【正しい姿勢の作り方】姿勢を改善する腹筋・背筋・腸腰筋の鍛え方
現代人は、長時間のデスクワークやスマホ、パソコンでの作業によって、どうしても姿勢が悪くなりがちです。
特に、日本人は、外国人と比べると猫背の人が多いと言われています。姿勢が悪いと、うつ病になったり、肩凝りが激しくなったり、いいことは何もありません。
最近、姿勢が悪くなっているかな、と思ったら、姿勢の矯正を行いましょう。
では、正しい姿勢をつくるには、どうすればいいのでしょうか。
ここでは、腹筋と背筋を鍛える方法と、腸腰筋を鍛える方法のふたつを紹介する事を通して、姿勢の改善方法を探っていきます。
腹筋と背筋を鍛えて姿勢改善
腹筋と背筋は、身体を支える筋肉であり、これ等が衰えると姿勢も悪くなります。
お腹が出ていたり、首が前に出ている場合、それは腹筋や背筋が衰えている証拠です。
姿勢を改善するためにも、腹筋運動と背筋運動をこなして姿勢の改善を行いましょう。
よく腹筋と背筋のバランスを取るためには、それぞれの筋トレを同じ回数をこなさなければいけない、という意見があります。
しかし、それは本当に正しいのでしょうか。
腹筋を鍛えると、身体を丸めようとする力が鍛えられ、背筋を鍛えると、身体を反らせる力が鍛えられます。
つまり、初めから背中が丸まっている人は、背筋が衰えている状態であり、逆に、背中が反っている人は、腹筋が衰えている状態にあります。
よって、腹筋と背筋を同じ数こなすのではなく、自分の身体の状態を正確に把握して、自分に合った割合で相補的に腹筋運動と背筋運動を行う事が大切になります。
つまり、猫背の人は、背筋を中心に鍛え、身体が反っている人は、腹筋を中心に鍛える事で、バランスのいい姿勢をとる事ができます。
腹筋と背筋の理想の比率は3:7と言われており、背中を少し反った形で、骨盤は少し前傾している状態が理想です。
しかし、日本人の多くは、骨盤が後ろに傾いており、その結果背骨が丸まってしまい、猫背になってしまいます。
背骨は、緩やかなS字を描いている状態が理想です。
しかし、普通に生活しているだけでは、自分の身体がどうなっているのか、あまり意識する機会がないので、客観的な判断をする事は難しいと思います。
そこで、鏡で自分の身体を見てみたり、写真で自分の身体を客観的に見ると、意外と自分の姿勢が悪い事に気付く人が多いと思います。
自分の姿勢の悪さをどうにかしたいと思ったら、背中が丸まっているのか、反っているのか確認し、自分に必要な筋トレを判断して、姿勢の改善に臨みましょう。
腹筋の鍛え方
腹筋を鍛える方法としては、シットアップが有名です。
仰向けに寝転がって、ひざを曲げ、手を頭に添えます。この状態から、反動をつけたり、勢いに任せたりしないで、上体を起こします。
上体を降ろす時も、力を抜いてぺたんと降ろしたりせずに、ゆっくりと筋肉を使って降ろすようにすると、効果的なシットアップを行う事ができます。20回を1セットとして2~3セット行いましょう。
背筋の鍛え方
背筋を鍛える方法としては、バックエクステンションが有名です。
うつ伏せに寝転がって、手を頭に添え、上体を起こします。
このとき、意識的に肩から腰にかけての筋肉を使って上体を起こすと、効果的に背筋を鍛える事ができます。
勢いで運動をせずに、動作をゆっくりと行う事で、効率よく背筋を鍛える事ができます。
20回を1セットとして2~3セット行いましょう。
筋トレの回数も、筋肉の発達度合いによって増減させて、自分に合った鍛え方をすることも大切です。
腸腰筋を鍛えて姿勢改善
腸腰筋とは、腰のあたりにあるインナーマッスルの事で、身体の内奥にある深層筋のひとつとして、身体を支える筋肉です。
短距離走や跳躍するスポーツをしている人は、この筋肉が発達しています。
黒人はみな背筋が伸びて姿勢のいい人が多いですが、その理由として、黒人の腸腰筋が発達している事が挙げられます。
黒人の腸腰筋は、日本人の3倍ほど太く、黒人が短距離走に秀でているのは、この腸腰筋が発達しているからだ、と言われています。
また、能を行う人達もこの腸腰筋が発達していると言われています。
