ボックススクワットはメリットが一杯!効果と正しいやり方のコツを解説
バーベルを担いでのスクワットは脚の筋肉を鍛えたり筋力を伸ばすために最高の筋トレ種目ですが、深くしゃがむことに恐怖を感じたり、フォームが崩れやすいトレーニーが少なくありません。これを解決するのがスクワットの際にお尻の下にボックスを置くボックススクワットです。
ボックスがあることで、潰れても安心であると共にフォームの矯正の効果もあります。スクワットで壁に当たっている人には記録を伸ばす突破口にもなり、スクワットに慣れていない初心者や女性も安心してスクワットがやりやすいボックススクワットについてご紹介します。
ボックススクワットのメリット
ボックススクワットには多くのメリットがあります。
代表的なものをご紹介しましょう。
フォームを矯正できる
スクワットはフォームが最も崩れやすい筋トレ種目のひとつです。扱う重量が重いことと、運動自体が非常にきついことも関係しているでしょう。
上体が前傾してしまうフォームの崩れもありますが、やはり目立つのしゃがみが浅くなることです。どこまで降ろすべきかは個人差があるとはいえ、必要なポイントまで降ろせていない人が非常に多いです。
フォームが悪ければ、その分、効果が下がります。ボックススクワットはどこまで降ろせばいいのかがはっきり体感できるので、フォームの矯正に絶大な効果があります。
普通のスクワットだけでなく、パワーリフティングでのスクワットのフォームの矯正にも役立ちます。
潰れた時の安心感がある
スクワットはきついだけでなく、限界に近い高重量のバーベルを担いで運動するので、潰れた時の恐怖感も強いのも特徴です。
潰れるのが怖いのはケガをするのではないかとか、脱出できないかもしれないと思うからです。ここで、潰れても安心であることが保障されているのであれば、完全に恐怖感を拭えないまでも、かなり安心感が上るでしょう。
自宅で筋トレしている場合でも同じです。自宅の場合は周りに誰もいない分、余計に潰れた際の不安があります。この際に、自重だけであればボックスとして椅子を使ってもいいですが、バーベルを担ぐのであれば、椅子では強度に少々不安があります。
レップスごとのバラつきがなくなる
ボックススクワットにすることで1セットの中の個々のレップスごとのバラつきを最小限に抑えられます。スクワットをしていて、レップスごとに降ろす深さがバラついてしまうことが少なくありません。
あるレップスは大腿部が平行よりも下なのに次のレップスでは平行よりも上になってしまうようなちぐはぐな動きになりがちです。
自分ではどのレップスでも同じ深さにしているつもりでも、実際にはバラつきがちです。完全なフルスクワットができる人であれば物理的にそれ以上降ろせない深さまで当たり前に降ろすことができるので、レップスごとのバラつきがないですが、それができる人はかなり少数派です。
ここで、下にボックスを置いておけば、ボックスにお尻が触れるか触れないかのところまで降ろすことになるため、レップスごとのバラつきが最小限に抑えられます。
フォームが安定して、スクワットの効果も最大化できるでしょう。
必要な深さまで確実に降ろせるようになる
自分では十分に深く降ろしているつもりでも思っているよりも浅くなりがちなのがスクワットです。
スクワットのインターバル中に鏡の前で横向きに立ち、バーベルを持たずに深さの確認をチェックしている人をよく見かけます。
何も持たない状態では正しい深さまで降ろせていても、いざバーベルをかつぐとかなり浅くなってしまうことが少なくありません。いくら確認してもあくまで目視ですから限界があるということでしょう。
また、人間というのはどうしても自分に甘くなりがちです。鏡で確認した深さまで降ろしていると自分に言い聞かせて納得してしまう傾向があります。
しかし、ここでボックスを下に置いておくと、確実にどこまで降ろすべきかが具体的になるため、必要な深さが担保されます。
必要以上に降ろさなくて済む
上記は必要な深さまで降ろせるボックススクワットのメリットですが、ボックスがストッパーになっていることで、必要以上に降ろさなくても済むというメリットもあります。
スクワットで降ろすべき深さには個人差があります。深ければ無条件に良いというものでもありません。深過ぎることで腰や膝を痛めやすくなる場合もあります。それを避けるためにボックスが安全装置にもなるメリットもあります。
初心者にも安心
初心者が安心してスクワットをしやすいのも大きなメリットです。
スクワットは誰にとっても最も肉体的にも精神的にもきつい種目です。慣れていない初心者であれば経験値がないだけに余計にそうです。
潰れたらどうしようという不安は初心者ほど強いですから、ボックスが下にあることで安心してスクワットを行ないやすくなります。
ボックススクワットでスクワットを強化した山本俊樹選手
ウエイトリフティング85キロ級の山本俊樹選手は本職のウエイトリフティングの記録もさることながら、パワーリフティングの試合でスクワット300キロを成功させた驚異的な脚力の持ち主です。
体重85キロというのは体重比で見ても極めて強いです。
山本選手はスクワットを強化するためにボックススクワットを行なっています。どのようなやり方なのかを見てみましょう。
ノーギアでスクワット300キロ!
