骨格筋率とは?概念・計算方法・参考数値・効果的に上げる方法
ここ数年、体脂肪率とならびよく耳にするようになったダイエットやエクササイズの用語として骨格筋率という言葉があります。この言葉、筋肉の関係の言葉だという漠然とした印象はあっても何なのかよく分かりませんよね。
そこで今回、この骨格筋率について、どんな意味を持つ言葉なのか、計算方法や参考の数値はどの程度なのか、測る手段や上げる方法について説明していきます。
骨格筋率とは
骨格筋率とは、体脂肪率と逆の意味になります。そう言われてもピンとこないと思いますから、順を追ってお話しします。
骨格筋率とは身体の中で骨格筋が占める比率のことになります。この骨格筋、聞きなれない方も多いと思いますが、一言で言うと身体(骨)についている筋肉です。
筋肉と言ってもたくさん種類があり、焼肉屋さんに行くと分かりやすいと思いますが、ホルモン類(心臓や胃腸など)も筋肉の一つです。これらはそれぞれ心筋や平滑筋と呼ばれる筋肉で、腕を動かしたり、足で蹴ったりするような身体の動きには直接関係しません。しかし、生きるためには必須の筋肉(無意識に動き、心臓や内臓を動かす)です。
骨格筋は、先ほどもお話ししたように身体を直接的に動かす筋肉です。ちょっと詳しい方なら、僧帽筋や上腕二頭筋、大腿四頭筋などと呼ばれる筋肉を聞いたことがあるはずですが、それらが骨格筋と呼ばれるものの一種なのです。
筋力トレーニング(筋トレ)で標的とする筋肉は、ほぼすべて骨格筋と言っても差し支えありません。自分の意思で動かせる筋肉が骨格筋とも言えます。
そんな骨格筋が身体の何%を占めているのかを知るための数値が骨格筋率なのです。
つまり、骨格筋率とは、体重における骨格筋の重さの比率のことを意味します。
骨格筋率の計算方法、参考数値
骨格筋率のおおよそのイメージはつかめて頂けたでしょうか。今度はその骨格筋率を求める方法について解説したいと思います。また、合わせて参考数値や手軽に計測することができる機器についても紹介していきます。
骨格筋率の計算方法
骨格筋率の計算方法があります。この比率の求め方は、前提条件として二つの数値を計測しておく必要があります。その数値とは、体重と体脂肪率です。これらを使った計算式も挙げていきます。
骨格筋量(kg)={体重(kg)-(体重×体脂肪率)}÷2
この計算を行い、骨格筋の量を計算することができます。これが第一ステップ。
次にこの求められた数値を使って、下の計算を行います。
骨格筋率(%)=骨格筋量(kg)÷体重(kg)×100
これで骨格筋率を求めることができます。
体重は簡単に測れますが、体脂肪率は困難です。これを解決したり、一気に骨格筋率の数値を出してしまう計測機器を次の項で紹介します。
骨格筋率を計測する機器
骨格筋率を計測する機器は、体重体組成計です。
多くのメーカーが販売を行っていますが、この機器を使用することで、骨格筋率を調べることが可能です。
高級機種であれば、内臓脂肪レベルや基礎代謝、身体年齢なども計測することが可能です。また、簡易的な体組成計でも体脂肪率は計測できるようになっていますから、電卓などで上記の計算を行うと骨格筋率を求めることができます。お金があって手間を省きたい場合は高級機種をお買い求め頂くことをお勧めします。
骨格筋率の参考数値
オムロンヘルスケア社の骨格筋率の判定の目安というものが参考数値として利用できると思います。
男性と女性、それぞれの参考数値が4段階(低い、標準、やや高い、高い)と八項目からなり、この比率が高いほど、基礎代謝(生命維持のために最低限必要なエネルギー量→何もしなくても消費するエネルギー量)が高く、エネルギーの消費をしやすい体質と言えます。
一言で言うと、同じ量を食べても太りにくい体質であるということです。本題に戻りますが、男性女性それぞれの参考数値を列挙していきます。
男性
5.0%~32.8%(低い)
32.9%~35.7%(標準)
35.8%~37.3%(やや高い)
37.4%~60.0%(高い)
