懸垂ができない理由を検証!懸垂ができるコツや強化方法とは?
懸垂は筋力のバロメーターのひとつです。懸垂を正確なフォームで30回も40回もできる人は単純に凄いと思うでしょう。
普通の筋力の成人男子の平均回数は5回から10回ぐらいのものですが、1回もできない人も珍しくありません。女性も懸垂を繰り返すのが難しいです。
しかし、懸垂ができるようになると、背中の発達に大きな影響がありますし、トレーニングメニューを展開しやすくなります。懸垂を強くするためには具体的にどうすればいいかを解説したいと思います。
懸垂ができない理由を検証する
平均的な体格と筋力の成人男子であれば懸垂を5回から10回できます。腕を伸ばした状態から顎がバーの上まで引き切るという条件での話です。
しかし、懸垂を1回もできない人も珍しくありません。ここでは懸垂が1回もできない理由を検証してみましょう。
筋力が弱い
1番目に考えられる理由が筋力が弱いからです。
懸垂はラットマシンなどと違って軽い重量から始めるということができません。最低でも自分の体重分を引き上げるための筋力が必要です。そのため、懸垂に必要な筋力がなければ懸垂ができません。
体重が重い
同じ筋力だとしたら、体重が軽い方が懸垂には有利です。
体重が60キロの人と80キロの人が同じ筋力だとしたら、80キロの人は60キロの人が20キロ分の重りをつけたのと同じ状態になります。その分、当然ながら懸垂ではハンデになります。
女性であること
女性の場合、懸垂はかなりハードルが高いです。女性は一般的に男性よりも筋力がかなり弱いです。平均的な男性と女性で比較したら、女性は男性の半分ぐらいの筋力であることが多いです。
個人差がかなりありますが、女性ですいすい懸垂ができる人はかなり稀です。それだけに女性で懸垂を高回数でできるようになったら非常に価値があります。
平均的な回数とは
平均的な体格の成人男子であれば懸垂を5回から10回ぐらいはできます。
このぐらいの回数からスタートするのであれば、懸垂で高回数できるようになるのはそれほど難しくありません。
筋トレを本格的に行なっている人の多くはこのぐらいのレベルから始めています。
懸垂の強化方法
懸垂が弱い人の鍛え方をご紹介します。
懸垂が弱い人の場合、1回もできないことも珍しくありません。女性であれば1回もできない人の方が多いぐらいです。
ここでは、懸垂が弱い人と、平均的な回数ができる人が懸垂に強くなるための強化方法について解説いたします。
必ず第1種目に行なうようにする
懸垂が弱い人は背中を鍛える日は第1種目に懸垂を行なうようにしましょう。懸垂のための筋肉がまだ疲れていない状態で挑戦するためです。
これが、他の広背筋の種目を先に行なった後だとしたら、広背筋や腕の筋肉が疲れてしまっていて、ただでさえ弱い懸垂力がさらに弱くなって、パフォーマンス能力を発揮できません。これは特に懸垂が弱い人だけでなく、平均的な初心者や女性についても言えることです。
仮に1回もできないとしても、ぶら下がるとこだけでもできるのであれば、チンニングバーにぶら下がるだけでも最初にやってみましょう。
女性の場合、男性よりも懸垂力が弱いですから、最優先で行なうようにしましょう。また、5回から10回ぐらいならできるなら、まずは第1種目で限界まで挑戦しましょう。
広背筋を他の種目で強化する
懸垂が弱い人ほど、広背筋を懸垂以外の種目で鍛える必要があります。背中のトレーニングでは誰でも広背筋を鍛えますが、懸垂が弱い人は余計に他の種目で鍛えることで、結果的に懸垂力が強くなります。
その場合でも、必ず懸垂を行なってから他の種目を行なうようにします。
腕力を強化する
懸垂は広背筋を一番使いますが、筋力がかなり弱い人の場合は腕力の方が先に重要になります。
腕力以外にも握力が弱ければ、ぶら下がっている体を支えることもできませんから、まずは腕力です。
懸垂の練習をする
懸垂が弱いからと避けていればいつまで経っても弱いままです。懸垂が弱い人は懸垂そのものを練習する必要があります。
1回もできないとしても、1回ができるように挑戦し続けましょう。1回もできない場合、難しいのは0回が1回になるときです。1回だけでもできるようになったら、そこからは早いです。
懸垂が強い人のトレーニング法
次に、懸垂が強くなっている人がさらに懸垂で効果を上げる方法を考えてみましょう。
懸垂が強いとはどのぐらいか
懸垂が強いというのは客観的にどのぐらいかと言えば、20回以上はできることが条件です。10回ぐらいが平均値とすれば、やはり20回以上はできないと懸垂に格別強いとは言えないでしょう。
重りをつける
懸垂が15回以上確実にできるようなら、自分の体重だけでは少々足りません。その場合はチンニングベルトに重りをつけて懸垂をする方法があります。
重量をつけるにしても、最初は5キロぐらいにしてみましょう。5キロを加えてみて、それでも15回以上できるなら、10キロ、15キロと増やしていくようにします。
チンニングベルトを使うとしても、無限に重量を増やせるわけではありません。チンニングベルトの耐久力や鎖のチンニングベルトについている鎖の長さの限界があるからです。
