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スティフレッグデッドリフトの正しいやり方!デッドリフトの種類毎の違いを解説

投稿日: 2019年01月07日 ,

ステッフレッグデッドリフトを行う女性

骨盤前傾したうえで体幹(背中)を完全に固めるのがBig3としてのコンベンショナル(伝統的)デッドリフトです。本来のデッドというものは、完全に体幹を固めてやるものですが、それに対して、バーベル下降時に、やや背中を緩めることになるのがスティフレッグデッドリフトです。

両者の大きな違いとしては、コンベンショナルデッドは股関節と膝関節が可動する複関節運動として高負荷を持てますが、スティフレッグは股関節のみが可動する単関節運動であるということで低負荷高回数実施が基本です。

ステッフレッグデッドリフトの概念

Big3の一角としてのデッドは高負荷OKですので、必然的に、なるべく体軸近くの脛に沿ってバーベルを上げ下げします。しかし、ステッフレッグでは、立位での開始姿勢から、足先に向け、体軸からはやや離れた地点に向けて下します。こちらは、膝関節をやや屈曲させた状態で固定しますから、殆ど股関節のみが可動する単関節運動という認識で、低負荷高回数の実施になります。つまり、低負荷だからこそ、体軸から離れたところに負荷を下してゆくことが可能になるわけです。

スティフレッグのポイントとしては、立位からバーベルを下ろしてゆく際、意識的に、背中や腰を、やや曲げることなのです。これは、高負荷を持つことになるコンベンショナルデッドでは考えられないことでして、低負荷でのスティフレッグだからこそ可能になります。

背中、腰をやや屈曲させるとは、最小限、脊椎を関節として動かすことを意味していて、それでこそ、はじめてスティフレッグデッドが背中のトレーニングということになります。

本来のコンベンショナルデッドでは体幹を動かすことが御法度ですので、従って、脊柱起立筋が主働筋には成り得ないのですが、スティフレッグデッドでは、それが主働筋と認定されることになるのです。

ヒップアップ効果としては通常のデツドでも良いのでしょうが、よりヒップアップ効果に期待したい場合、スティフレッグデッドということになります。言い換えますと、スティフレッグデッドとは、極めて、女性のヒップアップエクササイズとして有名なグッドモーニングに近いものになります。

低重量実施のスティフレッグデッドリフトなら宅トレ可

目一杯の重量での床引きバーベルデッドの実施は、宅トレでは甚だ困難です。最後、床に戻す際、ドスンと落下させたりしたら、最悪、床が抜けるという危険を孕みます。

しかし、軽量でやるスティフレッグなら宅トレで出来ます。こちらなら、あくまで単関節運動として低重量で良いのですから、安価な市販ダンベルで出来ます。そういう利点のあるエクササイズとして、バーベルでも、ダンベルでも低重量を持つことになるスティフレッグデッドリフトのやり方を見ていきましょう。

スティフレッグデッドリフトのやり方

バーベルでのスティフレッグデッドリフト

手幅としましては、およそ肩幅間隔を目安にして、バーベルを順手、または、片逆手で握ります。足は腰幅にするのが基本になります。足先を前方に向け、そして、やや屈曲させた膝関節角度を終始維持するよう努力します。
そういう立位姿勢で、両手にバーベルを持ち、バーベルが大腿部前に触れる形がスティフレッグデッドリフトの開始姿勢になります。床引きが開始姿勢ではなく、適度な高さからのラックアップ後、数歩後方に移動した場所でエクササイズをスタートさせます。開始姿勢も、コンベンショナルとスティフレッグでは違うということなのです。

引上げ動作では、あくまでも脊椎は伸展させなければいけないわけですから、バーベルを下ろす時のみ、脊椎が最小限、曲がることが許されるという理解が良いということです。

立位姿勢からバーベルを下ろす段になったら、脊椎が必要以上に曲がらないよう留意して、足先に向けてゆっくり下ろします。膝関節が伸展してしまいそうになったり、背中、腰が危険なレベルにまで大きく丸まりそうになる直前で、バーベル降下止め、そこから、引上げ動作が始まります。股関節と同時に上手く連動させて、体幹(脊椎)を伸展させます。反動を用いたり、肘関節が曲がるということが無いよう注意します。

主働筋としましては、大殿筋、ハムストリングス(半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋)、そして、脊柱起立筋です。

コンベンショナルデッドとの違い

コンベンショナルデッドリフトを行う男

コンベンショナルデッドの開始姿勢は、床引きが基本ですから、当然、腰を深く落とし込みます。腰を落とし込むという意識があれば、上体前傾角度は45度以内に収まるはずです。
背筋は真っ直ぐにするか、または、少々反らせることになります。僧帽筋はリラツックスさせて、出来るだけ伸展させるよう心掛けます。僧帽筋の関与を減らし、そうすることで、より下半身へ意識を向けたいわけです。
そして、開始時の姿勢として最も大切なことは、胸を大きく開き、肩甲骨を寄せることになります。
スタート時の肩の位置は、バーベルの真上、あるいは、やや前方に位置するというのが基本です。多くの場合、バーベル位置より、肩が少々前にあるわけです。それで、腰を守ることになります。