能の舞台で、すり足をしたり、その場でジャンプするといった動作も、腸腰筋が意識的に使われているからできる動作であり、能を生業としている人達が、70代や80代でもきちんとした姿勢のまま現役で舞台に立っていられるのは、この腸腰筋を上手く利用しているからだ、と言われています。
腸腰筋は、加齢とともに衰えやすいのが特徴で、お年寄りの背中の曲がってしまう症状の原因のひとつに、この腸腰筋の衰えが関係しています。腸腰筋が衰えると、猫背になってしまい、呼吸が浅くなり、疲れやすくなってしまいます。
そこで、腸腰筋を鍛える事が、姿勢の改善につながってきます。
腸腰筋は、骨盤とも密接に関わっており、その状態は、姿勢の制御にも表れます。
いくら、腹筋と背筋を鍛えても、この腸腰筋が衰え、骨盤がずれていれば、正しい姿勢を維持する事ができません。
姿勢を直す場合、身体の悪い部分一か所を重点的に鍛えるのではなく、身体全体のバランスを考えて正しい姿勢をとるようにしましょう。
腸腰筋の鍛え方
腸腰筋を鍛える方法のひとつにレッグレイズがあります。
仰向けに寝て、足を持ち上げ、それを上下させる運動です。
この時、反動をつけて運動を行うと、筋肉を鍛える効果が減少してしまうので、ゆっくりと動作を行うようにしましょう。
20回程の運動を2~3セット行う事で、腸腰筋を鍛える事ができます。
その他に、腸腰筋を鍛える運動として足踏みも効果的です。
東京大学の石井直方教授も、効果的な体幹トレーニングの方法として、この足踏みを挙げています。
腸腰筋は、身体を支える筋肉であると同時に、ももを上げる時に使われる筋肉です。
背筋を伸ばした状態で、その場で足踏みを行うだけで、腸腰筋を鍛える事ができます。
姿勢を改善して、身体の力が抜けている状態が理想
姿勢の悪い人が、姿勢を良くしようと思って、身体を真っ直ぐにしようとすると、肩の筋肉が痛かったり、正しい姿勢を取っている事がつらい状態になると思います。
そこで、大切なのが、身体の力を抜くという方法です。
身体の力を抜くと言っても、だらんとした状態になるのではなく、正しい姿勢をとっている状態で、どこにも無理な力が加わっていない状態の事を言います。
剣豪である宮本武蔵も、身体の力を抜くことの大切さを説いていたと言われており、これは能の世界では、体心捨力と呼ばれています。
腸腰筋などの深層筋を鍛えて、体心を鍛え、自然と身体から力が抜けた状態を作り出す事が、姿勢を改善することの最終的な目標です。
能の稽古でも、まず初めは身体についた悪い癖をなくす事から始めるのだそうです。
腹筋と背筋を鍛えて、腸腰筋を鍛えておかないと、良い姿勢になろうとしても、うまく身体を支える事ができずに、苦しかったり、途中で元の姿勢に戻ってしまったりします。
このとき、骨盤はきちんとした位置に収まっているか、肩は真横に伸びているか、初めのうちは正しい姿勢を意識的に捉え、その状態を維持するように心がけましょう。
腹筋と背筋、腸腰筋を鍛えて、無理なく真っ直ぐな姿勢を続けられるようになる事が、正しい姿勢を維持していく上での目標となります。
この時、深層筋である腸腰筋が正しく機能していると、正しい姿勢をしているのに、身体に余計な力が入らず、理想的な体勢を維持する事ができるようになります。
身体に余計な力が入っていなければ、肩凝りになりにくくなりますし、自然とリラックスした状態を維持しやすくなります。
正しい姿勢を維持し、身体から力を抜く事は、宮本武蔵の剣術や伝統芸能である能の技術であると共に、私達が過ごしやすい日常を送る上での技術でもあるのです。
まとめ
このように、姿勢を正そうと思ったら、自分の症状を見極め、正しい筋トレを行う必要があります。
この時、衰えている筋肉だけでなく、身体全体のバランスを考えると、正しい姿勢を維持した時、無駄な力が入らずに、自然とその状態を維持する事ができるようになります。
姿勢のいい人は、見ていて気持ちが良いですよね。
姿勢が良いと、肩凝りや腰痛を始めとする様々な病気にかかりにくくなります。正しい姿勢を覚える事で、健康な生活を手に入れましょう。