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【管理栄養士が教える!】筋トレの効果をあげるトレーニング前後の食事

投稿日: 2017年05月07日

笑顔の栄養士

身体を作る上で必要な「炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル」は五大栄養素と呼ばれ、その中でも主な役割を担う「炭水化物・たんぱく質・脂質」は三大栄養素と呼ばれています。ビタミン・ミネラルは三大栄養素のサポートをしています。

筋肉トレーニングをする上で、トレーニング前に必要な栄養素は炭水化物(糖質)・たんぱく質、トレーニング後に必要な栄養素は炭水化物(糖質)・たんぱく質・ビタミン・クエン酸です。

特に、炭水化物(糖質)とたんぱく質は前後で必要となる栄養素でトレーニングを行う上で欠かせないものです。

この記事では、先に述べたトレーニング前後の食事について、何をどのようなタイミングで摂取すれば効率的なのか。身体に必要な栄養素と役割、その栄養素を摂るタイミング・方法について詳しく記載していきます。

1.身体に必要な栄養素=五大栄養素

五大栄養素とは「炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル」のことで、身体を作る上で必要なものです。その中でも「炭水化物・たんぱく質・脂質」は三大栄養素と呼ばれ、主な役割を担っています。

では、ひとつひとつの働きをみていきましょう。

1-1.炭水化物

炭水化物

炭水化物は糖質と食物繊維に分けられます。糖質はエネルギー源として、食物繊維は腸内環境整備や様々な疾患を予防する働きがあり、主にトレーニングに必要なのは「糖質」です。

糖質は1gあたり4kcalのエネルギーを作り出し、ヒトは食事・運動時にこのエネルギーを最初に使います。

また、このエネルギーは肝臓と筋肉に“グリコーゲン”という形で貯蔵され、筋肉にあるグリコーゲンはトレーニング時に利用されます。

しかし、筋肉に貯蔵される量は決まっているため、好きなだけ摂っても良いというわけではありません。必要以上に摂りすぎると、エネルギーとしてではなく、中性脂肪として身体の中に貯蔵されてしまうのです。

1-2.たんぱく質

たんぱく質

たんぱく質はエネルギー源・身体の構成成分としての働きを持ちます。

炭水化物と同様、1gあたり4kcalのエネルギーを作り出しますが、これよりも重要な役割は身体の材料となることです。

ヒトの大部分はたんぱく質を主原料としています。例えば、筋肉・皮膚・毛髪・臓器・血液。たんぱく質を摂らないと身体は作られません。

また、たんぱく質の中でも主にトレーニング時に必要なのはBCAAというアミノ酸です。
BCAAとはBranched Chain Amino Acidsの略で分岐鎖アミノ酸と呼ばれます。

具体的に、「バリン・ロイシン・イソロイシン」を指します。トレーニング中のエネルギーとして、グリコーゲンだけでなく、BCAAも利用されます。

1-3.脂質

脂質

脂質はエネルギー源・機能性脂質としての働きを持ちます。

炭水化物・たんぱく質同様エネルギーを作り出しますが、1gあたり9kcalと多く、長期間にわたって動き続ける有酸素運動に効果的というところが炭水化物・たんぱく質と異なる点です。

また、機能性脂質というところで、“生体膜の構成成分・脂溶性ビタミンの吸収補助・体温を保つ・皮膚の保護”といった役割を担っています。

“太る”、“脂肪となってしまう”など、良いイメージが少ない脂質かもしれないですが、身体にはとても大切な栄養素なのです。

1-4.ビタミン

ビタミン

ビタミンは三大栄養素の働きをサポートする、身体の調子を整えるという働きを持ちます。

脂溶性ビタミン(A・D・E・K)と水溶性ビタミン(B1・B2・B6・B12・ナイアシン・葉酸・パントテン酸・ビオチン・C)の2種類あります。

名前の通り、脂溶性は脂に溶け、水溶性は水に溶けます。

脂溶性ビタミンは炒め物など油脂を使う料理にすることで効果的に摂取できます。しかし、身体に吸収されやすいため摂りすぎには注意が必要です。

水溶性ビタミンは茹でることでビタミンが失われます。茹でる調理を行うときは、煮汁も有効に活用することが大切です。また、尿と一緒に身体の外へ排出されてしまいます。不足しないようにこまめに摂取しましょう。