ナイロン製のチンニングベルトの場合、40キロまでが限界です。それ以上の重量をつけたらすぐにベルトが切れてしまうわけではないですが、安全に使えるのはメーカーが限界と決めている40キロまでです。
革製のがっしりしたものなら、もっと丈夫で耐久力がありますが、それでも鎖の長さからすると20キロのバーベルプレートを3枚か最高でも4枚程度です。実際にそれほどの重量で、可動域いっぱいのフォームで行なえる人は稀です。
懸垂の順番にはこだわらなくていい
懸垂が強くて、さらに懸垂能力を高めていきたいのであれば、背中のトレーニングの最初に行なうべきですが、懸垂がかなり強い人の場合、それほどこだわらなくてもいいでしょう。
むしろ、順番を広背筋の種目の後の方にすることで、わざわざ重りをつける手間も省けるメリットすらあります。
懸垂が弱い人なら最優先にすべきところですが、かなり懸垂能力が高いのであれば、広背筋の他の種目との優先順位にこだわらなくてもいいでしょう。
首の後ろで引く方法
ラットマシンプルダウンの場合、胸に引く場合と首の後ろに引く場合を使い分けることが多いですが、懸垂で首の後ろに引き上げる人はほとんど見かけません。首の後ろに引くのは難しいので、それだけの筋力がある人が少ないからかもしれません。
しかし、ラットマシンでも首の後ろに引いた方が効く人が多いように、懸垂を頭の後ろに引けるようになると広背筋に与える刺激が強くできます。
懸垂の注意点
懸垂はピン1本で重量を簡単に変えることができるラットマシンなどと違って、最低でも自分の体重を引き上げる種目であるため、運動するに当たって、次のような点に注意が必要です。
ウォームアップセットができない
バーベルでの種目でも差しピン式のマシンで行なう種目でも、最初から最高重量に挑戦するのではなく、最初の数セットはウォームアップセットで最高重量からのハードがセットのための準備をするのが一般的です。ウォームアップセットを行なうことで、最高重量の準備なだけでなく、神経系が力を発揮しやすくなります。
しかし、懸垂の場合、これができません。全体重でのスタートになりますので、軽い重量でウォームアップというわけにはいきません。懸垂から背中のトレーニングをスタートする場合、その前にストレッチなどで十分に準備運動をするようにしましょう。
懸垂の可動範囲について
懸垂のフォームはラットマシンと基本的に同じですが、ラットマシンは重量を下に引っ張るのに対して、自分の体を引っ張り上げる点で大きく違います。実際にやってみれば懸垂の方が強度が強いのがわかります。懸垂の可動範囲は広背筋を伸ばし切ったところからバーの上まで顎が出るところまで引いて1回です。
降ろし切ったポジションでは、肘を伸ばし切るよりも広背筋を伸ばし切ることを意識しましょう。広背筋が伸び切っていれば、肘が伸び切っていなくても問題ありません。肘を伸ばし切ることにこだわり過ぎるとかえって広背筋の緊張が抜けてしまうことがあります。
懸垂の回数にこだわるあまり、可動範囲が狭くなっては意味がありません。他の筋トレ種目同様、可動範囲は最大限にするように心がけましょう。
適当な高さの台を活用する
懸垂のためのバーは手を伸ばしても届かない高さであることが多いですから、バーに無理なく手が届くように頑丈な台を使いましょう。台の高さとしては、腕を伸ばし切らずに余裕をもってバーが握れるぐらいの高さが望ましいです。
手が届かないからといって、ジャンプしてバーを掴むようなやり方はやめておきましょう。危険ですし、ジャンプしてバーを握る方法ではグリップする位置や、手幅を調整しにくいです。手が簡単に届く場合を除き、適当な高さの台を活用しましょう。
まとめ
懸垂という運動は難なくできる人にとってはそれほどこだわるところがないとしても、なかなか懸垂がまったくできないとか、頑張ってもなかなか回数をこなせない人にとっては非常にこだわりが強い種目になります。ジムで何を置いても懸垂を最優先で行なっているトレーニーは懸垂で広背筋を鍛える以外にも達成感のために行なっていることが少なくありません。
懸垂が弱い人であれば、背中を鍛える日は懸垂を最初に行なうようにしましょう。懸垂にも才能というのは厳然とあります。世界記録は565回ですから、人間の可能性というのはかなりのものです。ギネスブックに載っているような記録というのは記録として認定されるための要件が厳格です。
腕を伸ばし切ったところからスタートして、顎がバーを超えてないと1回とカウントされません。かつて世界記録が100ぐらいだったのが350回になり、現在は565回とは驚きの記録です。しかし、こういう高回数ができる人というのは決して筋肉自体は大きくありません。ある程度以上の回数ができるようになるとその先は筋力よりも持久力の問題になるからでしょう。
懸垂は広背筋を鍛える上でも非常に効果的です。できれば、マシンよりも懸垂にこだわってみたいところです。
懸垂を行なうトレーニーで一番多いのが、懸垂が0回ではないまでも、5回から10回ぐらいの平均的な筋力の人たちです。そういうレベルの人も、背中のトレーニングは懸垂から始めるようにしましょう。懸垂が強くなると、背中のトレーニングのバリエーションを展開しやすくなります。