山本選手が出したスクワット300キロというのはスーパースーツなしのノーギアのパワーリフティングでの記録ですから、非常に価値があります。
パワーリフティングという競技はベンチシャツやスーパースーツと呼ばれる、いわゆる「ギア」を使用できる試合と、これらのギアを使えないノーギアの試合があります。
ベンチシャツやスーパースーツを着用すると、記録が飛躍的に伸びます。筋力が伸びるのではなく、そのギアの力で本来の実力で挙がる記録をはるかに上回る記録を出せるということです。素材が進化したことで、ギアありの記録の数字だけを見れば凄いですが、記録としての価値はさほどありません。自分だけの実力ではなく、ベンチシャツやスーパースーツの力が加わっての記録だからです。
これに対して、ノーギアの試合は何の道具の手助けもなく、自分の実力で出した立派な記録です。山本選手が出したスクワット300キロが高く評価されているのはノーギアの試合だからです。
ベンチの高さは膝角度90度に設定
山本選手が行なっていたボックススクワットのボックスの高さはしゃがんだ時に膝の角度が90度になる高さに設定していたそうです。
山本選手は本来がウエイトリフティングの選手ですから、スクワットのフォームは完全なフルスクワットです。それをわざわざ膝角度90度のボックススクワットにしたということは、あえてハーフスクワットにしていたということでしょう。
設定重量
ハーフスクワットのボックススクワットにしたことで、設定重量が重くなっています。320キロの10回を3セット行なっていたそうです。
試合で出したフルスクワットが300キロですから、あえて重さに慣れるようにした練習方法です。しかし、ハーフスクワットとはいえ、320キロで10回とは恐るべき筋力です。
頻度とインターバル
山本選手はボックススクワットで320キロを10回、これを3セット行なっていたそうです。これを週に6回もやっていたというのは、これも凄いです。ほぼ毎日ですから、とても一般のトレーニーが真似できるものではありません。インターバルも1分と、驚きのトレーニング方法です。期間を1ヶ月に限定しているとはいえ、もの凄い身体能力です。
ウエイトリフティング85kg級 山本俊樹のトレーニング
ボックススクワットに必要なボックスの高さ
ボックススクワットではスクワットの際にお尻の下にボックスを置きますが、その必要な高さについて考えてみましょう。
必要な高さの個人差
ボックスの高さは身長などの他にどこまで深く降ろすかによっても違ってきます。フルスクワットであるほとボックスの高さが低くなります。
ジムにあるベンチやブロックで最適な高さのものがない場合もあります。その場合はボックスの下にバーベルのプレートを敷くなどして微調整します。
目的による高さ
完全なフルスクワットに使うのであれば、それに合わせてボックスも低くなりますが、山本選手のようにフルスクワットで扱える重量よりもあえて重くして体幹部の強化を狙うなら膝角度90度に合わせた高さにもできます。
ボックスとしての条件
ボックスは高さが目的の高さに合っていることはもちろんですが、頑丈さも重要です。高重量のバーベルを担いだまま座り込んでも大丈夫なぐらいに頑丈である必要があります。
高さが足りないのであれば、そのボックスの上にバーベルのプレートや板を敷くことで対処できますが、高過ぎる場合の対応の方が難しいです。
ボックスとしては高過ぎることに対応して重量を重くすることもできますが、脚に効かせることを優先するなら、やはり高さを最適に合わせたいところです。
本格的なジムであれば、ブロック自体もいろいろな高さのものが置いてありますから、探してみましょう。
ボックスとして使えるもの
ボックスとして最もよく使われているのがフラットベンチです。頑丈さという点では申し分ありませんが、完全なフルスクワットで使う場合には、少々高いことが多いでしょう。
高さが余分な部分に対応させて重量の方を増やすという対応策もありますが、それではフルスクワットを定着させることができない難点があります。
ジムにある木製のブロックはベントオーバーローイングなど、足場を高くするためなどに使われています。どこのジムにも必ずあるというものではありませんが、本格的な筋トレジムであればいろいろな高さのものを揃えていることが多いです。
足場として使われるため、フラットベンチよりもかなり低いのでフルスクワットにも対応させやすいでしょう。逆に高さが低過ぎるなら、上にバーベルのプレートを敷くなどして対応できます。
