筋肉成長のメカニズム!タンパク質とビタミンB6が筋肉を効率よく成長させる
人間の体の組織は種々の物質から成り、作られる課程も単純ではありません。筋肉組織も同じで、質の良い筋肉が出来上がるための物質は一つではありません。
質の良い筋肉作りのための表の主役として「タンパク質」はよく知られています。しかしこの主役が更に活躍するためには、陰の主役「ビタミンB6」が必要なのです。タンパク質とビタミンB6の共同作業で、筋肉は効率よく成長していきます。
1.そもそも筋肉とは?
人間の体の臓器にはほとんどすべて筋肉組織がついています。筋肉組織は大きく分けると2種類で、平滑筋と横紋筋といいます。平滑筋はその人の意思により動く筋肉では無く、常に体内の心臓や血管などの重要臓器において生命維持に関与している休みなしで働く筋肉です。
私たちがよく想像する筋肉は横紋筋といい、運動に関与しその人の意思によって動かすことができます。いわゆるスポーツや筋トレといった運動だけでなく、日常生活動作で普通に行う「手を動かして取る」「立ち上がって歩く」といった行動すべてにおいて横紋筋が活躍しています。脳が認知し必要と感じた動きとそれに必要な力を、横紋筋を中心とした筋肉が実現します。
筋肉は生命維持と日常生活行動の安定のために、バランスよく体内臓器に配置されているのです。
2.筋肉は成長する
ここからは運動機能に関与する横紋筋という筋肉について綴ります。日常生活動作で必要な動きや力にも筋肉は使われますが、加齢とともに萎むものの成人ではその人その人の生活に合わせた筋肉は発達し通常の生活に困ることはあまりありません。日々の生活や仕事の中で、その人のライフスタイルに合わせた筋肉組成ができていくのです。
例えば、パティシエの様な仕事は腕に力を込めて混ぜる、という作業が多くなります。そうすると、自然に必要な二の腕の筋肉が発達し、はじめは大変でも徐々にスムーズに作業できるようになります。職業病として、腕だけ太くなっちゃってなどと悩んだりもするでしょう。このように、日常多く使う筋肉は成長していくのです。
3.筋肉のスムーズな成長のために
筋肉は成長できる組織である、ということは、意図的に鍛えれば全身の筋肉が成長し理想の体型が形作られると思ってしまいます。ただ、日々仕事などで否応なく使っている筋肉は確かに成長していきますが、それを元にただ全身を動かすだけではアンバランスになりがちです。全身の筋肉を鍛え綺麗に成長・発達させたい、と思ったときはどうすれば良いでしょうか。
筋肉の成長や発達に運動は必須ではあります。今現在可能な運動能力にプラスして筋肉に負荷をかけて運動すると、筋肉組織は一度傷ついて痛みを伴ったりしますが、その筋肉の傷を治そうとする体内のシステムにより補修されることの繰り返しで筋肉は成長します。しかし、こういった無理のかかる運動だけでは綺麗な筋肉は効率よくできません。
筋肉は繊維質でできています。その繊維質を作る物質はタンパク質です。つまり、良質のたんぱく質が大量に体内にある方が、傷ついた筋肉の修復は早くなるということです。そして、このタンパク質が活躍するにはビタミンが必要なのです。
4.筋肉はタンパク質
タンパク質は筋肉の直接の素材です。タンパク質の話になると「良質の」タンパク質をとりましょう、といわれることがよくあると思います。
良質のタンパク質とは何でしょうか。食品に含まれるたんぱく質と、現在体内にあるタンパク質は実は組成が違います。
体を作るタンパク質はアミノ酸を多く含んでいます。タンパク質をとってもアミノ酸が少ないと、筋肉に合成されるまで時間がかかり効率が良くありません。良質のたんぱく質とは、このアミノ酸を多く含むタンパク質、ひいてはそのような食品のことをいいます。
何が良質なたんぱく質を含む食品かというと、アミノ酸スコアというものがあります。食品中のアミノ酸の数値を示したもので100が最も多く、100に近い食材は卵・牛乳・大豆・イワシ・牛サーロイン・豚ロース・鶏むねなどがあります。
