プリ―チャーカールで上腕二頭筋に効かせる方法とベンチの注意点
プリーチャーカールは上腕二頭筋を発達させる、非常に効果的な筋トレ種目です。
プリーチャーベンチという特殊なベンチを使って、上腕二頭筋をまるでフットボールのように大きく発達させることができると人気があります。
上腕二頭筋を発達させるには、上腕二頭筋をいかにストレッチさせるかが重要ですが、プリーチャーカールは上腕二頭筋を極限までストレッチさせてよく発達させます。
今回はプリーチャーカールで上腕二頭筋を大きく発達させる方法をご紹介します。
パーフェクトアームを作るプリーチャーカール
プリーチャーカールを世に知らしめたのは初代ミスター・オリンピアのラリー・スコット氏です。1965年と1966年のミスター・オリンピアのチャンピオンですが、フットボールのような上腕二頭筋は半世紀以上経った現在見ても素晴らしいです。上腕部が51センチもあり、形も素晴らしく、まさにパーフェクトアームと呼ばれるにふさわしい腕でした。
上腕部51センチというのは現在のプロボディビルダーとして考えても立派な数字です。現在ミスター・オリンピアコンテストで連勝中のフィル・ヒース選手も凄い腕をしていますが、巻き尺で実際に測っている映像を見ると54センチでした。現在のボディビルのレベルは1960年代や1970年代に比べて各段に進歩しているのは間違いないものの、腕の発達で見るとそれほど伸びていないとも言えるでしょう。
ラリー・スコット氏の腕がパーフェクトアームと呼ばれたのは、上腕二頭筋だけでなく、上腕三頭筋も前腕もすべて驚異的に発達していたからです。それぞれの筋腹が長く、かつピークがあって形が良く、バランスも見栄えも良いことがパーフェクトアームの条件です。過去から現在にかけてパーフェクトアームと言われたボディビルダーは数少ないです。ラリー・スコット氏はその数少ない一人でした。
そのラリー・スコット氏が非常に好んで行なったのがプリーチャーカールです。プリーチャーカールが正式名称ですが、ラリー・スコット氏で有名になったために「スコットカール」とも呼ばれています。
プリーチャーカールベンチ
プリーチャーカールにはプリーチャーカールベンチと呼ばれる特殊なベンチを使用します。
プリーチャーカールが考案されたのはラリー・スコット氏が活躍した1960年代です。もう半世紀以上経っているわけですから、プリーチャーカールベンチも様々な改良がなされて今日に至っています。しかし、皮肉なことに、改良を重ねた割に進化らしい進化をしていません。
現在普及しているプリーチャーカールベンチよりもラリー・スコット氏の時代のものやアーノルド・シュワルツェネガーらが使用していた1970年代のゴールドジムに設置されていたプリーチャーカールベンチの方が使い勝手が良さそうです。改良した結果、かえって使いにくくなる現象があるのはプリーチャーカールベンチに限りません。
今も昔も効果的なプリーチャーカールベンチの条件は変わりません。効果的なプリーチャーカールベンチの条件をご紹介します。
腕を乗せるパッドの角度が適切であること
腕を乗せるパッドの角度は浅過ぎても急過ぎても上腕二頭筋への効きが悪くなります。適切な角度には個人差もありますが、ラリー・スコット氏が使っていたプリーチャーカールベンチの角度は理想的です。だからこそあれほど効果があったのでしょう。
パッドの硬さが適切であること
腕を乗せるパッド部分の硬さも重要です。硬過ぎれば肘が痛くて動作がしづらいですし、柔らか過ぎれば、肘がパッドに食い込み過ぎて負荷が上腕二頭筋に上手く伝わりません。
硬過ぎて肘が痛いなら、タオルを敷くなどして工夫しましょう。
上腕二頭筋をストレッチさせやすいこと
プリーチャーカールで効かせる大きなコツはウエイトを下に降ろし切ったポジションで上腕二頭筋をストレッチさせることです。このストレッチ感の強さがプリーチャーカールのカギです。
高さが合っていること
腕を乗せるパッドの高さも重要です。高過ぎても、低過ぎても上腕二頭筋に最大限に効かせるには不十分です。
