尺側手根伸筋の鍛え方【自宅で簡単にできるストレッチ方法と本格的な筋トレ方法】
「尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん)」とは、手の甲を反らす時に使われる筋肉で、前腕にある数十種類もの筋肉のうちのひとつです。上腕では「上腕二頭筋」が有名ですが、前腕の筋肉についてはそれほど知られていません。
今回は、この尺側手根伸筋の鍛え方を中心に、機能や役割、また鍛えることで得られるメリットなどを詳しく解説していきます。
尺側手根伸筋の機能と役割
男性のたくましい筋肉を見ると女性はドキッとします。ですが普段は洋服で隠れがちで、そうそう筋肉のついた体を晒すことなどありません。
そのため、ふと腕まくりをした時などに見える筋肉質な腕などは女性のハートを掴むのに効果があります。特に尺側手根伸筋によってできた凹凸の筋肉にはグッとくるものが。
まずは尺側手根伸筋の機能や役割などについてみてみましょう。
尺側手根伸筋ってどこの筋肉?
冒頭でも少々触れましたが、尺側手根伸筋(英名:extensor carpi ulnaris muscle)がある場所は前腕の背面(手の甲側)。
小指側の尺骨に沿って肘まで伸び、前腕橈骨(ぜんわんとうこつ)をまたいで走っている細長い筋肉です。
尺側手根伸筋の機能
尺側手根伸筋は手首を小指の方向に曲げる尺屈動作・手首を反らせるなどの機能を担当していて、それ以外で手首を動かす場合はまた別の筋肉が使われます。
手首を動かすという動作だけで數十種類もの筋肉が使われているのです。
尺側手根伸筋の役割
一見大した役割でもなさそうな尺側手根伸筋ですが、日常生活では気付かないような場面で結構使われています。
- 小指側の拳でドアをノックする動作
- パン生地などをこねる際の手首の動き
- 二輪車でのハンドル操作
- テニスのバックハンド
- 空手の瓦割り
- 卓球のラケットの動き
- ゴルフクラブの微妙な握り方の違い
等々、様々なシーンで使われています。
尺側手根伸筋の鍛え方
尺側手根伸筋を鍛えるための効果的な方法は、肘関節を90度前方に曲げ手の平を上に向けたり(回外)下に向けたりする動き(回内)をするストレッチが有効です。
尺側手根伸筋を鍛えるため自宅で簡単にできるストレッチ方法
手首を手の甲側へ反らす動作などは日常的にできるストレッチとして、日頃からやるようにしておくと疲労がたまりにくくなります。
ストレッチ方法は以下のとおりです。
- ストレッチしたい側の腕をまっすぐ前に伸ばし手首を手の平側に曲げる
- 曲げた手の甲を空いている方の手で押さえる
- 押さえている方の手にゆっくりと力を入れ曲げている手首を自分の方にさらに押す
- 尺側手根伸筋への圧が感じられる所で維持
さらにもうひとつ別のストレッチ方法「スタティックストレッチ」を紹介します。
- 床にひざまずき両手の甲側が下になるように床につける
- 手の位置はそのままでお尻を徐々に後ろに移動させる
- 尺側手根伸筋への圧が感じられる所で20秒~30秒維持
- 上記を3~4セット繰り返す
上記2例は、道具も何も使う必要がなく誰でも簡単にできる方法ですので、覚えておくと便利です。
尺側手根伸筋を鍛えるためのトレーニングメニュー
尺側手根伸筋を本格的に鍛えるには様々な道具を使ったトレーニングメニューがあります。
リストエクステンション
肘を固定し手の平を下にしてダンベルを持ち、ゆっくりと手首を上下させる動作を繰り返します。
初心者の場合は片腕5kgくらいから始めるといいでしょう。手首だけを動かすので動作的には早くなりがちですが、ゆっくりと行う方が効果は高いです。
回数は基本的に10回を3セット。それでも負荷が足りないと感じる場合はオールアウトするまで回数を重ねるというのがオススメです。
リバースリストカール
椅子やベンチに座った状態で、ちょうど前腕がヒザの上に乗るように両腕を固定させ手首は自由になるようにヒザから出します。
