斜め懸垂の効果と正しいやり方【器具は自宅の机やテーブル、公園の鉄棒でも可】
斜め懸垂は普通の懸垂ができない人でも回数をこなせる点や自宅でも手軽にできるなど、魅力が多い筋トレ種目です。
斜め懸垂では広背筋が主に鍛えられる点で普通の懸垂と共通していますが、フォームが大きく違うため、鍛えられるターゲットになる筋肉が微妙に違います。
初心者や女性にとってもやりやすい懸垂運動です。しかし、負荷を高めることで、経験者にとっても効果的な筋トレ種目にできます。
斜め懸垂の効果的な鍛え方をご説明いたします。
斜め懸垂のために必要な器具
斜め懸垂のために活用できる器具について解説します。
スミスマシンを使う
斜め懸垂をジムで行なう場合、バーの高さを調節しやすいのがスミスマシンです。細かく高さを調節できるのでスミスマシンは便利です。
スミスマシンの本来の使用方法ではありませんが、斜め懸垂を行なうには丁度いい筋トレ器具です。
パワーラックを使う
スミスマシンと並んで斜め懸垂に使いやすいのがパワーラックです。
パワーラックのセーフティーバーの高さを調節して、バーベルを渡して使えば斜め懸垂がやりやすいです。
公園の鉄棒を利用する
公園にある鉄棒を使っても斜め懸垂ができます。
斜め懸垂用の高さは子供用の鉄棒が丁度いいです。大人が立った状態でやっと手が届くような高さでは斜め懸垂には高過ぎます。
机やテーブルを利用する
自宅で斜め懸垂を行なうには机やテーブルを活用することもできます。
机にしてもテーブルにしても一般的な高さであれば斜め懸垂には丁度いいです。
ただし、机やテーブルは手で握るためのバーがありませんので、机やテーブルの端を掴んで斜め懸垂を行なうことになります。
手で掴むバーがないので上記の器具に比べてやりにくいのは否めません。机やテーブルで気をつけたいのが手が滑って体が落ちる危険があることです。安定感と体重をかけても大丈夫なぐらいに丈夫であるかどうかも確認しましょう。
斜め懸垂で活用できる負荷
斜め懸垂で活用できる負荷は自分の体重です。そのため、体重が重い人ほど負荷が大きいことになります。
普通の懸垂であれば負荷が足りなくなればチンニングベルトにウエイトをつけるなどして負荷を高めることができますが、斜め懸垂の場合はその方法は難しいです。
斜め懸垂で負荷を高めるには回数を増やす、インターバルを短縮するぐらいしかありません。筋力が伸びて回数が増え過ぎるようなら、斜め懸垂を超えて普通の懸垂を行なうようにしましょう。
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斜め懸垂に効果的な角度
斜め懸垂で効果的な角度はバーまで体を引き切ったときの体の角度が45度ぐらいです。体を引き切った角度で45度ですから、腕を伸ばし切った状態では30度ぐらいになるでしょう。角度が急になるほど負荷が重くなると思うかもしれませんが、逆です。
角度が急になるほど負荷が軽くなります。バーまで体を引き切った状態で横から見たら45度ぐらいになるようにしましょう。
しかし、この角度は厳密なものではありません。
公園などの鉄棒を使う場合にはバーの高さは固定されていますし、ジムでスミスマシンなどを使うにしても、ぴったり角度を45度に合わせるのは難しいです。
公園にある鉄棒には高さのパターンがいくつかありますから、バーに体を引き切った状態で横から見て体の角度が45度に近い高さでやってみましょう。
斜め懸垂で効果的な回数
筋トレで筋肉を大きくするための基本的な回数は8回から10回あたりになりますが、斜め懸垂の場合はもっと回数が多くなります。
斜め懸垂は負荷が比較的軽いので、平均的な体格の成人男性であれば20回から30回はできるでしょう。
女性でも無理なく回数をこなせるのが斜め懸垂です。20回から30回を1セットとして、これを3セットほどやってみましょう。
斜め懸垂ができない原因
斜め懸垂は比較的負荷が軽いので、女性でも無理なくできることが多いです。中学や高校での体力測定では男子は普通の懸垂の回数を測定するのに対して、女子の場合は斜め懸垂の回数を計測します。一般的に女子の方が男子に比べて筋力が弱いので、女子でも回数をこなせるようにそのような措置になっています。
それでも斜め懸垂ができない人は当然います。男子でも懸垂が1回もできない人がいるのと同じです。
ここでは、斜め懸垂ができない原因について考えてみたいと思います。男性でも斜め懸垂で回数をこなせないことは決して珍しくありません。
広背筋の筋力が足りない
斜め懸垂で主に使われる筋肉は広背筋です。この広背筋の筋力が弱いと斜め懸垂ができません。
腕力が足りない
斜め懸垂で必要なのが広背筋の筋力と共に腕力です。
バーを握る握力、上腕二頭筋の筋力、前腕の筋力、それらが弱ければ斜め懸垂で回数をこなせません。握力が著しく弱ければバーを握って体を支えることができません。
特に女性の場合、腕力が弱い人は非常に弱い場合がありますから、バーを握った手が苦しいほどであるなら無理にやらないようにしましょう。
体重が重過ぎる
