インクラインプレスの効果とスミスマシンとバーベルでの効かし方のコツ
ベンチプレスが大胸筋を鍛える基本であることは間違いないですが、フラットベンチでのベンチプレスだけでは大胸筋の上部は十分に鍛えられません。大胸筋上部を発達させてインパクトと立体感がある大胸筋にするためにはインクラインプレスが不可欠です。
大胸筋の上部がどれだけ発達しているかで全体のインパクトがまるで違ってきます。インクラインプレスの特徴、正しいテクニックをご紹介したいと思います。
インクラインプレスの目的
インクラインプレスの目的は大胸筋の上部を発達させることです。大胸筋には上部、中部、下部がありますが、インクラインプレスで鍛えられるのが上部です。
大胸筋の上部は範囲こそ中部に比べて狭いものの、大胸筋に迫力と立体感を与える上で非常に重要です。
大胸筋全体が見える場面でよりも、タンクトップのように上部の部分だけが見える場面で考えるとわかりやすいです。
上部が発達していると大胸筋全体が立体的になって迫力が出ます。特にボディビルのコンテストを目指すような本格的なトレーニーの場合は大胸筋上部をしっかりと鍛える必要があります。
インクラインプレスはバーベルを使う場合とスミスマシンを使う場合があります。それぞれの特徴があります。次にそれぞれのインクラインプレスの特徴を解説します。
バーベルでのインクラインプレス
インクラインプレスとして最も基本的なのがバーベルでのインクラインプレスです。どのような特徴があるかをご紹介します。
軌道が自由
バーベルでのインクラインプレスは軌道が自由なので、自分で軌道をコントロールしやすいのが特徴です。これはメリットにもデメリットにもなり得ます。
メリットにできるかどうかはトレーニーの技術次第です。
ベンチの角度が固定されている
バーベル用のインクラインベンチは角度を変えにくいです。モデルにもよりますが、35度から45度で固定されています。そのため、バーベルでのインクラインプレスでベンチの角度を変えたいのであれば、角度を変えられるフラットベンチとパワーラックかスクワットスタンドを組み合わせる必要があります。
自宅のジムであれば簡単にできますが、ジムでわざわざそのような手間をかけるのはなかなかに手間がかかります。固定されている角度の中で効かせるようにしましょう。
本来ならバーベル用のインクラインベンチでも角度が変えられればいいですが、構造上難しい面があります。
スミスマシンでのインクラインプレス
スミスマシンはインクラインプレスに最も効果がある筋トレ器具です。
スミスマシンとバーベルでのインクラインプレスの大きな違いは、スミスマシンはインクラインプレス以外の多種目に使えますが、バーベルでのインクラインプレスに使うベンチはそれ以外の使い道がないことです。
スミスマシンのインクラインプレスの特徴をご紹介します。
軌道が決まっていて効かしやすい
スミスマシンは軌道が固定されていて、インクラインプレスのような種目に最適です。バーベルよりも大胸筋上部に効かせるためのテクニックがなくても効かしやすいです。
垂直に上下するタイプのものを使う
スミスマシンにはバーが垂直に上下するものと、斜めに上下するものがあります。
斜めに上下するものは脚を鍛える種目には使いやすいですが、インクラインプレスには向きません。このタイプのスミスマシンでインクラインプレスをすると大胸筋上部に負荷がかからず、負荷が逃げてしまいます。スミスマシンでインクラインプレスを行なうのであれば、必ずバーが垂直に動くタイプのものを使用しましょう。
ベンチの角度を変えられる
バーベルでのインクラインプレスではベンチの角度を変えられないことが多いですが、スミスマシンの場合はラックとベンチが別々になっているので、簡単に角度を変えることが可能です。
角度が固定されていると、微妙に自分に合った角度に合わせにくいですが、スミスマシンでは角度を細かく調整できるので、使いやすいです。
大胸筋上部への効果的な効かし方
インクラインプレスのターゲットは大胸筋の上部ですが、この部分は大胸筋の範囲としては狭いです。その狭い範囲に確実に効かせる方法を解説します。
バーは真上に押す
バーベルは真っ直ぐ上に押します。バーベルの場合、軌道を自分でコントロールするので、いかに真っ直ぐ上に押し上げるかで効き方が違います。
スミスマシンであれば軌道が固定されているので、真上に押すことを意識しなくても効かしやすいメリットがあります。真上に押すという動作は、慣れないうちはやりにくいかもしれません。