チンニングなどに使う足場として作られている鉄製の台も高さ的にも丁度よく、頑丈さも申し分ないので、ボックスとして使いたいところです。ジムにあるものだけで探しても、使えるものがけっこうありますから、まずは探してみましょう。
一般家庭にある椅子もボックスとしてよく推奨されていますが、自宅での自重トレーニングに限ればともかく、高重量のバーベルを担いでの本格的なボックススクワットに使うには強度的に不安があります。
ボックススクワットと膝の関係
ボックススクワットと膝の関係についてです。この種目は膝を保護するのに役立つ場合と負担になる場合があります。
ケガの防止に役立つ
スクワットは大腿四頭筋を鍛えるだけでなく膝も強化しますが、それは正しいフォームでできた場合のことです。
レップスごとに降ろす深さが一定しないようなスクワットではかえって膝を痛めてしまいます。深さが一定しないというのは、浅くなる場合だけでなく、深くなり過ぎて膝を痛めることもあるからです。
お尻の下にボックスを置くことで、必要以上に深く降ろせないので、膝のケガを防止できます。
途中で膝の力が抜けた場合のストッパーになる
スクワットの動作中は膝の力を抜いてはいけないのは当然ですが、疲労してくると注意力が散漫になったりして、途中で膝の力が抜けてしまうことがあります。そういう場合にボックスがあると、ストッパーになってくれます。
負担が増える場合もある
ボックススクワットは膝の負担を減らす効果がある一方で、膝への負担が増える場合もあります。
体幹部を強化するためにフルスクワットで扱える重量よりもかなり重くして、降ろす深さをハーフスクワットにするような場合です。
このような浅いスクワットは体幹部を強くすることで、スクワットの際の上体を安定化できる効果がある反面、膝への負担が増えます。
フォームが崩れて浅くなるのではだめですが、体幹部の強化のため、あるいは重さ慣れするために浅くするのであれば、目的に対する効果があります。そのようなスクワットで膝に負担を感じるようなら、ニーストラップで補強する方法もあります。
しかし、膝関節の強さは個人差があります。膝関節が細い人の場合は筋量がある割に膝が弱い場合もありますから、過大な重量で鍛える方法が合わないことも少なくありません。
ボックススクワットはダンベルを使っても効果的
ボックススクワットはダンベルを使う場合にも効果的です。ダンベルスクワットでは降ろす際の精神的負担がバーベルほどではないものの、フォームが崩れやすい点では共通しています。特に疲れてくるとしゃがみが浅くなる傾向があります。自分では深く降ろしているつもりでも、回数が進むにつれて浅くなるパターンもあります。
バーベルだと深く降ろせるのにダンベルだと浅くなることもあります。ダンベルだとバーベルと降ろした際の感触が違うことから迷いやすいからというのもあるでしょう。ダンベルでのスクワットはバーベルほど高重量を扱えませんが、手で重いダンベルを持つために、その負担でしゃがみに対する注意が散漫になることもあります。
お尻の下にボックスを置くことで、どこまで確実に降ろせばいいのかが体感的にはっきりすることで、フォームが安定し、ターゲットにすべき筋肉を確実に刺激できます。
ボックススクワットのやり方
ボックススクワットだからと言って普通のスクワットとは基本的なやり方は変わりません。しかし、ボックススクワットならではのポイントがあります。
スクワットをする位置に合わせてボックスをセットする
パワーラックやスクワットラックでバーベルを担いだポイントからどこまで後ろに下がるかをあらかじめ決めておいて、その位置に合わせてボックスをセットします。
この位置がずれると用をなしません。
スクワットの際には目の前に鏡がありますから、軽い重量でウォーミングアップセットをこなしながら、どの位置にすべきかを確認するようにします。
高重量になってから初めてボックスを置くのでは、正しい位置を確認する余裕がなくなってしまいます。
シャフト1本を担いでのウォーミングアップの時点からボックスの位置をどこにするべきかを確認するようにしましょう。
ボックスに触れるか触れないかのところまで降ろす
ボックスに触れるか触れないかのところまで降ろしたら立ち上がります。
パワーリフティングの練習では降ろし切ったポイントで1秒ほど静止させていますが、その際もボックスに座るのではなく、触れるか触れないかのぎりぎりのところで止めるようにします。
普通の筋トレでもパワーリフティングでも、シェイプアップ目的でもレップスごとにボックスに触れるか触れないかのところまで降ろすようにしたら、スクワットの効果が格段に上がるでしょう。
