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大胸筋を鍛えるメリットとは?75歳の現役シニアトレーニーが教えます

投稿日: 2017年02月10日

ベンチプレスをするシニア

体力を維持したり増進させるためには、下半身もそうですが、とりわけ上半身の力をつける必要があります。

上半身の力の根源となっているのは大胸筋で、大胸筋の鍛錬にベンチプレスを欠かすことはできません。

ベンチプレスは簡単な運動ではありますが、運動していく上で注意しなければならない点もいくつかあります。ここでは筆者のこれまでの経験を交え、これらのことに触れてみます。

大胸筋を鍛えるメリットとは?

大胸筋

大胸筋を鍛えて分厚い胸板を作ることはボディ・ビルダーにとって最も大事なことかもしれませんが、我々一般の人にとっても体力を維持・増強する上で重要なことです。

上体の強さがなければとても力があるとは言えませんから。この大胸筋を鍛えるのに最も有効な方法はベンチプレスです。

ベンチプレスとはベンチのような細長い台に寝てバーベルを上げ下げする運動で、何の技巧も必要としませんが、これを長くつづけることによって上体が鍛えられ、すばらしい胸板が出来上がるのです。

ということで、ここではベンチプレスのやり方について述べますが、その前に私事で恐縮ですが、大胸筋を鍛えてきたために自分がどれほど有難い状況にあるか、ということから述べたいと思います。

トレーニングのおかげで75歳の今でも健康を維持

大胸筋 ベンチプレス

私が筋力トレーニングを始めたのは20歳の時で、それから55年になります。

当時大学生だった私は、同級生と比べて60kgの体重もないひ弱な体であったことに引け目を感じていました。

何とかして周りの人並みの体になりたいと思っていた私は筋力トレーニングを始めることとしました。

当時ボディ・ビルという言葉はありましたが、特に筋力トレーニングというものがほかにあったわけでもなかったので、ボディ・ビル用の用具と参考書を買って始めたわけです。

それから55年、仕事で忙殺された途中の20年かそこら、トレーニングをまったく中止しなければならない時期もありましたが、45歳以降、今日にいたるまでの30年間はほぼ1日おきにトレーニングを続けてきました。

若いころ100kg近く上げていたベンチプレスも年とともに力は落ちてきましたが、75歳になった今も元気で60kgのバーベルを上げています。

私は5人兄弟の次男坊ですが、親戚の人たちからは私だけが違う体格をしていることにいつも驚嘆のまなざしでみられています。

私はボディ・ビルダーを目指したわけではないので、自分の筋肉を人に見せるようなことはありませんが、がっしりした上体は服を着ていても外見に表れるようなのです。

また、なにか力仕事をしてもあまり疲れを感じない上、風邪など病気にほとんどかからないのもトレーニングのおかげと思っています。

ベンチプレスでの大胸筋の鍛え方

バーベルセット

さて、体にかけるバーベルの重さとしては、バーベルを肩にかついで屈伸運動を行うスクワットの場合が一番重いかもしれませんが、腕を介して体に一番の負荷をかける運動はベンチプレスです。

バーベルの重さが腕から大胸筋に伝えられるのでベンチプレスを繰り返し行うことで大胸筋が鍛えられ、分厚い胸板が作られていくわけです。

腕の筋肉を鍛えるのであればダンベルを片手に持って訓練することもできますが、大胸筋の鍛錬は両腕でバーベルを持ち上げますので、ベンチを必要とするという点がちょっとやっかいです。

大学生のころ、裕福でもなかった私は50kgのバーベルセットを買うのが精一杯でした。そこでベンチは近所から手に入れた廃材を使って自分で作り、50kg以上の重量はセメントから円盤状のコンクリートを作ってこれを利用しました。

今は自治体の所有する体育館には筋力トレーニング用の用具を置いてあるのが普通ですから、そこまでしなくてもいいかもしれません。しかしやろうと思えば自分で何とかなるものなのです。

