前腕を鍛える筋トレメニューの組み合わせとトレーニングの秘訣
腕の筋肉というと、力こぶとか、主に上腕、肩に近い方を想像する人が多いかもしれません。しかし、実際外に出て見られているのは、(タンクトップ等を着ている以外では)上腕ではなく前腕であることの方が多いのです。
ここでは、そんな前腕をよりたくましく格好よく見せて、強化させるための筋トレのメニューの種類等について紹介します。
前腕の筋肉の構造について
前腕の筋肉といっても、多数の細かい筋肉があり、前腕のどこの部分の筋肉を強化するかによって、トレーニングの種類、方法も変わってくることがあります。まず、前腕の筋肉にどんなものがあるか、説明しておきます。
ざっと大きく前腕筋群を分けると、前腕伸筋群、前腕屈筋群、腕橈骨筋(わんとうこつきん)があります。
前腕伸筋群は、手の甲側に手首を曲げる時、前腕屈筋群は手のひら側に曲げる時に使われる筋肉です。この2つの筋肉は、主にリストカールとリバースリストカールにより強化できます。
腕橈骨筋は、前腕前面の外側にあり、前腕伸筋群、前腕屈筋群のように手関節をまたぎ手につながっていません。手首の動きには関わらないので、手首の動作の筋トレをしても鍛えられません。上腕二頭筋や上腕筋のように、肘を曲げる時に使われますが、上腕二頭筋、上腕筋とは作用が少し異なります。
腕橈骨筋の主な役割としては、肘を曲げる動作と、手のひらを下にして、前腕部を捻って上に向ける動作(前腕の回内)、手のひらを上に向け、前腕部を捻って下に向ける動作(前腕の回外)があります。
わかりやすく日常生活での動作に例えるなら、ペットボトルの蓋を回して開ける、ドアノブを回す、栓抜きでワインのコルクを開ける、腕相撲で相手の腕を引きつけてつり上げる、ジョッキでビールを飲みながら腕を上げていく時、などに影響しています。
腕橈骨筋は、前腕に位置している筋肉の中でもかなり大きい筋肉なので、前腕を鍛えたい人にとって案外重要な部位になっていきます。この筋肉が強化できれば、より効率よく前腕のたくましさの表現につなげることができます。
また、背中の筋トレの種目でも十分に鍛えられているので、体幹も十分な負荷をかけて鍛えることも必要になっていきますが、特に前腕を鍛えることを重点においている人や、上腕が鍛えられてきた人は、背中の種目より前腕の筋トレにしっかりと取り組んだ方がおすすめです。
次に、前腕の筋トレのメニューの組み方や、メニューの種類等について説明していきます。
前腕の筋トレのメニューについて
メニューの組み合わせ例とトレーニングのポイント
前に説明した前腕伸筋群、前腕屈筋群、腕橈骨筋を、バランス良く鍛えることをおすすめします。
前腕は、持久力のある筋肉が集まっているので、背中等のトレーニングで少し負荷をかけてから前腕の筋トレを始めるとより効果は得られます。
具体的なメニューの組み合せ例
- ハンマーカール(またはリバースカール) 2セット
- ダンベルリストカール(またはバーベルリストカール) 2セット
- ダンベルリバースリストカール(またはバーベルリバースリストカール) 2セット
このメニューでの、ハンマーカール、リバースカール以外では、負荷は低めで回数を多めに、休憩時間は短めに行うと良いです。
また、メインセットの前のアップセットも省略しないできちんと行った方が、急に高負荷をかけた時の怪我の防止や、フォームの確認によってより安全にトレーニングできますので、忘れずに心がけて下さい。
アップセットについて
筋肉にあまり疲労が残らない程度で、身体を慣らします。
具体的に書くと、メインセットの1セット目がMAX(1回だけ持ち上げられる重量)の80%として、50%を10回、60%を5回、70%を2回、75%を1回、メインセットのMAX80%、のようにこなしていきます。
これは一例として挙げただけですので、そのままこの通りに取り組まなければいけないという訳ではありません。
要は、筋肉を慣らした状態でメインセットに取り組めればokです。この例が参考でも構いませんし、色々考えてみて、自分なりのアップセットを見つけて下さい。
また、種目によりアップセットのあまり必要のないものもあります。使う筋肉の小さい種目は、割とアップセットは省略しても問題ないです。
絶対にアップセットの必要な種目は、関節を多く使い、大きな筋肉を鍛える、負荷の強いものです。(ベンチプレスなど)
