前頭筋の位置や機能、鍛え方と鍛えることで得られる3つの効果を解説
額、おでこの筋肉と聞いてもすぐにはピンときませんが、前頭筋という薄い筋肉でおおわれています。
薄くて比較的小さな筋肉ですが、この前頭筋は意外と大切。筋力が弱ったり、筋肉の柔軟性が失われると、顔のたるみや頭髪の抜け毛、肩や首のこりにまで影響がでてしまいます。
この記事では、そんな前頭筋の鍛え方やポイントを解説します。前頭筋を鍛えて美容と健康を目指しましょう。
前頭筋は、どこの筋肉?
前頭筋(Frontalis)は、シンプルにいうと、額、おでこの筋肉になります。
目の内眼角、つまり目頭や眉間、鼻筋からはじまり、二股に分かれるような形で額全体を覆っており、そのまま頭頂部の少し手前まで伸びている筋肉です。
ちなみに、人間の頭頂部には筋肉がありません。筋肉の代わりに、帽状腱膜という薄い膜のような組織でおおわれています。そのため、前頭筋は全身の筋肉の、いわば上端ということになります。
前頭筋の機能、役割について
前頭筋の主な機能、役割は、以下の4つになります。
- 眉毛を上げる
- 目を見開く
- 額にしわを寄せる
- 帽状腱膜を前方に引っ張る
前頭筋の機能をまとめると、「下方にある部位を引っ張り上げる」、「上方にある部位を引っ張り下げる」ということになります。
前者の「引っ張り上げる」という機能は、「眉毛を上げる」、「目を見開く」という動作と関わっています。筋肉を収縮させることで目の周りの筋肉を引き上げるわけです。
また、筋肉が収縮すると、額の皮膚がいわば余ってしまうために、その分が「しわ」になって現れます。
もうひとつの「引っ張り下げる」ほうは、残りの一つ、「帽状腱膜を引っ張る」という機能と関わっています。
頭皮を包んでいる帽状腱膜は、例えると太鼓の皮のようなもので、周囲の筋肉が引っ張り下げることで、一定の張りと安定を保っています。ただ、こちらの機能については、普段はほとんど意識することはないと思います。
前頭筋の鍛え方
前頭筋のトレーニング
では、さっそく前頭筋のトレーニング方法を紹介しましょう。
前頭筋は顔の筋肉、それも比較的狭い範囲の筋肉ですから、器具を使うこともないですし、エクササイズの動作も小さめ。時間や場所、コンディションを選ばずに鍛えることができます。
- 眉毛を上方にぐっと上げる。このとき、目も大きく見開くようにする。
- 5秒から10秒ほど、その状態をキープする。ゆっくりと眉をもとの位置に戻す。
- 1~3の動作を5回から10回繰り返す。
これだけです。シンプルですよね。
キープ時間は、前頭筋のコンディションによって調節してください。前頭筋に衰えが生じている方の場合は、いきなり10秒キープはつらいかもしれません。
5秒や、3秒あたりからスタートして、徐々に時間を延ばしていくようにします。
回数に関しても、最初は少ない回数から始めて、少しずつ増やしてください。
トレーニングの注意点とポイント
実際に行ってみると、エクササイズの度ごとに、額にしわが寄ることが気になる方もあると思います。
上記のトレーニングは、前頭筋を収縮させて行うエクササイズですから、普通に行うとどうしても額にしわができてしまいます。
気になる方は、額の皮膚を指やてのひらでしっかり押さえ、皮膚があまり動かないように固定しながら行ってください。
また、大切な注意点としては、眉をもとの位置に戻す際は、できるだけゆっくりと戻すことです。筋肉の戻りに意識的に抵抗することで、より高いエクササイズの効果が期待できます。
逆に、眉を上げているときだけ力を入れて、そのあと一気に力を抜いてしまうと、効果は半減です。ぜひ、実践してみてください。
前頭筋を鍛えると、どんな効果が得られる?