女性
5.0%~25.8%(低い)
25.9%~27.9%(標準)
28.0%~29.0%(やや高い)
29.1%~60.0%(高い)
以上になります。
これも参考数値ですが、平均値は男性で約33%、女性で約26%と言われています。低いレベルにある方は運動不足が疑われるので、注意してください。
ちなみに競技にもよりますが、骨格筋を酷使するアスリートは45~55%と言われていますので、興味のある方はその数値を目指すのも悪くないのではないでしょうか。
骨格筋率を知るメリット、上げるメリット
骨格筋は運動によって増やすことができますし、骨格筋率は前の項で説明した計算に照らし合わせると、体脂肪率が下がることで上昇します。
つまり、骨格筋率は運動やダイエットの成果が出ているかどうかを判断する指標になるのです。ダイエット効果を知るにはとても分かりやすい数値であること、それが骨格筋比率を知るメリットになります。
次に骨格筋率を高めるメリットですが、そのメリットは多いと言えます。
大まかに説明すると、体脂肪が燃えやすくなる、冷え性になりにくくなる、ストレスに強くなる。以上です。
体脂肪が燃えやすくなるという理由は、骨格筋率を上げると骨格筋の量が増えていくことを意味するんで、何もしなくてもカロリーを燃焼する基礎代謝が高まります。
基礎代謝が高まると、糖などのエネルギーのほか、貯蔵されていた脂肪も燃焼していくのです。つまり高めることで太りにくい体質になれます。
冷え性になりにくくなるのは、筋肉量の増加により毛細血管と呼ばれる、とても細い無数の血管が広がりを見せるようになって、血行が良くなり、暖かい血液が身体の隅々まで行き渡りやすくなるという仕組みからです。
暖かい血液が身体に行き渡ることで身体全体が暖かくなり、冷え性になりにくい身体を手にすることができるのです。
最後にストレスに強くなるというのは、精神を不安定にさせる物質であるキヌレン酸の生産を抑える酵素が筋肉から出されているからです。
つまり、骨格筋が増えれば、キヌレン酸の生産が抑えられ、精神が安定し、結果としてストレスに強くなるというのが、その理由です。
このように骨格筋率を高めることは大変メリットがあることなのです。次の項目ではその数値を上げる方法についてお話しします。
骨格筋率を上げるには
骨格筋比率を上げることのメリットは理解して頂けたと思います。今度は、その骨格筋比率を上げる方法をトレーニングや食事から探っていきます。
トレーニングによる増やし方
単純な話になりますが、骨格筋を筋トレで増やせば骨格筋率を高めることができます。ただ、その方法は無数にあるため、手軽な方法を一つ紹介する形にとどめます。
簡単な方法は、スクワットです。このエクササイズは、簡単な動きですが、下半身の筋肉を中心に全身の筋肉を刺激します。
更に人体でも特に大きいと言われている大殿筋や大腿四頭筋にアプローチできるので、筋肉の量を効率よく増やすことができるのです。
スクワットを高い負荷(ウェイトを利用したり、ゆっくり行う)で少ない回数を行い筋肉を追い込むことがより効果があります。このように大きな筋肉を鍛えて大きくするのが、トレーニングによる高め方になります。
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食事による増やし方
バランスの良い食事です。
脂肪が増えると相対的に骨格筋比率も下がってしまいますから、糖や脂質を控えめにする必要があります。
ハードなトレーニングをしないのであれば、無理にプロテインやアミノ酸(BCAAなど)を買い求める必要はありませんが、筋トレに興味を持ち積極的に行うのであれば、検討する必要があります。
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以上、ダイエットを行い自分の身体を管理することに興味があれば、体重やBMIだけ見るのではなく、体脂肪率や骨格筋率も計測し、身体の状態についてしっかり把握しましょう。