そこから、股関節、膝関節を一緒に伸展させてゆき、ステッキングポイント(一番力発揮が必要になる関節角度の地点)通過まで、体幹(上体)前傾角度を一定に保ちます。

そういうことは、股関節と膝関節の連動で可能になりますし、バーベルが膝上を通過する際には、股関節を前方に押し出し、膝をバーベル下に潜り込ませる感じにします。立位姿勢の最終地点は、ニュートラルになる直前です。肩が終始、バーベルの真上にあるという鉄則を守ろうということになりますと、姿勢をニュートラルまで戻せません。やや上体前傾している形でフイニッシュになります。

主働筋は、大臀筋、ハムストリングス(半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋)、大腿四頭筋(外側広筋、中間広筋、内側広筋、大腿直筋)になりますが、本来の狙いとしてのメインターゲットは、やはり、大殿筋とハムということになります。

巷間、広背筋狙いのデッドとして、トップサイドデッドが持て囃されていて、トップサイドなら、パワーラックを使って宅トレが可能です。しかし、このトップサイドデッドというのはシュラッグの修正版という理解が正しくて、僧帽筋依存になります。

本来のコンベンショナルデッドは、僧帽筋を極力関与させないのが良いことになっていますので、トップサイドデッドは、デッドというより、シュラッグに近いものと考えた方が良さそうです。

パワーリフティング競技でのデッドリフト

ストリクト&フルレンジ(無反動&可動域いっぱい動作)が筋トレの基本だという理解があれば、体幹を固めてやるのが前提になる通常のデッドリフトが背中のトレーニングで無いことはすぐに分かるのですが、これが、なかなか世間には浸透しません。

おそらく、パワーリフティング競技の普及により、第1試技としてのスクワットが下半身で、第2試技のベンチプレスが大胸筋なのであれば、あとは、最後の第3試技のデッドリフトは広背筋という理解が安易で、分かり易いからでしょうか。

しかも、現在、パワリフ界ではデッド種目といえばスモウデッドが多くなっていて、こちらは、白旗(試技成功)判定を得る為にも「肩の返し」を求められます。背中を動かして肩を後方に返さないと、白旗になりません。真っ直ぐ引き上げただけですと、赤旗(試技失敗判定)になってしまいます。

スモウデッド(ワイドスタンスデッドリフト)

フリーウェイトトレーニングとしてのデッドであれば体幹を固めるという鉄則があるのに、パワリフ競技では背中を動かすわけです。背中を動かせば、確かに背中のトレということになりますが、しかし、本当のコンベンショナルでは、バーベルシャフトの真上(あるいは、やや前)に、終始、両肩があるという状況をキープしないといけません。
肩を、バーベルから後ろに引いてしまうなどということは、筋トレとしてのコンベンショナルデッドでは考えられないことなのです。通常の筋トレでは、肩を返すことで背中を動かすというのは禁忌なのだという理解が望まれます。

Big3とは、デッドたけでなく、スクワット、ベンチプレスともに、体幹は終始、剛直化したまま、それを維持しないといけません。体幹の剛直化とは、即ち、脊椎動物としてのヒトにとって、過剰なストレスになるウェイトトレーニング中、一番大切な脊椎を守ることになっているわけです。

まとめ

コンベンショナルデッドが背中のトレという認識をやめ、背中はスティフレッグでやることにしましょう。

そういう認識、理解を得てしまえば、通常のコンベンショナルデッドでは、膝関節も大いに関与させて、腰の沈み込みを重視することになるはずです。

腰の沈み込みを大きくすることで、上体の前傾角度を45度以上に傾けないという正しいフォームを体得できた人だけが、デッドで高重量を持っても良いことになります。

身体が固いなどの理由で上体を45度以上傾けたり、更に、角度が大きくなって上体が床と平行に近くなってしまう形ですと、バーベル引上げの際、腰が丸まります。背中も丸まります。それが腰を痛める最大の原因になります。

何度も繰り返しますが、Big3デッドでは骨盤前傾の維持とともに体幹の剛直化が必須であり、背中は動かしてはいけないわけですから、本来のコンベンショナルデッドが背中のトレーニングということにはなりません。動かせる部位の骨格筋が主働筋と呼ばれることになりますので、コンベンショナルデッドにおいて、背中の筋群は副次的に強化されることになりはしても、主働筋ではありません。スクワットでも副次的に体幹は強化されていますが、スクワットを背中のトレと言う人は、まずいません。それと同じです。

Big3とは何なのかと考えた時、スクワットで大腿部前方の大腿四頭筋をやり、そして、デッドリフトで後方(裏側)のハムストリングスと大臀筋を狙うということになり、そして、上半身の大筋群狙いとしてのベンチプレスということで、それで、Big3というのだという理解が欲しいのです。

そして、そういう重量追及が可能なBig3とは一線を画して、低重量を持つことを推奨されるスティフレッグであれば、ダンベルでの宅トレが可能です。無理の無い重量のダンベルを足先に向けて下すことは宅トレで可能です。スティフレッグデッドリフトとは、宅トレ者に大いに有効、有益なのです。