前頭筋のトレーニングは、主に美容的な効果が期待できます。主な効果としては、
- 額のしわの予防、解消
- 額、顔のたるみの予防、解消
- 頭皮の柔軟性を高める
などがあげられます。
額のしわの予防、解消
部位にかかわらず、しわというのは、たとえるならば皮膚に「折れグセ」がついた状態です。
皮膚に充分なハリと柔軟性があれば、表情じわなどで一時的にしわができたとしても、すぐに元に戻ります。でも、加齢などで皮膚の水分やハリが失われると、戻りづらくなり、だんだんとしわが固定化されてしまうのです。
前頭筋を鍛えると筋繊維が太くなりますから、皮膚にはより多くの血液や水分が供給されるようになり、それに伴ってコラーゲンの生成も促されます。皮膚にハリがでて、しわの予防、解消につながります。
額、顔のたるみの予防、解消
前頭筋には眉毛を引き上げたり、目を見開く機能があることは前述しましたが、このように、自在に眉や目を上げたり下げたりするためには、前頭筋がしっかりとした弾力を保っていることが大切です。
前頭筋が弾力や柔軟性を失ってくると、まず額がたるみ、それからたるんだ額の重さで目の周りもたるんできます。
前頭筋を鍛えて、額や目の周りをしっかりと支えることで、たるみを防ぐことができますし、たるみのある方は解消効果が期待できます。
頭皮の柔軟性を高める
健康な筋肉には、伸びる機能と縮む機能がバランスよく備わっていますが、筋繊維が衰えて筋肉が固くなってくると、自在に伸び縮みすることが困難になります。
前頭筋の場合は、頭頂部の帽状腱膜に影響が生じてきます。前頭筋の基本的な役割は帽状腱膜を引っ張り下げることですが、正確にいうと引っ張るだけではなく、筋肉の伸縮によって帽状腱膜は柔らかく動くことができているのです。
前頭筋が固くなると帽状腱膜も柔軟に動くことができず、頭皮が固くなってしまいます。
筋肉が強化されると伸縮の機能を取り戻すことができます。
前頭筋が衰えることで起きるトラブル
解説したように、前頭筋が衰えると額のしわ、たるみ、頭皮が固くなるといったトラブルが生じることになりますが、その他にも、
- 頭痛
- 抜け毛
- 肩こり
といった、二次的なトラブルが起きるリスクがあります。
頭痛
前頭筋と帽状腱膜が固くなると、頭がい骨全体が筋肉や腱膜でしめつけられるという症状が起こってきます。
筋肉も腱膜も、伸び縮みするゴムのようなものなので、収縮したまま固まると、その下にある頭がい骨が圧迫を受けるのです。
圧迫によって頭部全体の血流が悪化し、頭痛を誘発します。
抜け毛
抜け毛も、次で紹介する肩こりも、根本原因は頭痛で解説したように、頭部の血流不全です。
抜け毛の場合は、血流悪化によって頭髪が生成される毛根部分に栄養が行き渡らなくなり、頭髪が痩せて弱ってしまいます。
毛根につながっている血管は非常に細いため、血流不全の影響を大きく受けることになります。
肩こり
頭部の血流が悪くなることに加え、後頭筋とのバランスが崩れることで、肩こりが発生します。
後頭筋は、首から頭部へ伸びて帽状腱膜とつながっている筋肉ですが、前頭筋の柔軟性が失われると、後頭筋も自由に伸縮することができなくなり、結果的に後頭筋も固まってしまいます。
首から肩の筋肉がこわばると、それが肩こりや首こりにつながります。
肩こりの場合は前頭筋のトレーニングだけでなく、後頭筋のケアも一緒に行うのがおすすめです。
後頭筋も一緒にケアするのがおすすめ
肩こりのトピックでもふれましたが、肩こり対策としてだけでなく、普段から前頭筋と後頭筋は一緒にケアするのがおすすめです。
前頭筋と後頭筋は前後からセットで、頭部の帽状腱膜を支えていますから、強度や柔軟性が大きく偏ると、トラブルの原因になることもあります。
ただし、わざわざ筋トレをする必要はありません。硬直が起こらないようにマッサージをする程度で大丈夫です。
背筋、首筋を伸ばして座り、首から後頭部へ向かって指で軽く押し上げるようにもみほぐしてください。