他にスコアが90を超しているのは、うなぎ・プロセスチーズなどが続いています。
はじめからタンパク質ばかりを意識した料理をしようとすると、料理に自信がある人ならともかく苦手な人には負担です。
そこでできることからはじめよう、となるとお手頃なのが卵です。卵はアミノ酸スコア100の良質タンパク質です。朝トーストだけでは炭水化物だけです。そこへゆで卵を添えるだけならそれほど手間もかからないでしょう。
他に、主食がご飯なら納豆をかける、アミノ酸スコアはやや低めですがバナナを食事に足す、というのも現実的に出来そうです。
またナッツ類は全体の栄養価も高く腹もちもよく、良質のたんぱく質の一つです。小腹が減ったりおやつが欲しいときは落花生やアーモンドなどはお勧めです。
ナッツ類は脂質が多いのでは、と思われがちですがナッツ類に含まれる脂質は善玉コレステロールへ変化します。何事も過ぎてはいけませんが、ここでも質よくタンパクが摂れるでしょう。
5.タンパク質の働きを良くするビタミン
タンパク質が筋肉になるには、いくつかの課程を通る必要がありやや時間がかかります。糖質などは食べてすぐ血糖値が上がるのをみてもわかるようにすぐにエネルギーになるのですが、タンパク質が筋肉に変換されるにはいくつかのステップが必要です。
そして、同時に取る食材の栄養バランスが優れていることも必要です。食事でとったタンパク質は最小単位のアミノ酸に分解され、このアミノ酸は別のアミノ酸になり血流に乗って必要か所のタンパク質として合成されます。
このスピードをアップさせる接種する栄養バランスを整えるのがビタミンの役目です。その中でも特に「ビタミンB6」は、筋肉の成長にむしろ必須ともいえます。
ビタミンB6は、タンパク質が最小単位のアミノ酸から別のアミノ酸に合成される時の課程に関与しています。この課程がスピードアップされることで、筋肉の成長は早まります。
ビタミンB6が多く含まれている食品は、肉・魚・卵などのいわゆるアミノ酸スコアの高い良質なたんぱく質といわれる食材です。その他に、緑黄色野菜にも多くピーマン・かぼちゃ・シシトウなどです。メインの豚料理にかぼちゃの煮物などの小鉢をつけることは、筋肉にとってもとても美味しい食事になるのです。
6.良質なたんぱく質がとれる調理法
良質なたんぱく質とビタミンB6を摂るには、やはり定食のようなメニューがお勧めです。メニューを考える際でもいくつかポイントがあります。
まず主食にタンパク質の多い豚肉やささみ肉や牛肉、またイワシなどの魚などを選びます。そのメイン食材自体に緑黄色野菜を絡めて調理する場合、例えば、野菜炒めなどにする際でもオリーブオイルを使うことがお勧めです。タンパク質の吸収には適度な脂質も必要なのですが、その際でもオリーブオイルを使うことでヘルシーに適度な資質を摂ることができます。
副菜にはメイン料理で使っていない野菜類や海藻類を選びます。海藻類はビタミン、ミネラルが豊富で食物繊維も多量に含まれています。ただ、これらの食材は調理方法がワンパターンになりがちです。サラダなど以外思いつかない場合は、味噌汁やスープ(いずれも塩分には注意)などで摂れば似たような食材でも飽きにくいようです。
またタンパク質の吸収を良くするためには、代謝が上がっていることもプラス条件でそのためにできるだけ温かい料理の方が良いでしょう。体を温め、代謝を上げて吸収力がアップします。
そして最後に大切なのは偏った食事をしないことです。
良質なタンパクやビタミンの摂取は、筋肉の成長や発達だけでなく全身の健康にも良いことです。しかしだからといって、豚肉料理ばかり、ささみばかりというのは筋肉以外の臓器の働きを悪くする可能性もありますし、全身の健康を阻害する恐れがあります。全身が健康で初めて筋肉は美しく成長するのです。