ナロープッシュアップで上腕三頭筋や大胸筋内側を最大限に発達させる方法
ナロープッシュアップは普通のプッシュアップよりも手幅を狭くすることで、上腕三頭筋や大胸筋の内側を鍛えるのに効果的です。自宅で簡単にできるのもナロープッシュアップの魅力です。
しかし、正しやり方がわからないとなかなか思うような効果にはなりません。大胸筋や上腕三頭筋の使い方だけでなく、手首や体全体の使い方によっても効果が大きく違います。
ナロープッシュアップの効果を最大限に引き出すためのテクニックをご紹介します。
ナロープッシュアップで効果的に鍛えられる部位
ナロープッシュアップで効果的に鍛えられるのは次の部位です。
大胸筋の内側
普通のプッシュアップでは最も効果的に鍛えられるのが大胸筋です。しかし、手幅を狭くしたナロープッシュアップでは大胸筋の関与率が大幅に減ります。
その代わり、大胸筋の内部が鍛えられます。
三角筋前部
三角筋もナロープッシュアップで鍛えられますが、三角筋の前部、側部、後部のうちの前部だけです。
手幅が狭くなっていることで、三角筋前部のストレッチがより強くなり、普通のプッシュアップよりも効率よく鍛えられます。
上腕三頭筋
ナロープッシュアップで最も強く刺激されるのが上腕三頭筋です。
上腕三頭筋は長頭、短頭、内側頭に分かれていますが、ナロープッシュアップではそれら全体に刺激を与えます。
腹筋
上記の筋群ほどには直接的には鍛えられませんが、運動中の体を支えるために間接的に鍛えられます。
ナロープッシュアップと大胸筋の関係
通常のプッシュアップでは手幅を肩幅よりも広くして行なうため大胸筋が最も強く刺激されます。それに対してナロープッシュアップでは手幅を狭くすることで上腕三頭筋などに負荷が集中します。
ここでは、ナロープッシュアップと大胸筋の関係についてご説明します。
大胸筋全体の関与が減る
ナロープッシュアップでは普通のプッシュアップに比べて大胸筋の関与が大幅に減ります。普通のプッシュアップでは大胸筋が最も刺激されるのに対してナロープッシュアップでは上腕三頭筋が最も強く刺激されるようになります。
大胸筋の内側が鍛えられる
大胸筋全体の刺激が減る反面、普通のプッシュアップでは鍛えにくい大胸筋の内側を刺激してくれるメリットがあります。
しかし、大胸筋の内側だけが単独で発達し続けるなどということは現実には不可能です。筋肉というのは発達のバランスを取ろうとします。どこかの筋肉部位だけが極端に大きくなれば筋肉の機能がおかしくなってしまうからです。
筋肉にはそれぞれ拮抗筋があります。例を挙げれば大胸筋に対する拮抗筋は背筋、上腕三頭筋に対する拮抗筋が上腕二頭筋などです。
拮抗する状態でバランス良く発達していないと、筋力バランスが崩れてパフォーマンス能力に問題が出ます。
ナロープッシュアップと手首の問題
ナロープッシュアップは上腕三頭筋や大胸筋の内側を鍛える効果的である一方で、手首の負担が大きいという問題があります。
普通のプッシュアップでも手首の負担は小さくありませんが、ナロープッシュアップでは手幅が狭い分、余計に手首の負担が大きくなります。
手首の負担が大きい理由
プッシュアップという運動では手のひらを床について体全体を支えるため、手首が不自然な形に反ることになります。手首が反る角度が急になるほど手首にかかる負担が大きくなります。肩幅よりも広い手幅の普通のプッシュアップでも手首に負担がありますが、反り角度がそれほど大きくはありません。
これに対してナロープッシュアップの場合は手幅が狭いためにより手首の反り角度が大きくなり、手首にかかる負担が余計に大きくなります。
手首が痛くなる
その結果、人によってはナロープッシュアップで手首が痛くなる場合があります。手首が痛いのを我慢して続けるとケガの原因にもなります。
同じ態勢でも手首が痛くなる人とならない人がいるのは手首の柔軟性にも個人差があるからです。手首が硬い人ほどナロープッシュアップで手首が痛くなりやすいです。
解決策
解決策としては手首の向きを少し内側に向けることで手首の痛みを軽減できます。しかし、それでも痛みが出る場合は根本的な解決策にはなりません。
どうしても手首の角度に無理があるので、根本的に解決するにはプッシュアップバーを使うのがおすすめです。
ナロープッシュアップの効果的をさらに高くするプッシュアップバー
ナロープッシュアップの効果をさらに高めるにはプッシュアップバーがおすすめです。
プッシュアップバーを使えば、手を床について体を支えることのデメリットの解消にもなります。
可動域が格段に広くなる
プッシュアップバーでは床からの高さが20センチぐらいの位置にあるバーを握ることになりますが、そうすることで、可動域が格段に広くなります。
完全に降ろしたスタートポジションでの上腕三頭筋や大胸筋の内側のストレッチ感をかなり強くなります。可動域が広くなることはナロープッシュアップの運動強度そのものを強くします。
手首の負担が大幅に減る