トレーニングする時のポイントとしては、目的の筋肉を意識して行う、負荷は低めで、休み時間は短め、前腕のメニューは他の筋トレメニューの最後に行う、これらの点をおさえて取り組めば効果的です。
前腕のメニューの種類について
前腕の強化できる種目について紹介していきます。
リストカール
前腕屈筋群が鍛えられます。また、前腕を太くしたい人にも効果的です。
前腕の前面を強化していくトレーニングです。
よりたくましい腕になれる他に、手を使う作業の多い人には、腕と手首が疲れにくくなる等のメリットがあります。
椅子などの上で両手にウエイト(ダンベルなど)を持ち、手首でゆっくりと上げていきます。
リストカールの動作説明
- 椅子やベンチの上に座り、逆手にダンベルを持ち、腕は膝の上に置きます。
- 手首の力のみで、巻き込むようにダンベルを持ち上げます。前腕は膝に固定したまま、浮かないようにします。強くダンベルを握り過ぎず、力を入れ過ぎずに、動作をするのに必要なだけの力で行います。
- ゆっくりとダンベルをおろしていき、もとのポジションに戻ります。
この動作を、左右両方、各15回を2セット行います。
前腕、手首、目的の筋肉を使っているか、意識しながら行いましょう。
ダンベルが重すぎる時は、軽めのダンベルに変えて行って下さい。無理して持ち上げると、手首と前腕の怪我につながる危険があります。ダンベルの重さの目安は、15回やってみて前腕に適度な負荷がかかる程度のものです。腱鞘炎の予防で行う人は、炎症が治まってだいぶ落ちついてから、無理のないように行って下さい。
リストエクステンション
前腕伸筋群が鍛えられます。簡単に説明すると、椅子などに座って手のひらを下にし、ダンベルを固定しながらゆっくりと手首だけで持ち上げます。
前腕を太くしたい人は、リストカールとセットで行うと効果的です。
リストエクステンションの動作説明
- ダンベルを持ち、ベンチの上など腕が固定できる場所に肘を置きます。
- 手のひらを下にして、手首を下げます。これが最初のポジションです。
- 手首だけの力でゆっくりとダンベルを持ち上げ、上げられる位置まで上げます。
- 最初のポジションにゆっくりと戻していきます。
これを、両手とも10回3セット行いましょう。
ダンベルを上げる時に息を吐き、おろす時に吸います。
おろしていく際に、目的の筋肉に重みがかかっているのを感じながらゆっくりとおろすのがポイントです。
ハンマーカール
腕橈骨筋と上腕二頭筋、上腕筋が鍛えられます。
手のひらは内側で、ダンベルを縦にしながら胸の方にゆっくりと持ち上げていきます。
ハンマーカールの動作説明
- 立って両手にダンベルを平行に持ちます。
- 肘を曲げて、上腕筋を意識しながらダンベルを縦にゆっくりと持ち上げ、胸に近づけていきます。
- 肘を伸ばしてダンベルを持ち、ゆっくりと元の位置に戻していきます。
これを繰り返します。
手首を返し、手のひらの向きを変えてトレーニングすることによって上腕の動作が減少して前腕の筋肉を強化することができます。
バーベルカール
バーベルを使って前腕と上腕二頭筋が鍛えられます。前腕の総合的な鍛え方をすることができます。
反動を使わないことがポイントの1つです。
バーベルカールの動作説明
- 肩幅ほどに足を開いて立ち、逆手でバーベルを持ちます。
- なるべく肘の位置は変えずに持ち上げて下さい。
- 持ち上げたら、力こぶを収縮させます。
- バーベルをおろしていきます。肘を伸ばしきらずに少し曲げたまま、力を抜かずに行ってください。
順手で行うと違う筋肉を鍛えてしまい、目的の筋肉に効かなくなってしまうので、バーベルは逆手で持ってください。
バーベルの両手の間が広いと二頭筋の内側に、狭いと二頭筋の外側に効きます。
初めてで、よくわからない人は、わき腹から1cm程あけてバーベルを持つのをおすすめします。
持ち上げる時に前腕と一緒に肩も上がってしまうと、目的の筋肉に効かなくなってしまうので、上がりすぎないように意識して行って下さい。
他にも色々な種類のものがあるようですが、ここでは割とよく知られているものを取り上げてみました。
ここで紹介した他にも、正しい知識をもとにトレーニングすれば、奇妙に筋肉がついてしまうこともなく、まともな、たくましい前腕が手に入れられるはずです。
目的に沿った筋肉が得られますように、頑張って挑戦してみて下さい。