手の平を下にして両手でダンベルを持ち、そのままゆっくりと手の甲側(上)にソリ返していきます。それを数回繰り返します。
ウルナフレクション
ウルナ以外でもラジアルやアルナーなど呼び方は様々ですが、方法としてはほとんど同じです。
腕をまっすぐに下に垂らし、片方の重りを取ったダンベルを小指側に重りがくるように持ちます。そのまま手首を小指側に曲げていきます。
持ち上げる時に肩が上がらないようにすること。出来るだけ限界まで持ち上げることが重要です。この動作を10回3セット程繰り返します。
以上の3種類が前腕を鍛える3大トレーニングとも言えるメニューになります。
この3つのトレーニングで気をつける点は、ダンベルの重さと握り方です。いきなり重すぎるダンベルを使ったり、強く握りすぎたりすると逆に手首を痛める結果になりますので注意しましょう。
尺側手根伸筋を鍛えることのメリット
筋トレに全く興味のない人は、尺側手根伸筋という筋肉を一生知ることなく過ごすというほどマイナーな筋肉ですが、ここを鍛えることで得られるメリットは、やはり何と言っても筋肉隆々とした男らしくたくましい腕になれること。
またそうでなくても、スポーツなど趣味でやっている場合、イザという時のグリップ力などに効果を発揮できます。
尺側手根伸筋はとにかく「握る」動作に有効に活用できます。物を握るという動作では、なかなか手首だけで握るということはしないものですが、この筋肉を鍛えることで前腕にある他の筋肉も鍛えられることになり、結果として手首だけで物を持ち上げられる力が付くようになるのです。
尺側手根伸筋と関連する筋肉と疾患
尺側手根伸筋以外にも前腕には様々な筋肉が備わっていますが、尺側手根伸筋を鍛えることで他の筋肉も鍛えられることは前述したとおりです。
特に深く関係してくるのが、手首の尺屈に大きく関係してくる尺側手根屈筋です。ちょうど尺側手根伸筋の反対側にある筋肉で尺側手根伸筋と同じような働きをします。
トレーニング方法もほぼ同じですので、どちらか一方のトレーニングでも両方の筋肉を同時に鍛えることになります。
そのほかにも前腕には多くの伸筋・屈筋が存在しています。それらの筋肉を鍛える場合は正しいトレーニング方法を行うことが重要です。間違った筋トレ方法や、無理なトレーニングは逆にその筋肉を痛めることになりかねません。
尺側手根伸筋に関連する疾患
間違ったトレーニングや過度な筋トレ、力の入れすぎなどによってかえって筋肉を炒めてしまうことがあります。それらの症状をみていきましょう。
テニスのバックハンドではこの尺側手根伸筋への負荷が高く、頻繁にプレーすることで痛めてしまうケースです(いわゆるテニス肘)。
テニス肘とは、元々テニスをする人に多く発症していたことから付けられた名前です。
通常の生活では全く何も感じることはありませんが、何か物を持ち上げる動作など、手首に力が加わるような動作で痛みを発するようになります。
そのほかにも「尺側手根伸筋腱鞘炎/尺側手根伸筋腱脱臼/尺側手根伸筋腱断裂/上腕骨外側上顎炎etc.」などの疾患があります。
尺側手根伸筋腱鞘炎などは、伝表めくりなどの回内外動作が多い事務職など多い疾患です。このような疾患を引き起こさないためにも日頃から正しい筋トレ&ストレッチが重要です。
尺側手根伸筋を鍛えて男らしい腕に!
尺側手根伸筋は手首を動かす上では必要不可欠な筋肉です。筋トレに興味がないという人でも、気付かないうちに酷使している筋肉なので日頃からストレッチや筋トレなどで気を使ってあげましょう。
尺側手根伸筋の筋トレというとピンとこないかもしれませんが、強靭な手首関節を作るためには鍛えるのは必須な筋肉です。
日頃は筋トレなどしないという人でも尺側手根伸筋などの前腕筋だけでも鍛えておくと、ふと腕まくりした瞬間の男らしい腕にフラッとよろめく女性がいるかもしれません。
いつでも簡単にできるストレッチで地道に鍛えておきましょう!