クリーンアンドジャークの正しいフォーム【扱える重量や平均回数、英語の意味は?】

投稿日: 2018年11月08日

クリーンアンドジャークでバーベルを拳上したところ

アスリートの身体能力を評価する際の指標となる「パワー」は筋力だけでなくスピードも重要です。重い重量をいかに速く動かせるかがパワーの定義になりますが、このパワーを伸ばすのに最も効果的なのがクリーンアンドジャークです。
瞬発力を鍛えるためにこれ以上の筋トレ種目はありません。

オリンピックに出るウエイトリフティングの選手たちは重いものを持ち上げるだけの力持ちではありません。スピードにも優れています。
世界レベルのウエイトリフターになると、走るのも非常に速いです。

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クリーンアンドジャークのフォーム

クリーンアンドジャークのフォームについて解説します。クリーンアンドジャークでは以下の動きを連続で行なうことになります。

手幅は肩幅よりやや広め

床に置いたバーベルのバーを握ります。手幅は肩幅よりもやや広いぐらいが基本です。

肩幅と腕の長さの比率などによっても挙げやすい手幅が変わってきますから、肩幅を基準にいろいろと試してみてもいいでしょう。

ファーストプル

床に置いたバーベルを握りつつ、腰を落とし、バーベルを膝のあたりまで一気に引きます。これをファーストプルと言います。
バーのしなりも利用して引き上げますが、このファーストプルのポイントをいかにスムーズに通過させることができるかで、クリーンアンドジャークを成功させるカギになります。

セカンドプル

ファーストプルで膝のあたりまでバーベルを引き上げたら、そこからさらに上体までバーベルを引き上げます。

ファーストプルとセカンドプルと分けて書いていますが、実際にはファーストプルからセカンドプルまでの動きは連動しています。

バーベルの下に入り込んで肩にバーベルを乗せる

ファーストプルからセカンドプルでバーベルを引き上げると共に、バーベルの下に入り込んで、肩にバーベルを乗せます。その際に手首を返します。
これらの一連の動きをスピーディーに行なう必要があります。

ここまでで体はバーベルの下に入り込んでいますから、腰の位置が最も低くなっています。下半身のフォームはフロントスクワットで降ろし切ったポジションと同じになります。

肩に乗せた状態で立ち上がる

そして、肩にバーベルを乗せた状態で立ち上がります。

実際のウエイトリフティングの試合でも、このポイントで立ち上がれるかどうかが試技を成功させられるかの分かれ目になります。

脚を前後させながらバーベルを頭上まで持ち上げる

手首を返してバーベルを肩に乗せた状態で立ち上がり、そこから脚を前後に開脚させながらバーベルを一気に頭上まで持ち上げます。
ここで使われるのは脚力が主ですが、肩や体幹部の力も重要です。

脚を揃えて静止させる

バーベルを頭上まで持ち上げて肘を伸ばし切ったならば、次は脚を揃えて一時静止させます。ここまでの一連のフォームができてクリーンアンドジャークは成功です。

パワー、スピード、テクニックのすべてが揃わないと高重量が挙がりません。

クリーンアンドジャークで挙がる重量

クリーンアンドジャークでどのぐらいの重量が扱えるかについてです。
ここでは平均的な体格と筋力で始めたトレーニーを想定して考えてみたいと思います。

初心者の場合

初心者であれば、自分の体重を持ち上げるのを目標にするといいでしょう。

まったくの初めての場合は体重の半分ぐらいしか挙がらないでしょうが、筋トレを始めて3ヶ月から半年ぐらいで自分の体重分を持ち上げることが可能です。

経験者の場合

次に経験者の場合ですが、体重の1.5倍から2倍あたりを目指してみましょう。

体重が70キロだとしたら、105キロから140キロですから、かなりの重量です。

体重が重い人ほど相対的には扱える重量が下がります。70キロの人が140キロを挙げるのと同じぐらいの筋力比率だとしたら、100キロの人なら170キロあたりになるでしょう。