バーを自然に動かすと、真上よりも肩関節の方向に合わせて、斜め上に押してしまいます。それが真上の方向に思えますが、実は斜め上に押していることになります。
正しくバーベルを真上に押すには、前方に少し斜め上に押すぐらいの感じにすると、真上になります。
スミスマシンなら軌道が固定されているので、この問題は起きませんが、バーベルの場合は軌道が自由なだけに自分でコントロールしないといけません。
バーを降ろす位置は鎖骨の近く
バーを降ろす位置は鎖骨の近くです。これをもっと下にしてしまうと、大胸筋上部への効きが甘くなります。
スミスマシンで行なう場合は、バーが鎖骨の近くに降りるようにベンチの位置を調節します。バーベルであれば、軌道が効きにくければ途中から調節できますが、スミスマシンの場合はあらかじめバーが降りる位置にきっちり合わせておかないと、セットの途中で直すことができません。
降ろした際に大胸筋上部をストレッチさせる
バーを降ろした際に大胸筋上部をストレッチさせます。このストレッチがあるとないとでは、効き方がまるで違います。このストレッチのために役立つのは肘の使い方です。
ベンチの角度は35度から45度
インクラインベンチの角度は35度から45度が大胸筋上部に効きやすいです。45度以上になると大胸筋上部よりも肩の前面により強く効いてしまいます。逆に35度以下にすると、大胸筋上部から負荷が中部の方に逃げてしまいます。
押し切った際に大胸筋上部を収縮させる
バーを押し切ったフィニッシュポジションで大胸筋上部を強く収縮させるようにします。そうすることで、レップスごとの収縮を最大限に活用できます。
大胸筋上部の種目「インクラインベンチプレス」トレーニング動画
インクラインプレスのタイミング
インクラインプレスをすべきタイミングはベンチプレスを行なうかどうかで変わってきます。
ベンチプレスを行なう場合
ベンチプレスを行なう場合はまず第一にベンチプレスを優先すべきですから、インクラインプレスは第二種目にすべきです。
ベンチプレスは上半身で最も高重量が扱える基本種目であり、刺激できる範囲がインクラインプレスよりもはるかに広いので、最優先にすべきです。この順番を変えて、インクラインプレスを先に行なってからベンチプレスを行なうとなると、挙がる重量が下がってしまいます。これは非常にもったいないです。
よほど大胸筋が発達しやすいとか、ベンチプレスの重量にこだわらなくても良いのであれば、インクラインプレスから始めるのも良いですが、初心者や中級者レベルであれば、やはりベンチプレスを優先するのが得策です。
ベンチプレスを行なわない場合
しかし、ベンチプレスが合わない人の場合は無理にベンチプレスを行なっても大胸筋が発達しませんから、その場合はダンベルベンチプレスかインクラインプレスを最初の種目にすることになります。ダンベルベンチプレスとインクラインプレスの優先順位であれば、それほどこだわる必要はありません。むしろインクラインプレスから入った方がスムーズかもしれません。
他にもインクラインプレスから入って、2種目目にハンマーストレングスマシンにするなど、組み合わせはいろいろと考えられます。ベンチプレスを行なわないのであれば、インクラインプレスが最も高重量が扱える種目になります。
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アメリカではインクラインプレスが主流
アメリカではインクラインプレスを最初に行なうのが主流になっています。ハンマーストレングスマシンなどが普及したこととも関係があるかもしれません。
普通のベンチプレス自体を行なう人が少ないため、ベンチプレス用のベンチもあまり置いていないそうです。筋トレ器具が発達したからこその現象です。
まとめ
インクラインプレスはベンチプレスに次ぐ、重要な種目です。ベンチプレスが効かない人でもインクラインプレスはほとんどの場合、効かせることができます。ベンチプレスよりも相性の範囲が広い種目だと言えます。
ベンチプレスは効かないからやらない人でも、インクラインプレスは行なうことが多いです。
ベンチプレスが効かない人であれば、インクラインプレスを第一種目にして、大胸筋のメニューを組み立てることができます。この際、インクラインプレスの重量にこだわりましょう。
ベンチプレスを行なっていれば、筋力を伸ばすのはベンチプレスを優先にして、インクラインプレスは効かせることに集中させる使い方もできますが、ベンチプレスをやらないのであれば、筋力を伸ばすためにもインクラインプレスの重量にこだわりましょう。