この高さは調節できることが多いですが、モデルによっては高さが固定されていて、調節できません。
プリーチャーカールで使用するウエイトの種類
プリーチャーカールで使用するウエイトとしてはバーベル、EZカールバー、ダンベルがあります。それぞれの使い方を解説いたします。
バーベル
バーベルでのプリーチャーカールは手首を外旋した状態に固定するため、上腕二頭筋のストレッチ感が強くて効果的です。
かなり高重量を扱える筋力が強いトレーニーがバーベルを好んで使う傾向があります。
バーベルを使う際には、長いバーでは場所的に狭いことがありますので、短いバーを使う方がやりやすいでしょう。
EZカールバー
アームカールでもそうですが、EZカールバーは手首に負担がかからないということで、プリーチャーカールでも人気です。
アームカールでバーベルよりもEZカールバーの方がやりやすい人はプリーチャーカールでもEZカールバーが使いやすいことが多いです。
ダンベル
ダンベルをプリーチャーカールに使用するのも効果的です。
ダンベルの場合、片手づつで行なうとストレッチさせやすいですし、集中もしやすいでしょう。
しかし、プリーチャーカールで最も有名になった上記のラリー・スコット氏はダンベルでのプリーチャーカールを両手で行なっていました。扱う重量も非常に重く、両手にダンベルを持ってプリーチャーカールを行なう姿はまさに壮観でした。
プリーチャーカールで効かせる方法
プリーチャーカールを効果的に効かせる方法をご紹介します。
ボトムポジションでストレッチさせる
ウエイトを降ろし切ったボトムポジションで上腕二頭筋を完全にストレッチさせましょう。
バーベルカールやダンベルカールなどでも、上体を垂直に立てた状態でのカール運動では肘を伸ばし切った状態では上腕二頭筋に負荷がかかっていませんが、プリーチャーカールでは、腕を乗せるパッド部分が斜めになっているため、ストレッチさせた状態でも負荷が強くかかります。そのため、トップポジション以外は上腕二頭筋の緊張が抜けません。
手幅と肘の幅を調節する
腕を乗せるパッド部分につく肘の幅とバーを握る手幅を調節すると上腕二頭筋に効かしやすいです。バーを握る手幅よりも肘の幅を狭くすることで上腕二頭筋の収縮が強くなるからです。
ストレートバーを使うバーベルの場合にこの効果が顕著に出ます。EZカールバーについては手幅は決まってしまいますから、肘の幅をやや狭くすることで対応するようにしましょう。
プリチャーカールで上腕二頭筋を効果的に鍛えるフォームを解説
まとめ
プリーチャーカールは上腕二頭筋を大きくする上で非常に効果的な種目です。人によってはバーベルカールやEZカールバーでのアームカール以上に効果がある例もあります。プリーチャーカールで絶大な効果を上げて、伝説的な腕を作り上げたラリー・スコット氏を見ればよくわかります。
プリーチャーカールが優秀なのは、ボトムポジションでも上腕二頭筋に強い負荷をかけるので、長いスパンで刺激を与えることです。
バーベルカールであれば、スタートポジションから肘を90度まで曲げたところまでが最大負荷なのに対して、プリーチャーカールは負荷がかかっている部分が非常に長いです。プリーチャーカールが上腕二頭筋のピークをつけるにも絶大な効果があると言われるのはそのためです。
非常に効果的な筋トレ種目なわけですが、難点はプリーチャーカールに不可欠なプリーチャーカールベンチの出来の良し悪しに大きく左右されることです。筋トレ器具の出来の良し悪しというのは、どんな筋トレ器具でも程度の差があるとしても存在します。人間が設計した工業製品である以上、それは仕方ないですが、プリーチャーカールベンチはその良し悪しの程度の幅が大きいです。
せっかく良いプリーチャーカールベンチがあったとしても、モデルチェンジで効きが悪いものになったりします。ジムにあるプリーチャーカールベンチがいまひとつの性能だとしたら、使う側のトレーニーの工夫がより必要になります。プリーチャーカールベンチの出来が良ければ絶大な効果が期待できるのがプリーチャーカールという種目です。