クリーンアンドジャークをダンベルで行なう方法

クリーンアンドジャークをダンベルでも行なうこともできますが、上記のフォームについてご説明した一連の動きをダンベルで行なうのは難しいです。

ダンベルの場合、バーベルのように肩で受け止めることもできませんから、バーベルで行なう本格的なクリーンアンドジャークのようにはなりません。

また、バーベルのように全身の力で一気に持ち上げるのはダンベルの場合、コントロールが効かなくなった場合に非常に危険です。ダンベルはバーベルと違って離れていますから、クリーンアンドジャークのような瞬発的な動きには向いていません。

手首の返しの際の問題もあります。バーベルの下に入り込んで肩でバーベルを受ける際に手首を返す動作はダンベルでは難しいです。ダンベルも軽い重量であれば手で握るハンドル部分が回転するモデルもありますが、重くなるほど固定されて回転しません。

そのため、手首の返しが事実上できません。

バーベルの場合でも回転しないエクササイズバーではクリーンアンドジャークがやりにくいです。

ダンベルでクリーンアンドジャークを行なうとしたら、軽い重量でフォームをチェックするぐらいに留めておいた方がいいでしょう。

クリーンアンドジャークの効果的な回数

クリーンアンドジャークの練習方法としては、クリーンアンドジャーク全体を一連の動きとして1度に行なう方法と、「ハイクリーン」の部分と「ジャーク」の部分に分けて鍛える方法があります。

クリーンアンドジャークの場合

クリーンアンドジャークの一連の動きを連続してすべて行なう場合でも、回数としては1セットあたり4回から6回あたりがいいでしょう。

クリーンアンドジャークは全身のパワーを爆発的に使って鍛える種目ですから、比較的低回数が効果的です。

ハイクリーンの部分

次にハイクリーンの部分だけで単独で鍛える方法ですが、床に置いたバーベルをファーストプルとセカンドプルで引き上げつつ、バーベルの下に入り込んでバーベルを肩で受けて、立ち上がるところまでを連続して行ないます。
軽い重量で行なっても練習になりませんから、これもやはり1セットあたり4回から6回あたりがいいでしょう。

いきなり高重量で行なうのではなく、必ずトップの重量に持っていく前に十分にウォームアップセットをこなすようにしましょう。

ジャークの部分

ジャークの部分は肩でバーベルを受けたところからスタートします。

パワーラックやスクワットにあらかじめバーベルをセットしておき、肩の上でバーベルを受けた姿勢から脚を前後に開脚して全力で持ち上げる部分を繰り返すようにします。
これも1セットあたり4回から6回がいいでしょう。肘を完全に伸ばし切るようにします。

クリーンアンドジャークの英語の意味

クリーンアンドジャークは英語で「clean and jerk」と表記します。「clean」は引き上げるといった意味です。そして「jerk」は挙げるという意味ですから、クリーンアンドジャークの動きそのものが名称になっているのがわかります。

言葉にして見れば単純ですが、動きとしては決して単純ではありません。オリンピックの重量挙げ競技はパワーリフティングのベンチプレスやスクワット、デッドリフトに比べてかなり複雑です。
パワーリフティング競技が出来た理由のひとつがクリーンアンドジャークやスナッチよりも単純な力比べの競技を作ることでしたから、やはりクリーンアンドジャークは複雑な動きだと言えるでしょう。

クリーンアンドジャークとスナッチ

クリーンアンドジャークは重量挙げ競技の種目のひとつですが、もうひとつ種目があります。それがスナッチです。クリーンアンドジャークと比較してスナッチの特徴について解説します。

スナッチの動作がわかる動画

手幅の違い

クリーンアンドジャークではバーを握る手幅は肩幅よりもやや広いぐらいですが、スナッチでは肩幅よりもはるかに広くします。肩幅の2倍ぐらいになります。

手幅を広くするのはスナッチではバーベルの下に入った段階で腕を伸ばし切ってバーベルを拳上するからです。

バーベルを挙げるプロセスの違い

クリーンアンドジャークではファーストプルとセカンドプルでバーベルを引き上げつつ、体全体でバーベルの下に入り込んで、バーベルを肩で受け止めます。そこから立ち上がってからバーベルを頭上に拳上します。このプロセスがスナッチの場合はかなり違います。

スナッチでもファーストプルとセカンドプルでバーベルを引き上げるのは同じですが、バーベルの下に入り込みながら、バーベルは肩で受けるのではなく、腕を伸ばしてバーベルの下に入り込んだ時点でバーベルは頭上に拳上しています。