動作中は腹圧を維持する
スクワットの動作中、必ず腹に力を入れて腹圧を維持するようにします。
ボックスがあることで安心してしまって、腹の力を抜いてしまうと体幹部が不安定になって腰を痛める危険がありますし、バーベルを担いでいる上体が不安定になります。
フォーム自体は変わらない
フォーム自体はボックスがあるのとないのとでも変わりません。変わってしまうとしたら、ボックスなしでのフォームが間違っている可能性が高いです。
ボックスを置いたのと同じフォームで、ボックスなしでもできるようになるのが理想です。
ボックスには座らない
ボックスまでぎりぎり降ろしますが、潰れた時以外は座らないようにします。
ボックスは潰れた際のセーフティーネットにはなりますが、運動中に座ってしまうと緊張が抜けて腰などを痛める危険があります。
また、座り込んで一度緊張が抜けてしまうと、そこからまた立ち上がるのが難しくなります。最初から最後まで緊張を抜かないようにします。
スクワットの強化に役立つボックススクワット
ボックススクワットはフォームの矯正になるだけでなく、スクワットの強化にもなります。
フォームが崩れないことでスクワットが強化される
スクワットで強くなるには、ターゲットにすべき大腿四頭筋から大臀筋などがしっかりと鍛えられることが不可欠です。
そのためには、フォームが崩れないようにしないといけません。
ボックスがなくてもフォームが崩れないのであれば、わざわざボックスを置く必要はありませんが、現実にはボックスがなければフォームが一定せず、必要な刺激にならないことが原因であることが多いです。
ボックスをお尻の下に置くことで、フォームの崩れが大幅に改善されます。フォームが崩れなければ、その分筋肉が確実に鍛えられて、スクワットが強化されます。
追い込みやすいことの効果
ボックスが置かれていることで、つぶれても安心であることが精神的な安心につながるだけでなく、追い込みやすくなることがスクワットの強化に役立ちます。
スクワットの記録を伸ばすのは決して簡単ではありません。筋トレを始めた当初であればどんどん伸びるスクワットも経験が長くなるほど伸ばすのが難しくなります。
記録の壁を破る要素のひとつが、いかにスクワットで追い込めるかに大きく左右されます。
記録を最も伸ばすのが追い込んだ最後の1回です。潰れるかどうかの最後の1回に挑戦できるかどうかが重要です。
しかし、限界まで追い込む時に潰れる危険があるとなかなか追い込めないのは自然の心理です。そこで、ボックスがあることで、潰れた後の心配をせずに追い込めるので、スクワットの強化に役立ちます。
スクワットの停滞期を打破するボックススクワット
スクワットも必ず停滞期が巡ってきます。どんなに調子がいいようでも、右肩上がりに伸び続けられるものではありません。その停滞期をどのように克服するかで、その後の進歩が変わってきます。
停滞期を打破するのにはただハードに追い込めばいいというものでもありません。調子よく記録が伸びていたものが、伸びなくなったとか、少し下がってしまったりすると、さらにハードに追い込むしかないと考えがちですが、さらに追い込むよりも強度や重量を大幅に落としてから、再構築していくやり方が有効な場合もあります。
その時に使えるのがサイクルトレーニングというテクニックです。パワーリフティングの選手たちがよく行なっています。パワーリフティングでは試合に合わせて重量のピークを持っていき、試合が終わるとしばらく休んでから重量も強度も大幅に落としたところから練習を再開します。そうすることで停滞期を克服しています。
このやり方がボックススクワットにも応用できます。停滞期になったら、スクワットの重量も強度も大幅に落として、ボックススクワットでフォームを確認しつつ、徐々に重量と強度を戻していきます。その過程で元のパワーや強度に戻すと、さらに上に行けるようになります。
ボックススクワットと回数の関係
ボックススクワットと回数の関係について解説します。
1セット当たりの効果的な回数は何を目的としているかによって違います。それぞれの目的別の効果的な回数をご説明します。
パワーリフティングの場合の回数
パワーリフティングの試合では最高重量を1回挙げるので、普段の練習でも低回数でスクワットをしているイメージがありますが、普段の練習では基本的にパワーリフティングの世界では1セットあたり8回が推奨されています。