筋力トレーニングといっても最初のころまったく無知だった私は、窪田 登という人が書かれた「ボディ・ビル入門」(昭和31年ベースボール・マガジン社発行)という本を手に入れ、これに従って進めていくこととしました。

何キロくらいからどのように進めていけばいいのか、どのようなことに注意しながら進めればいいのか、指導してくれる人もいなかったので、この本はとても役立ちました。

本の見返しにボディ・ビルダーとしてのこの方のりっぱな写真がありますが、ここまでなれるよう努力しようと思ったわけではありませんが、うらやましく思ったのも事実です。

さて、筋力トレーニング、特にベンチプレスでは体に重い負荷をかけますので肺や心臓にダメージを与えないよう注意することが必要です。

この点について「ボディ・ビル入門」には次のように書かれています。

バーベルは胸上に押し上げつつ息をはき、下ろしつつ息を吸う。或いは、バーベルを押し上げて息をはき、下ろしつつ息を吸う。初心者にとっては、むしろ前者の方が適当であろう。

つまり、胸腔が広がりつつあるときに空気を吸い込み、狭まりつつあるとき空気を吐き出しなさい、ということですから、自然な流れのように思われますけど、ふと気がつくと反対のことをやっていることもありますので、意識しながらやらないと体にダメージを与えることになりかねません。

持ち上げる重量と回数については次のように書かれています。

初心者は27.5kgくらいのバーベルを持って8回より始め、常時12回できるようになれば2.5kgの増量を行って元の8回より練習するようにする。

私も始めたころ、このやりかたに従って進み、2年後には100kg近くまで達しました。

45歳ごろ再開した後も低い重量から始めて75kgのベンチプレスまでいきましたが、ボディ・ビルダーを目指さない者に無理は必要なしと考え、それから先を追及することはやめ、あくまでも筋力トレーニングの一つという考えで続けております。

しかし、前進を目指さなくなると体は年とともに徐々に後退を始めるようです。

75kgを10回上げていた体力は60歳ごろは70kgを10回、へと後退し、75歳の今は60kgを10回へとまで落ちてきました。参考のために、私の現在のベンチプレスのメニューは次の通りとなっています。

40kg:15回、50kg:15回、60kg:10回×2

体を慣れさせるために、いきなり高い重量から始めず、40kgという軽量から始めています。決してレベルの高いものではなく、私より高齢の方々でももっと負荷のかかったベンチプレスを行い、体作りに励んでおられる方もいるようですが、健康を維持するための筋肉トレーニングとして、私にとっては十分と実感しております。

私はこの運動を一日おきに実施していますが、年に何かの都合で2~3回はできない日がどうしてもあります。

先日、文芸春秋2月号を読んでいると気になる記事に遭遇しました。専門医が教える「5つの臓器を老化から守れ」という記事です。

この中で、国立循環器病研究センター副院長の小林順二郎という方が、心臓という臓器を老化から守るため「筋トレは避けるべし」という記事を書いているのです。

この方によれば、「過度の運動で心臓に負担をかけ続けることで心筋が鍛えられ、結果として心筋が分厚くなる」ことがあるそうなのです。この心臓の壁が肥厚していく状態は一種の老化現象なのだそうです。

なぜなら心筋が厚くなると、拍動するたびに心臓は分厚い筋肉を動かすことになり、それだけ強い圧が必要ということになるので、高血圧につながるということのようです。

いわれてみれば「なるほど」とうなづけることではありますが、ただ、この先生の記事にはどの程度の強度の運動をどのくらいの時間、どのくらいの頻度で行えば危ないのか、という具体的な分析はありません。

一概に「筋トレは避けるべし」といわれても困ったもので、今後、データに裏づけられたもっと詳しいこの種の話を待ちたいものですが、とりあえず私の場合、いまのところこの先生が指摘しておられるような問題は起きていないということを申し上げておきます。