ひどい猫背や肩こりは背筋の衰えが原因!改善する背中の鍛え方とは
近年、日本人の姿勢の悪化が色々な所で指摘されるようになりました。長時間のデスクワーク、パソコンの画面の見過ぎなど日本人の姿勢が悪化した原因は、様々です。
後述しますが、姿勢が悪化すると呼吸が浅くなったり様々な病気の原因ともなります。そして、姿勢の悪化には、背中の筋肉の衰えが密接に関わっています。
ここでは、背中の筋肉を鍛える事で、姿勢の改善を目指し、様々な病気や不健康な症状の予防、改善を図ります。
猫背と背筋の関係
北海道大学が、2008年に行った学内調査では、自分の姿勢が悪いと答えた人は、男子学生54%、女子学生67%でした。首、肩に凝りのある学生は、男子31%、女子40%となっており、自他共に猫背と認めた人は全体の6割にも上り、半分以上の学生が猫背の状態に陥っているという結果が得られています。このような点からも、日本人の生活習慣病として猫背が挙げられる事も納得がいくものと思われます。
参考サイト
北海道大学大学院教育学研究院:大学生における猫背、腰痛、肩凝りの発現率とその対策についての調査(pdf)
猫背の状態を放置すると様々な弊害があり、具体的な病気としては自律神経失調症やうつ病になりやすくなります。このような病気の他にも、頭痛、頭が重い、眼精疲労、物忘れ、思考停止といった様々な弊害があります。
猫背の状態では呼吸も浅くなり、交感神経が興奮しやすくなり、前述の自律神経失調症に罹患しやすくなります。このような症状の予防策として、背筋の筋トレがあります。
筋トレをする事で猫背を直して健康な体を手に入れる事が出来ます。
今回は、背中の筋肉を鍛える方法を重点的にご紹介しますので、猫背に悩んでいる人も、逆三角形の背中を手に入れたい人も、筋肉ごとに有効な筋トレを実践していきましょう。
背中を構成する筋肉は、僧帽筋、広背筋、長背筋と3つの筋肉が主な筋肉になります。ここでは、この3つの筋肉が衰えるとどのような弊害があるのか、また鍛える方法と、鍛える事で治る可能性のある症状もご紹介します。
長背筋の役割と鍛え方
長背筋は、身体を起こす役目があるので、ここを鍛えると猫背の改善や腰痛の予防といった効果があります。
健康診断で背筋力を測る時は、主にこの長背筋を測定しています。また、姿勢が正しくなる事により、圧迫されていた内臓が正しい位置に収まり、消化機能も向上します。
長背筋を鍛えるには、背筋運動が効果的です。反動を利用しないでゆっくりと行うようにしましょう。
長背筋を鍛える背筋運動としては、まず足上げ背筋があります。うつ伏せに寝ころんで、右手と左足を上へと持ち上げます。右手と左足を降ろしたら、次に左手と右足を持ち上げます。このようにして10回から20回この動作を繰り返す事で、長背筋を鍛える事が出来ます。
また、基本的な背筋も効果的です。うつ伏せになった状態から、頭で両腕を組み、上半身を持ち上げます。この時反動をつけないで、ゆっくりと動作を行うと効果的に筋肉を鍛える事が出来ます。これも10回から20回行う事が、目に見える成果を得るためには効果的です。
広背筋の役割と鍛え方
姿勢を保つための筋肉は、主に広背筋と腸腰筋で、この二つの筋肉が衰えると、骨盤が歪んだり、猫背になったりします。
猫背は、身体の至る所に影響を与え、頭痛、肩こり、手足の冷え、便秘、お腹に脂肪がつきやすくなる、など様々な悪影響があります。
また、猫背で首が曲がると、自律神経が圧迫され鬱状態になる事もあります。背骨が曲がれば呼吸が浅くなり、交感神経が優位になった状態が続きます。
交感神経は、緊張している時、気持ちが高ぶっている時などに活発な状態になる神経で、日頃から交感神経が活発化した状態が続くと、自律神経失調症の原因にもなります。このように、筋トレを行う事は、精神面の不調を改善する事があります。
自分が鬱状態だったり、猫背が常態化しているなと思ったら、広背筋を鍛えて、姿勢の良い身体作りを行う事で症状の改善を図りましょう。
ダンベル・ローイング
広背筋を鍛えるには、ダンベルを使用したダンベル・ローイングが効果的です。身体を傾けて片方の手をつき、もう片方の手でダンベルを持ち上げる動作を行います。この時、腕の力を利用しないで、背中の広背筋を使うイメージでダンベルを持ちあげましょう。そうすると効果的に広背筋を鍛える事が出来ます。