決していつでも低回数でスクワットをしているわけではありません。普段はボディビルダーと同じぐらいの中回数で鍛えつつ、試合の日にちに合わせてピークを作ります。
試合が近づくに従って1セットあたりの回数を8回から6回、5回、3回、1回と減らしていき、試合当日を迎えます。ボックススクワットでどの深さまで降ろすかを確認しながら行なうと、特に試合慣れしていない人に効果的です。
ボディビルの場合の回数
ボディビルや筋肉を大きくするためのボックススクワットの回数は1セット当たり6回から10回の中回数が基本です。
ボックススクワットではない場合と回数が変わるわけではありません。ボックススクワットにすることで、フォームが正確になり、1セット当たりの回数の効果が反映されやすくなります。
シェイプアップ目的の場合の回数
女性のシェイプアップ目的の場合は筋肉をさほど大きくすることなく、メリハリのある適度に発達した脚にするのが理想ですから、ボックススクワットを高重量で行なうよりも1セットあたり15回から20回ぐらいにするのが効果的です。
回数を多目にすることで代謝が速くなり、体脂肪の燃焼率も高くなります。
ボックススクワットにしたことで回数が減る理由
ボックススクワットにしたことで、それまでできていた回数がこなせなくなることがあります。
例えばボックスなしでやっていたときには100キロのスクワットが10回できていたのに、お尻の下にボックスを置くようにしたら5回しかできなくなるような場合です。ボックススクワットにしたからといって筋力がいきなり弱くなったわけではありません。
このような現象が起きるのは、ボックスにお尻がつくかつかないかの位置まで降ろすように矯正したことにより、フォームが正確になったことが理由です。
それまでは自分では深く降ろしたつもりでも深さが浅かったために回数が実力以上にできていたということです。
ウエイトリフターのように物理的にそれ以上、深く降ろすことが不可能なほどのスクワットが当たり前の人たちであれば、ボックススクワットにしたところで扱える重量も回数も影響を受けませんが、フォームがまだ固まっていない場合、ボックススクワットにすることで重量や回数に影響が出やすいです。
まとめ
ボックススクワットと普通のスクワットはボックスをお尻の下に置いて運動する以外には実質的な違いはありません。
フォーム自体も変わらないですし、スクワットとしての注意事項も同じです。
限界に近い高重量のバーベルを担いで深く降ろすことができて、フォームが崩れないのであれば、わざわざボックススクワットにする必要はないでしょう。
しかし、本格的スクワットで鍛えているトレーニーほど、フォームが崩れやすくなりがちです。特に初心者がそうです。
慣れないスクワットで追い込むことは心理的なプレッシャーにもなります。物理的にそれ以上は絶対に降ろせない深さまで何でもなくしゃがめる人には必要ないですが、スクワットという種目は自分で思っているほど降ろしていないことが多いです。
ベンチプレスであれば必ずバーが胸につくまで降ろしますから、わざと浅くする以外は可動範囲が狭くなることは避けやすいですが、スクワットの場合は鏡で確認して、これぐらいの深さまで降ろそうとしているつもりでも、実際に高重量のバーベルを担ぐとイメージしたほど深く降ろせないものです。
その意味で、スクワットは非常にフォームが崩れやすい種目だと言えます。
フォームの崩れ方にしても、最も多いのが浅くなってしまうことです。フルスクワットのつもりが良くてパラレル、あるいはハーフぐらいの深さまでしか降ろせていないという例が非常に多いです。
このフォームを矯正するのは決して簡単ではありません。矯正が難しい理由のひとつが、そういう浅いスクワットをやっている人もバーベルを担がないか軽い重量であれば深くしゃがんだフルスクワットができているからです。
よくある例がウォーミングアップセットの軽い重量の間は深く降ろせているものが、高重量になるにしたがって浅くなるパターンです。
ウォーミングアップセットを何セットか使って重量を増やしていきますが、60キロから100キロぐらいまでは完全なフルスクワットだったものが、140キロなどの重さを担ぐセットになる頃には打って変わって浅くなってしまうような場合です。
本人からすればフォームが浅くなって崩れているという認識がないだけになかなか直せません。
このような問題を解決するのに効果的なのがボックススクワットです。
どこまで降ろせばいいのかが明確に体感できることで、フォームの矯正とスクワットでの効果を最大化できるでしょう。