてみましょう。
スタンディングでのケーブルローイングの場合
ケーブルローイングをスタンディングで行なう場合は上記のように、あまり高重量は扱えません。
筋力が強い人なら数字的にはかなりの重量を扱えるとしても、背中の他のマシンやフリーウエイトと比べればやはり相対的には軽めの重量になるのは避けられないでしょう。
スタンディングでのケーブルローイングは重量にこだわるよりも収縮と伸展をしっかりさせることで、効かせることに集中しましょう。
フロアーケーブルローイングの場合
ケーブルローイングで最も高重量が扱えるのがフロアーケーブルローイングです。
フロアープーリーマシンのウエイトスタッグを全部使っても足りないぐらいの人もいます。その場合、ウエイトスタッグに特殊な器具をつけてバーベルプレートを足す方法もありますが、それでもせいぜい20キロまでしか増やすことはできません。
それ以上重量を足すとマシンが壊れる危険があります。特にケーブル部分が痛みやすいです。
本来はマシンというのは必要以上に重量をつけられるように作られていません。多くの外国メーカーではウエイトスタッグに重量を足すのを禁止しているぐらいです。
フロアーケーブルローイングでフルスタッグでも足りなくなったら、片手で行なうようにしましょう。
まとめ
近年、背中を鍛える筋トレマシンの充実には目を見張るものがあります。かつては考えられなかったようなマシンが続々開発されています。筋トレ愛好者にとって非常にいい時代になったと言えます。そんな中にあっても、ケーブルローイングは背中を鍛える極めて効果的な方法であることに変わりありません。
背中のマシンでもケーブル以外のものは目的の筋肉をピンポイントで鍛えられるメリットがありますが、決められた用途以外には使えないデメリットがあります。ケーブルの場合は同じローイング運動でも、ハンドルを替えたり角度を変えることによって多角的に背中を鍛えられます。
工夫次第でバリエーションが増やせる点でもケーブルローイングは魅力的です。かつて、日本のボディビル業界では背中の筋トレマシンが海外に比べて貧弱だったため、ボディビルダーの背中が海外選手たちに大幅に負けていました。その頃はケーブルローイングの設備がないジムが多かったのが原因でした。
その後、日本でもケーブルローイングができるジムが増えたことで、日本のボディビルダーの背中の発達が飛躍的に良くなりました。いくらマシンが発達しても色あせることがないケーブルローイングで背中を鍛えてみましょう。