ベントオーバー・ローイング
似たような運動として、ベントオーバー・ローイングが挙げられます。ひざを伸ばしたまま上体を前に傾けます。その状態のまま、手にしたダンベルを上に持ち上げます。腕の力で持ち上げるのではなく、背中の筋肉を使って持ち上げるように意識して行いましょう。
懸垂
また、懸垂も広背筋を鍛えるには効果的です。懸垂を行う際は、息を吸いながら身体を引き上げ、身体を下げる時は息を吐きます。このとき一気に身体を下げないで、背中の筋肉を使う事を意識しながらゆっくりと降ろしましょう。
腕の力を使って懸垂をすると広背筋が鍛えられません。懸垂を行う時は、広背筋を使う事を意識しましょう。
プランク
広背筋を鍛える方法としてはプランクも効果的です。プランクには腹部と背中の両方を鍛える効果がありますので、体幹を鍛えるにも効果的です。
プランクでは、まずうつ伏せの状態で肘と足のつま先で身体を支えます。足はつま先立ちのまま、腕をL字に曲げます。この状態から首を背中から真っ直ぐにするようにして、その姿勢を30秒~1分間キープします。この動作を毎日繰り返す事で、広背筋と腹筋、腹斜筋が鍛えられるので、バランスの良い姿勢を保つ事が出来ます。
その他にも、内臓機能の向上、腰痛解消といった効果があり、プランクは身体の健康増進にも効果があります。初めのうちは、30秒継続する事を目指しましょう。1分継続する事が出来るようになったら、片足、片手を浮かせると、大きな負荷をかける事ができ、効果的なトレーニングになります。
上級編では、バランスボールの上でプランクを行うと、支点が安定しないため、より効果的なトレーニングを行う事が出来ます。
僧帽筋の役割と鍛え方
僧帽筋は、肩こりの原因となる筋肉で、肩が凝っている時は、この僧帽筋が凝っている事になります。
肩こりは、デスクワークの多い現代人に多い厄介な症状で、厚生労働省の調査では、悩んでいる人の割合は、男性の2位、女性の1位にランクインしています。
NTTナビスペースの行った調査では、20代から30代、40代にかけて肩こりに悩んでいる人が多く、男性の40%、女性の60%が肩こりに悩んでいるという調査結果が得られています。
この肩こりが解消されるだけで身体がすっきりする人は多く、全体の半数近くの人が悩んでいる事を考えると、肩こりの原因を調べ、効果的な対策を施していく事が有効な対策であると思われます。
肩こりの原因は僧帽筋の緊張にありますので、この僧帽筋を弛める事が肩こりの解消に繋がります。僧帽筋を弛めるには広背筋を鍛えます。広背筋を鍛える事で相対的に僧帽筋が弛緩するので、広背筋のトレーニングが効果的です。
また、僧帽筋が衰えてくると首が安定しなくなるため、頭がふらついたり背中が丸まったりします。前述のように、猫背は自律神経失調症など、身体にとって良くない事を引き起こしますので、広背筋と合わせて僧帽筋もトレーニングで鍛えあげましょう。
ダンベルアップライトローイング
僧帽筋を鍛えるには、ダンベルアップライトローイングが効果的です。この運動では、身体の前でダンベルを持ち上げますが、この時、背中の筋肉を使っている事を意識しながら行うと、効果的に僧帽筋を鍛える事が出来ます。
ネックブリッジ
また、ネックブリッジも僧帽筋を鍛える上で効果があります。普通のブリッジは、手と足でブリッジを行いますが、ネックブリッジは、首も使ってブリッジを行います。首にストレスがかかり過ぎないように首への負荷を手で調節しながら、程良い力でブリッジを行いましょう。
僧帽筋を弛める効果的なストレッチ
肩こりを直すためには凝り固まった僧帽筋を弛める必要があります。具体的にどのようにして弛めるかと言うと、肩を下げる事で僧帽筋を弛め効果的なストレッチを行います。
頭を片方に傾け、それと反対方向の肩を下げます。すると、僧帽筋が伸び、ストレッチ効果が得られます。反対側も同じように頭を傾けてから肩を下げましょう。そうする事で僧帽筋が下がり、効果的なストレッチを行う事が出来ます。僧帽筋は、ストレッチで弛める事と、筋トレで鍛える事のふたつの作用が重要になります。
まとめ
背中の筋肉の衰えは、猫背、自律神経失調症、うつ病など様々な症状を引き起こす事があります。猫背やうつ病は、現代人につきものの生活習慣病ですから、背中の筋肉を鍛える事で、健康な身体を手に入れましょう。