トライセプスプレスダウンの効果的な重量と効かせる正しいやり方
トライセプスプレスダウンは上腕三頭筋を鍛える種目として最もポピュラーなもののひとつです。しかし、簡単な種目かと言えばそうでもありません。効かし方がわからないとただウエイトを押し下げているだけで、上腕三頭筋に効いている実感がなかったりします。
トライセプスプレスダウンで上腕三頭筋をパンプアップさせて巨大化させるには、しっかりと押さえておくべきポイントがあります。トライセプスプレスダウンの効果を最大限に引き出す方法を解説いたします。
トライセプスプレスダウンで効果的な重量
トライセプスプレスダウンは上腕三頭筋を鍛える上で極めて効果的ですが、重量の選択を間違えて効果半減になりやすい種目です。
ここでは、効果的な重量の選択方法をご紹介します。
正確なフォームで行なえること
正確なフォームなフォームを崩さずにできることが適正な重量の条件です。運動中に上体が動き過ぎたり、肘が動いてしまうのであれば重量が重過ぎる可能性が高いです。トライセプスプレスダウンは重量にこだわるあまり、フォームが崩れやすいです。
フォームの崩れには、上体や肘が動く場合だけでなく、可動域が狭くなるパターンもあります。ウエイトを降ろしたポジションで、ちょっとだけ動かすのがやっと、みたいな動きになっているトレーニーが少なくありません。
上腕三頭筋を伸展して最大限に収縮できないのであれば、やはり重量が重過ぎるでしょう。
1セットあたり8回から10回で限界がくる重量であること
フォームが崩れるのはもちろんいけませんが、逆に軽過ぎてもいけません。
重量を重くし過ぎて効果が上がらないトレーニーがいる一方で、軽過ぎる重量で失敗しているトレーニーも少なくありません。
いくらフォームが正確でも重量が軽過ぎては筋肉に負荷がかかりませんから、筋トレ効果もありません。このパターンは女性に多いです。1セットあたり8回から10回ぐらいで限界がくる重量でやってみましょう。
トライセプスプレスダウンの正しいやり方
トライセプスプレスダウンは使用するバーやロープによって効かし方が違います。それぞれのやり方をご紹介します。
ロープを使ったトライセップスプレスダウン
二股になってるロープを使ったトライセプスプレスダウンです。上腕三頭筋の中でも深いところにある内側頭をターゲットに鍛えるのに効果的です。長頭も短頭も同時に鍛えられますが、メインターゲットは内側頭です。二股のロープは手首や前腕の制約が少なく、肘を伸ばし切ったポジションでも内側頭に効かし切りやすいです。
ロープを握るグリップエンドの位置が丁度上腕三頭筋を伸ばし切った位置に合うように、ケーブルラックの高さを調節します。高過ぎても低過ぎてもやりにくいですから、最適な位置にセットします。
次に、ロープの両端についているグリップエンドに手が引っ掛かる位置でロープを握り、上体をやや前傾させて、肘は脇に固定して運動します。
上体はやや前傾しながらも、肩から肘のラインは垂直に保ちます。手にはあまり力を入れず、上腕三頭筋の力でウエイトを押し下げます。
ウエイトをスタートポジションに戻したときの上腕三頭筋のストレッチと下に降ろし切ったときの収縮感が効かせるポイントです。
ストレートバーやVバーを使う場合
トライセプスプレスダウンはストレートバーやVバーを使うトレーニーが多いです。これらのバーは肘の向きを変えることで、上腕三頭筋の長頭、内側頭、外側頭を鍛え分けることができます。
具体的には肘を外側に向かってひねり込むようにしてウエイトを押し込むと長頭に強く効かせることができます。
肘を閉じてウエイトを押すことで内側頭に効き、肘を開くことで外側頭に強く効きます。
これらのバーのスタートポジションは上記のロープの場合と同様、上腕三頭筋をストレッチさせた高さにセットするとやりやすいです。
逆手で行なう場合
ストレートバーを使う場合、手のひらを上にする逆手でのトライセプスプレスダウンもできます。
トライセプスプレスダウンは通常、手の甲を上にした順手で行ないますが、バリエーションとして逆手でもできます。逆手で行なうことで、長頭に効かしやすいです。
片手で行なう方法
ケーブルクロスオーバーマシンで使う片手用のハンドルを使えば片手でもできます。
片手づつの方が上腕三頭筋に集中できるメリットがあります。
片手で行なう場合も順手の他に逆手にする方法もあります。
トライセプスプレスダウンで効かせるための共通ポイント
上記のように、トライセプスプレスダウンはロープを使ったり、各種のバーを使うことでバリエーションを展開できますが、効かせるための共通のポイントがあります。
上体は垂直ではなく、やや前傾させる
上体は垂直ではなく、やや前傾させるぐらいが効かしやすいです。その際、重心は気持ちつま先に集中させるようにします。そうすることで上腕三頭筋でウエイトを押し込みやすくなります。
肘の位置を固定する
肘の位置を固定して、運動中動かないようにしておきます。
運動中に肘が前後に動くと上腕三頭筋から負荷が逃げてしまいます。肘が動いたり、上体が動くようなら重量が重過ぎる可能性があります。