1-5.ミネラル

ミネラル

ミネラルは身体の調子を整える、骨・歯を作るという働きを持ちます。

カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛等があり、それぞれ重要な役割を担っています。

2.食事をするタイミング・方法

トレーニング前と後で必要な栄養は異なります。1で述べた栄養素をいつ、どのように摂ると効率的なのでしょうか。

2-1.トレーニング前

トレーニング前の食事では「高糖質・高たんぱく質」=“疲労軽減を図る”食事をすることが望ましいです。

①高糖質

主食となるもの(ごはん・麺類・パン)、果物に多く含まれています。これらをたくさん摂ることで身体にエネルギーを蓄えることができます。

ただし、直前(30分以内)に摂取することは控えましょう。消化・吸収が十分されておらず、下痢・嘔吐を引き起こしてしまったり、疲労物質(乳酸)が身体に溜まりやすくなるからです。

トレーニング1時間前までに食事を済ませておきましょう。

直前に食べる場合は、消化・吸収の良い、果物・ジュース・ゼリー・栄養補助食品が適しています。

②高たんぱく質

肉類、魚介類、卵、大豆製品、牛乳・乳製品に多く含まれます。

トレーニング時には筋肉を作る働きを持つたんぱく質を多く摂取しなくてはなりません。具体的には、トレーニングをしていない人と比べると、1.4~1.7倍摂取する必要があります。

では、何を食べると良いのでしょうか。トレーニング後に、ハンバーガーやカレーライス、ラーメン等偏った食事をしている人も少なくないと思います。

理想は“一汁三菜”の食事です。その食事の中にたんぱく質源の食材を取り入れてください。プラスで牛乳やヨーグルトを取り入れることも有効です。

また、肉類でも皮つき・脂身の多い肉は脂肪量が多いため、控えることが望ましいです。

鶏肉の場合、モモ肉よりもムネ肉・ささみを選択しましょう。

ただ、食事だけでは、通常量の1.4~1.7倍のたんぱく質を摂取することが難しい場合があります。その時は、プロテイン等の栄養用補助食品を利用してください。

プロテインにも様々ありますが、BCAAが多く含まれる「ホエイプロテイン」が筋肉量を増やすには適しています。

2-2.トレーニング後

トレーニング後の食では「高糖質・高たんぱく質・ビタミン・クエン酸」=“疲労回復を図る”食事をすることが望ましいです。

①高糖質

トレーニング前と同様です。

トレーニングにより、エネルギーが失われているため、糖質を摂取し、補給します。

②高たんぱく質

トレーニング前は“筋肉の疲労軽減”を目的に摂取しますが、トレーニング後は“筋肉の回復・成長”を目的に摂取します。

プロテインを使用する場合は、トレーニング直前後の摂取をお勧めします。

③ビタミン

B1は糖質の代謝に、B6・B12・葉酸はたんぱく質の代謝に、B2・ナイアシン・パントテン酸は脂質の代謝に関係しています。

具体的にどの食品に含まれているかというと、糖質の代謝に関係するB1は玄米・豚肉・豆類・種実類に。
たんぱく質の代謝に関係するB6は牛肉・魚・卵・豆類・牛乳、B12は肉類・貝類・乳製品、葉酸はレバー・豆類・緑黄色野菜に。
脂質の代謝に関係するB2は納豆・卵黄・乳製品・緑黄色野菜、ナイアシンは肉類・魚介類・豆類・海藻類、パントテン酸は肉類・魚・牛乳に多く含まれています。

どこにでも売っているため、しっかりと食事をしていれば自然と摂れるものばかりです。

たんぱく質源・野菜類を積極的に摂取することでこれらを補う事が出来ます。

④クエン酸

酸味成分のひとつで、疲労回復、抗酸化作用(身体を酸化させない)、血流改善、ミネラルの吸収促進、美肌効果があります。

梅干し、レモン、グレープフルーツ(柑橘類)、いちご等に多く含まれています。食事にプラスして摂取してみてください。

まとめ

基本的には、「栄養バランスのとれた食事」がトレーニングをする上での大前提となります。

しかし、毎回バランスのとれた食事をすることが難しいのが現状です。

そのため、前述したような食事を心がけ、適宜、プロテインやサプリメント等の栄養補助食品を取り入れていくことが必要となります。