ダンベルショルダープレスの肩に効かせる正しいやり方 【重量・角度・フォームを確認!】
肩を大きくするにはフリーウエイトのダンベルが効果的です。バーベルショルダープレスが基本種目だとしても、小回りが利くダンベルでのショルダープレスも肩の発達に大きく影響します。
ダンベルショルダープレスは可動域などの点でバーベルにはない効果が期待できます。ダンベルショルダープレスの正しいやり方、肩に効かせる方法などを解説いたします。
ダンベルショルダープレスで扱える重量
ダンベルショルダープレスで扱える重量について解説します。ある程度筋トレの経験があればどのぐらいの重量が扱えるかわかりますが、初心者の場合、どのぐらいの重量から始めればいいのか基準がわかりにくいでしょう。
初心者が扱える平均的な重量
ダンベルショルダープレスを筋トレ初心者が始めて行なうとしたら、平均的な筋力の男性であれば片手に10kg、女性であれば3kgから5kgあたりになります。あくまでも平均値ですから、これらの数字よりも多少増減しますが、目安としてはこのぐらいです。
初心者の場合、ダンベルの動かし方や三角筋の効かせ方がわからないので、無理に重い重量を持つよりもやや余裕がある重さから始めるようにしましょう。
慣れてくれば効かせながら高重量を扱うことができるようになります。
ダンベルショルダープレス20kg
ダンベルショルダープレスを20kgで正確なフォームで繰り返せるとしたら、初心者のレベルを超えて中級者ぐらいの筋力です。
ここで言う正確なフォームとはダンベルを完全に降ろしたポジションから腕を伸ばし切るまで挙げ切れることです。上の方でちょっとだけ挙げ下ろしするようなフォームではいけません。
その完全なフォームでダンベルショルダープレスを20kgのダンベルで8回から10回できるならばかなりの筋力です。
ダンベルショルダープレス30kg
次にこれが30kgだとしたら、中級者を超えて上級者レベルです。30kgでやはり8回から10回をこなせるとしたら、肩の筋肉も目を見張るほどに発達を遂げているはずです。
ダンベルでの10キロの差はかなりのものです。ダンベル種目を伸ばすのはバーベル種目よりも難しいです。
バーベルで扱える重量の半分をダンベルで扱えるわけではありません。せいぜい3割から4割がやっとです。
バーベルは1本のシャフトの両端にプレートをつける構造になっているので、高重量を扱いやすいのに対して、ダンベルは左右の手に持ったウエイトがつながっていないので、その分、重量が下がります。そのハンディがあった上でのダンベルショルダープレス30kgという数字はかなりのものです。
ダンベルショルダープレス40kg
30kgをさらに超えて40kgとなると、本格的に筋トレを行なっているトレーニーの中でもかなり珍しいレベルです。
40kgものダンベルでショルダープレスを行なっているトレーニーを見かけたら、その重量よりもフォームに注目しましょう。大抵の場合、フォームが間違っています。
一番多いのが可動域が狭くなるパターンです。スタートポジションから少ししか挙げないパターンとダンベルを上に持ち上げて、上の位置で少ししか動かさないパターンです。どちらにしてもほとんど効きません。
しかし、可動域いっぱいにして正確なフォームで本当に40kgで8回から10回できるとしたら、滅多にいないほどの筋力です。バーベルでのショルダープレスだとしたら100kgで10回できるぐらいの数字になります。
ダンベルショルダープレスの適切な角度
ダンベルショルダープレスの適切な角度についてご説明します。
上体の角度は90度
上体の角度は常に90度を保ちます。動作中にフォームが崩れて体が後ろに反ってしまうことがよくあります。
上体が後ろに反ると肩にかかるべき負荷が大胸筋の上部に逃げてしまいますし、腰を痛める原因にもなります。
ベンチの角度は90度
上体が後ろに反らないようにするにはベンチを使って背もたれにするのが効果的です。
初めから90度に固定されているベンチもありますし、フラットベンチで角度調節ができるものであれば、90度かそれに近い位置にセッティングしましょう。
肘の角度は90度以下
ダンベルを肩の位置まで持ち上げてスタートポジションにすると、肘の角度は90度以下になります。
腕の長さによって個人差もありますが、90度以下になる人が多いでしょう。
90度にするとしたらダンベルの高さが耳の位置あたりになってしまい、スタートポジションとしては高過ぎます。スタートポジションの位置が高いと可動域が狭くなってしまいます。