斜め懸垂は自分の体重を自力で引き上げるものであるため、体重が重い人ほどきつくなります。筋力が同じだとしたら体重が重い人ほど不利になります。
筋力とのバランスで体重が重い人は斜め懸垂であっても回数をこなすのが難しくなります。
斜め懸垂ができない場合の対処法
上記の理由で斜め懸垂ができないならば、対処方法はそれらに対応するのが解決の近道です。
広背筋の筋力を強化する
斜め懸垂ができない場合に最も必要な筋肉が広背筋の筋力です。斜め懸垂で最も発達するのが広背筋でありながら、この筋肉が弱いと回数をこなせないジレンマがありますが、斜め懸垂で鍛える以前に他の種目で鍛えた上で、また斜め懸垂に挑戦しましょう。
どんなに広背筋が弱い人でもラットマシンで軽い重量から鍛えたり、1キロや2キロのダンベルでのワンハンドローイングならできるでしょう。斜め懸垂以外の種目で広背筋を鍛えることで斜め懸垂対策になります。
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腕力を強化する
広背筋と並んで腕力も必要なのが斜め懸垂です。上腕二頭筋や前腕の筋力が弱いとやはり斜め懸垂で回数をこなせません。腕力が足りない場合に最も強化しにくいのが握力です。握力というのはだれでも簡単に強化できません。かなりのマッチョでも握力を測れば、それほど強くなかったりします。
バーを握っている手が簡単に外れてしまうようであれば、かなり握力が弱いですから、握力を強化するよりもパワーグリップを使う方が合理的です。パワーグリップを使えば握力の弱さをかなりカバーしてくれます。
ストラップを使う方法もありますが、ストラップは使い方に少々技術が必要になりますので、筋トレに慣れていない初心者であればパワーグリップの方が使いやすいでしょう。
体重を減らす
体重が明らかに重いために斜め懸垂ができないのであれば、体重自体を減らすのも斜め懸垂で回数をこなすためには効果的です。
しかし、よほど体重が重いのでもない限り、広背筋の強化と腕力の強化でカバーできるでしょう。
逆手斜め懸垂
斜め懸垂は一般的に手の甲を上に向ける順手で行ないますが、手のひらを上に向ける逆手での斜め懸垂もあります。逆手での斜め懸垂と普通の斜め懸垂の違いは、逆手での方が上腕二頭筋や前腕の関与率が高くなります。広背筋に対するストレッチのかかり方も逆手の方が強くなります。
順手での斜め懸垂よりも回数をこなすのに筋力がより必要になりますから、初心者や筋力が弱い人は普通の順手での斜め懸垂から始める方がいいでしょう。
斜め懸垂で鍛えられる部位
斜め懸垂で鍛えられる筋肉部位についてご説明します。
広背筋
斜め懸垂で最も効率よく鍛えられるのが広背筋です。これは普通の懸垂と同じです。
しかし、普通の懸垂であれば体を垂直に引き上げて降ろす動作を繰り返すので、ラットマシンプルダウンに近い動きになります。
それに対して、斜め懸垂では体を斜めの状態で引き上げますので、フロープーリーローと懸垂の中間ぐらいの動きになります。
上腕二頭筋
上腕二頭筋も斜め懸垂で鍛えられます。特に逆手でバーを持つ方がさらに上腕二頭筋に対する収縮が強くなります。
垂直に体を引き上げる逆手懸垂であればフォームを調節することで広背筋と上腕二頭筋を効かせ分けることもできますが、斜め懸垂の場合はそこまでのコントロールは難しいです。
前腕
前腕も斜め懸垂で強化できます。普通の懸垂でもそうですが、体を上に引き上げる動作というのはかなり前腕を動員します。
斜め懸垂を繰り返した後で前腕に疲労感を感じるかパンプアップしているようなら、前腕に効いている証拠です。
握力の強化
斜め懸垂はバーを握って体をぶら下げますから、少なからず握力も使います。
そのため、握力強化の効果もあります。
ただし、握力が劇的に強くなるとは考えにくいです。
握力というのはかなり本気で鍛えたとしてもなかなか強くなりませんので、間接的に鍛えるぐらいでは限界があります。
しかし、斜め懸垂を続けることで、握力の強化にはつながります。
斜め懸垂の効果的な筋トレ方法
まとめ
斜め懸垂は普通の懸垂よりも負荷がかなり軽いので比較的手軽に始めることができるメリットがあります。体重全部が負荷としてかかる普通の懸垂ではほとんで回数をこなせない人でも斜め懸垂ならそれなりに回数をこなせます。その意味で、斜め懸垂は普通の懸垂をこなせるようにする効果的な方法でもあります。
斜め懸垂は公園にある鉄棒でもできます。筋トレを本格的にやろうとまでは思っていなくても、ちょっとだけ体を鍛えてみたい人にとっても筋トレの入門種目としておすすめです。斜め懸垂は負荷が軽いとはいえ、やはり筋トレ種目であることには変わりないですから、やり過ぎればオーバーワークになります。
筋トレは熱心な人ほどオーバーワーク状態になってかえって筋力も筋量も伸びなくなる危険と背中合わせですから、やり過ぎには注意しましょう。
初心者であれば1セットあたりの回数を20回から30回にして、それを3セットぐらいを目標にしましょう。
それを1日おきか週に2回ぐらい継続的に行なえば、かなり効果があります。
筋力が伸びて斜め懸垂では物足りなくなってきたら、普通の懸垂に移行するようにそればさらに効果的です。