プッシュアップバーを使うことのメリットのひとつが手首にかかる負担を減らせることです。床に手をついてのナロープッシュアップの場合、どうしても手首の反り角度が大きいために運動中に手首が痛くなる人が少なくありません。
プッシュアップバーのバーを握ることで、手首をそれほど反らさずに済むため、手首の負担を大幅に軽減できます。バーベルやダンベルを握るときと同様に前腕骨に垂直に負荷をかければ、手首を痛める可能性は大幅に減ります。
ナロープッシュアップで手首が痛くなる人はぜひプッシュアップバーを試してみるといいでしょう。
手の向きを最適なポジションに調節できる
また、プッシュアップバーには手の向きを最適化できるメリットもあります。
手のひらを床につく場合、手の向きを最適化しようとしても限界がありますが、プッシュアップバーであれば、上腕三頭筋や大胸筋の内側に最も効かしやすい手の向きにセッティングしやすいです。
プッシュアップバーを「ハ」の字の角度にすると上腕三頭筋に効かしやすいです。
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ナロープッシュアップのやり方
ナロープッシュアップのやり方についてご説明します。床に手をつく普通のパターンでもプッシュアップバーを使う場合でも共通したポイントです。
体全体を真っすぐに保つ
体全体を必ず真っすぐに保つようにします。お尻が浮いていたり、あるいは沈んでいたりして真っすぐな態勢を保てないことが多いですが、必ず体を一直線に保つようにします。最初は真っすぐに保てたものが回数を重ねて苦しくなると、フォームが崩れることが多いです。
フォームが崩れるとターゲットとして鍛えるべき上腕三頭筋や大胸筋の内部に刺激を与えられません。無理に回数をこなすよりも正確なフォームで行なうようにしましょう。
完全に下まで降ろす
手を直接床につく場合もプッシュアップバーを使用する場合でも、必ず下まで完全に降ろすようにします。上腕三頭筋にしても大胸筋の内側にしても、可動域が狭いと刺激を与えられません。
肘の使い方
肘の使い方としては肘を伸ばし切らずに、挙げ切ったポイントで少し余裕を残してすぐに降ろすようにします。
完全に肘を伸ばし切ってロックアウトすると、上腕三頭筋の緊張が抜けてしまいます。大胸筋の内側を鍛えるにしても、肘をロックアウトするよりも、やや余裕を残す方が緊張が持続します。
手幅と脇の締め方
手幅と脇をどれぐらい締めるかは上腕三頭筋と大胸筋の内側のどちらをターゲットにするかで多少違います。
上腕三頭筋をメインに鍛えるのであれば、手幅は肩幅と同じぐらいにして必ず脇を締めるようにします。
これに対して、大胸筋の内側を鍛えるには手幅は肩幅よりもやや狭くすると共に脇を少し開くようにします。そうすることで上腕三頭筋の関与率を減らして大胸筋の内側をよく刺激します。
呼吸法
スタートポジションでは腕を伸ばした状態です。そこから降ろすときに息を大きく吸い、押しながら息を吐きます。これを逆にしてしまうと押し系の種目では動きにくくなりますし、力が出しにくくなります。
降ろすスタートポジションから息を吸い始め、降ろし切ったポジションで息を吸い切るようにします。そして、そこから押し始めから息を吐き始め、押し切ったポジションで息を吐き切ります。この動作をリズミカルに繰り返します。
動作スピード
降ろす動作はコントロールしながらゆっくり降ろします。そして挙げる動作は爆発的に力を発揮するようにします。ゆっくり降ろすと言っても、必要以上に時間をかける必要はありません。降ろす動作で2秒、挙げる動作で1秒ぐらいの感じです。
動作スピードはゆっくりなほど効くと思いがちですが、必要以上にゆっくりした動作ではかえって効かなくなりますし、神経系への刺激が減って、筋力が伸びにくくなります。
回数
1セット当たりの回数は10回から15回を目安にしましょう。手幅が狭いので、普通のプッシュアップよりも回数をこなしにくいです。
大胸筋を使うにしても内側しか使えないため、見た目以上にハードな運動になります。
まとめ
ナロープッシュアップは自重トレーニングとして上腕三頭筋や大胸筋の内側を鍛えるのに効果的ですが、初心者でも意識しやすいのが上腕三頭筋です。
特にプッシュアップバーを使うと上腕三頭筋を強くストレッチされて、よく効いているのがわかりやすいでしょう。
プッシュアップバーを使うことで可動域が広くなり、より効果的ですが、手首の柔軟性がある人ならプッシュアップバーがなくても問題ありません。手首が痛くなるかは実際にやってみればすぐにわかりますから、プッシュアップバーが必要かどうかは自分の手首の柔軟性を確認してからでもいいでしょう。
ナロープッシュアップは大胸筋のトレーニングとしては内側に主に効くように狭い範囲がターゲットになる反面、上腕三頭筋を鍛えるに際しては上腕三頭筋全体に効きます。そのため、自宅での自重トレーニングとしてだけでなく、バーベルやマシンも使った本格的な筋トレとして使う場合、上腕三頭筋のメニューの最後に行なうと、最大限のパンプアップが得られます。