この時点で、脚のポジションは完全にフルスクワット状態になっています。そして、バーベルを頭上に保持しながら立ち上がりますから、全身の力と強靭な脚力が必要です。

扱える重量の違い

バーベルのプレート 重量のイメージ

挙げることができる重量を比較すると、クリーンアンドジャークの方がかなり高重量を挙げることができます。

スナッチはその拳上方法からして、かなり難しい方法ですから、クリーンアンドジャークほどには高重量を挙げることが難しいです。

クリーンアンドジャークの世界記録

クリーンアンドジャークの現在の世界記録を見てみましょう。重量挙げ競技は階級制になっています。それぞれの階級の世界記録は次の通りです。
56キロ級が171キロ、62キロ級が183キロ、69キロ級が198キロ、77キロ級が214キロ、85キロ級が220キロ、94キロ級が233キロ、105キロ級が246キロ、105キロ超級が263キロというのが現在の男子選手の世界記録です。

以上のように105キロ超級の263キロが人類最高記録ということになります。陸上短距離100メートルの世界最高記録がウサイン・ボルトの9秒58であるように、人類が叩き出した偉大な記録はそれぞれの競技分野ごとにありますが、重量挙げのクリーンアンドジャークではそれが263キロということになります。

しかし、このクリーンアンドジャークの世界記録はどんどん伸びているわけではありません。かつてソ連にワシリー・アレクセーエフという偉大なウエイトリフターがいましたが、そのアレクセーエフ氏が1972年に出したクリーンアンドジャークの世界記録が257キロでした。アレクセーエフ氏は現役時代に80回も世界記録を更新しています。

1972年ですから、すでに46年も前の話です。現在の世界最高記録263キロは、それから6キロ更新したに過ぎません。アレクセーエフ氏の記録が驚異的だったのは間違いないですが、人類の限界に近づいているとも言えるでしょう。

クリーンアンドプレスが廃止された理由

現在の重量挙げ競技ではクリーンアンドジャークとスナッチの2種目の合計記録で競い合います。しかし、かつてはこれら2種目の他にクリーンアンドプレスという種目がありました。クリーンアンドジャーク、スナッチ、クリーンアンドプレスの3種目の合計で勝負していたわけです。

クリーンアンドプレスはクリーンして肩に乗せたバーベルを肩の力で持ち上げる、瞬発力以外の純粋な筋力勝負で見応えがありました。しかし、肩に乗せたところからバーベルを持ち上げる際に上半身を後ろに大きく反ることで数字を稼ぐ選手が続出したことで、審判が記録を認定しにくい難点がありました。

たしかに、上体を後ろに反ることで重量を挙げやすくなりますが、それでは肩の力で挙げるという種目の趣旨から外れてしまいます。

結局、審判が記録を認定しにくいということで廃止されてしまいました。ウエイトリフターたちの純粋な筋力が見られた点で興味深い種目だっただけに惜しいところです。

まとめ

クリーンアンドジャークは全身運動としても瞬発力を鍛える上でも非常に効果的です。しかし、練習方法には気をつけるべき点があります。それは決してバーベルを落としてはいけないことです。ウエイトリフターの練習を見ればわかりますが、クリーンアンドジャークの練習では持ち上げた直後にバーベルを落とします。

弾力があるプラットフォームがあるからこそできることですが、これができる設備を備えたスポーツクラブは非常に数少ないです。普通のスポーツクラブでは絶対にバーベルを落とせませんし、一連のモーションの大きさからして、どこででもできる種目ではありません。

それ以外にも理想を言えば、ウエイトリフティング専用のバーベルが使えるのが望ましいです。シャフトのしなり具合や回転の滑らかさなど、普通の筋トレ用の回転シャフトよりも使いやすいです。しかし、ウエイトリフティング専用のシャフトを装備しているジムは稀ですから、これはないものねだりとも言えます。

クリーンアンドジャークを一連の動きで行なう場合やクリーンの部分を連続して行なう場合はバーベルを床にまで降ろすのではなく、途中で止めて、そこからまた繰り返すようにしましょう。正しく行なえば、全身のバネを劇的に強化してくれます。