バーベルショルダープレスとの違い
ダンベルショルダープレスとバーベルショルダープレスの違いについてご説明します。
降ろす位置の違い
大きな違いは降ろす位置の違いです。バーベルショルダープレスではバーがあるために、バーベルを持ち上げた位置から真っすぐに降ろしたとしたら頭に当たってしまいます。そのため、バーが顔の前を通って鎖骨の位置に降ろすか、頭の後ろの僧帽筋の位置にバーを降ろすことになります。
これに対してダンベルショルダープレスの場合は、左右の手に持ったダンベルとダンベルが離れているため、持ち上げた位置から垂直に降ろすことができます。筋肉を鍛えるウエイトの軌道としては、バーベルよりもはるかに自然です。
重量交換の手間の違い
バーベルショルダープレスであれば専用のベンチもありますし、スクワットラックやパワーラックを使用するにしても、必要な高さにラックを調整できますので、重量の交換が簡単です。プレートを外したり着けたりするだけです。
これに対して、ダンベルショルダープレスで重量を交換するには、セットごとにダンベルラックから必要な重さのダンベルを一対持ってこなくてはならず、なかなか大変です。
ウォームアップセット以外は同じ重量で行なう方法もありますが、セットを重ねて疲労してくると、重量固定では回数をこなせなくなりますから、ある程度は重量の交換が必要になります。
スタートポジションにセッティングする際の違い
バーベルショルダープレスでは必要な高さにあらかじめラックをセットしておけるため、スタートポジションにセッティングするのが簡単です。
それに対してダンベルショルダープレスの場合はセットごとに床に置いたダンベルを肩の位置まで持ち上げる必要がある点で面倒です。
扱う重量ではバーベルにはかなわない
扱う重量ではバーベルショルダープレスにかないません。
両手に持ったダンベルの重量を足してもバーベルの8割程度が限界です。それ以下であることの方がむしろ多いぐらいです。
肘を伸ばし切っても大丈夫
バーベルショルダープレスの場合、トップポジションで肘を伸ばし切ると、肘を痛める危険がありますが、ダンベルショルダープレスの場合はその心配はありません。
バーベルの場合、肘を伸ばし切ると肘にかかる負荷の逃げ場がないため、ケガをしやすいのに対して、ダンベルの場合は逃げ場があるので、肘を伸ばし切っても大丈夫です。
ダンベルショルダープレスで効かせるコツ
ダンベルショルダープレスで肩に効かせるコツについてご紹介します。
座った状態で行なう
ダンベルショルダープレスは立った状態でも座った状態でもできますが、動作を安定させるためには座った方が肩に効かしやすいです。
バーベルでのバックプレスやフロントプレスでパワーラックやスクワットラックを使って、必要な高さにバーベルをセットしておくことができるので、立った状態でも問題ないですが、ダンベルでショルダープレスをする場合、セットごとに床からダンベルを肩の位置まで持ち上げなくてはならないので、立った状態では持ち上げる距離がある分、余計に大変になります。
胸を張る
胸を張った状態で動作します。胸を張らずに猫背になるような姿勢では肩から負荷が逃げてしまいますし、そもそも肩に力が入りません。
可動域をいっぱいに使う
ダンベルショルダープレスで効かない最大の理由が可動域が狭いことです。
重量が重過ぎて可動域いっぱいに動かせないパターンもありますし、疲れてフォームが崩れてしまう場合も疲労する割に肩に効きません。
必ずダンベルは下がるところまで下げ切り、挙がるところまで挙げ切りましょう。
肩甲骨を正しく使う
ダンベルショルダープレスで肩に効かせるには肩甲骨の使い方も重要です。
肩甲骨の使い方が悪いと本来なら効くべきものが効きません。
ダンベルショルダープレスでの正しい肩甲骨の使い方は、胸を張った状態で肩甲骨を内転させるのが肩の前面から側面にかけてを強く効かせるコツです。
ダンベルショルダープレスの効果的な回数
ダンベルショルダープレスの効果的な回数について解説します。
低回数では効かない
ダンベルでの種目はショルダープレスに限らず、低回数ではあまり効きません。
バーベルショルダープレスでも極端な低回数はおすすめしませんが、筋力を伸ばす意味で5回ぐらいをトップ重量にするのは効果的です。しかし、ダンベルの場合はそのような低回数セットを入れてもあまり意味がありません。