手首を反らないようにする
手首が反らないように注意しましょう。
トライセプスプレスダウンは上腕三頭筋の運動ですが、バーを直接持つのは手ですから、手首が負荷に負けて反りやすいです。手首が反ると上腕三頭筋から負荷が逃げますし、手首を痛める原因にもなります。
トライセプスプレスダウンを行なうためのマシン
トライセプスプレスダウンを行なうためのマシンをご紹介します。
ラットマシン
トライセプスプレスダウンはもともと「ラットマシンプレスダウン」と呼ばれていました。現在のように細かいケーブル系のマシンが普及していなかった時代にはトライセプスプレスダウンはラットマシンで行なわれていたからです。
ラットマシンはもともと背中を鍛えるためのものですから、細かい重量設定がしにくいのとバーの高さ調節がしにくいのが難点ですが、使い方に慣れれば対応可能でしょう。
ケーブルクロスオーバーマシン
多くのトレーニーにとってトライセプスプレスダウンが最もやりやすいのがケーブルクロスオーバーマシンです。
バーの高さも細かく調節可能ですし、重量も5ポンドか10ポンド刻みになっていて使いやすいです。
トライセプスプレスダウン専用マシン
トライセプスプレスダウン専用のマシンもあります。背もたれがついていて、上腕三頭筋の運動に集中できるようになっています。
しかし、上腕三頭筋専用のマシンでありながら、他のケーブル系のマシンの方が効きやすいことも多いです。ジムに設置してあるなら、自分に合っているか試してみましょう。
トライセプスプレスダウンとトライセプスプッシュアップの違い
トライセプスプレスダウンとトライセプスプッシュアップの違いについて考えてみましょう。
器具の違い
まずは器具が違います。トライセプスプレスダウンではケーブルか最低でもゴムチューブがないとできないのに対して、トライセプスプッシュアップは何も器具がなくてもできます。
その意味で、完全な自宅で筋トレするのであればトライセプスプッシュアップの方がやりやすいと言えますが、自宅でもトライセプスプレスダウンができる設備を持っている場合ならトライセプスプレスダウンの方がより効果的です。
効果の違い
効果の違いで比較すると、トライセプスプッシュアップでは上腕三頭筋全体がターゲットになるのに対して、トライセプスプレスダウンは上腕三頭筋の長頭、短頭、内側頭のそれぞれを分けて鍛えることが可能です。
片手でできるかの違い
トライセプスプレスダウンは片腕でもできるのに対して、トライセプスプッシュアップは片腕では事実上できません。
トライセプスプレスダウンはケーブルクロスオーバーマシンで使う片手用のハンドルを使えば片手でもできます。片手腕立て伏せという方法もありますが、両腕で行なうことを前提としているトライセプスプッシュアップとは基本的に違います。
トライセプスプッシュアップ参考動画
自宅でトライセプスプレスダウンを行なう方法
自宅でトライセプスプレスダウンを行なう方法について解説します。
トライセプスプレスダウンができる複合マシンを使う
自宅でトライセプスプレスダウンを本格的にできるかどうかはどれだけの設備を持っているかに左右されます。ジムにあるような本格的なマシンがあるのが理想ですが、現実には自宅筋トレをしている人で、そんな装備を持っていることは非常に稀でしょう。
ジムにあるような業務用のマシンは無理としても、いろいろな種目に使える複合マシンがあればトライセプスプレスダウンが可能です。ラットマシンができる複合マシンであれば、重量的にも十分です。
ラットマシンの代わりにチンニングバーがついている複合マシンでもケーブルを使える装備があればトライセプスプレスダウンが可能です。その場合、両手では重量が足りない場合がありますが、そのときは片手で行なうようにしましょう。
チューブを使う
ケーブルを使えるマシンがまったくない場合は、チューブを使うこともできます。チューブを柱やドア、パワーラックなどの高い位置に固定させて使用します。
このチューブでのトレーニングである程度の効果がありますが、負荷が軽いため、本格的なケーブルに比べて効果の点ではかなり負けます。
まとめ
トライセプスプレスダウンは上腕三頭筋を鍛えるための極めてポピュラーな筋トレ種目です。男女問わず、初心者からベテランまで、上腕三頭筋を鍛える際にはやらない人はいないと言えるほどです。しかし、それほど人気がある種目であるにもかかわらず、正しいテクニックを知らずに何となく行なっているトレーニーが非常に多いです。
やり方が間違っていれば、せっかくのトライセプスプレスダウンも効果半減です。トライセプスプレスダウンはラットマシンでもケーブルクロスオーバーマシンなど、上から下に向かって押せる構造のケーブル系のマシンがあればできる点でも使いやすいです。
ラットマシンを使っても、ケーブルクロスオーバーマシンなどを使っても実質的に同じなわけですが、ラットマシンの場合、使用するバーの高さを細かく調節できないのが難点です。トライセプスプレスダウンは正しいやり方で行なえば、上腕三頭筋の発達にかなり貢献します。