中回数が理想的
ダンベルショルダープレスでは低回数ではなく、8回から10回ぐらいの中回数が理想的です。最低でも6回はできる方がいいでしょう。
ダンベルショルダープレスの場合、あまりに低回数では肩に効かすのが難しくなります。
ショルダープレスマシンとの比較
ショルダープレスマシンとダンベルショルダープレスの違いを比較してみましょう。
軌道の違い
ショルダープレスマシンは軌道が機械的に決まっているので初心者でも使いやすいです。その軌道にしても真っすぐに上下するとは限りません。マシンによっては弧を描くようにした軌道になっています。しかし、どのような軌道であっても、あらかじめ決められた軌道の通りに筋肉を動かすのがショルダープレスマシンの特徴です。
それに対してダンベルショルダープレスでは自分で軌道を調節することになります。引力の法則に従えば、ダンベルは真っすぐに落ちるわけですが、肩を鍛えるために肩関節と肩甲骨を使って理想的な軌道を作ることが可能です。
効果の違い
ダンベルショルダープレスとショルダープレスマシンはどちらが効果的かを比較するのはなかなか難しいです。
ダンベルショルダープレスであればダンベルという筋トレ器具に限定されますが、ショルダープレスマシンは多種多様なものが存在しますので、一概にどちらが優秀とは言い切れません。
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ダンベルショルダープレスが伸びない場合の解決策
筋トレを始めたばかりであればダンベルショルダープレスの重量が簡単に伸びますが、ある程度筋トレ経験を積むと、重量が伸びにくくなります。
その際の対処法をご紹介します。
ワンハンドダンベルショルダープレスを併用する
ダンベルショルダープレスを行なう場合、多くのトレーニーは両手にダンベルを持って運動しています。これを片手で行なうワンハンドダンベルショルダープレスでやってみると両手で行なう場合に比べて高重量を挙げることが可能になります。
片手で行なうことで両手に分散していた筋力を片手に集中できるために、より高重量を扱えるわけです。この特性を利用して、ワンハンドダンベルショルダープレスを普通のダンベルショルダープレスと併用してみるのも重量を伸ばすのに効果的です。
ダンベルショルダープレスを週に2回行なうとしたら、しばらく週に1回ずつ交互に行なって見るのもいいでしょう。あるいは、3回に1回を片手で行なってみると高重量に慣れて、両手でのダンベルショルダープレスでも重量を伸ばしやすくなります。
ベンチの背もたれを使う
ダンベルショルダープレスを行なう場合、立って行なうよりもフラットベンチに座った方が体が安定して高重量を扱いやすくなります。座っているだけでなく、背もたれがあるとさらに重量を伸ばしやすくなります。フラットベンチにも単体で角度をつけることができないものと、角度をつけて背もたれを使えるものがあります。
あるいは、最初からダンベルショルダープレスがやりやすいように背もたれつきのベンチもあります。背もたれを使えるようであれば、活用してみましょう。ダンベルショルダープレスの際に最も筋力を発揮しやすくなります。
肩甲骨の使い方を改善する
肩甲骨の使い方は肩に効かせるためにだけでなく、ダンベルショルダープレスの重量を伸ばすためにも重要です。
重量が伸びないのであれば、肩甲骨の使い方が間違っていないかを確認してみましょう。肩甲骨の使い方を改善すれば、肩の前面から側面にかけてを強く刺激し、重量を伸ばしやすくなります。
まとめ
ダンベルショルダープレスは肩の筋肉を大きくする効果ではバーベルショルダープレスに次ぐ、肩の筋トレ種目の代表的な存在です。
バーベルの場合、どうしてもバーが邪魔して降ろす位置が最適にはできない難点があるのに対してダンベルショルダープレスは最も自然な位置に降ろすことができて、肩の筋肉に効かしやすいメリットがあります。
難点としてはダンベルが重くなるとスタートポジションに持っていくのが少々難しくなることと、両手に重量が分散されるためにバーベルほど高重量を扱いにくいことです。しかし、完全に降ろした際の三角筋にかかるストレッチの強さなど、バーベルショルダープレスにも勝る効果があります。
バーベルショルダーではあまり効かないトレーニーであってもダンベルショルダープレスなら効かせられることが多いです。
肩の筋トレメニューにぜひ入れておきたい種目のひとつです。