ダンベルフライの正しいやり方と効果を最大化する方法
ベンチプレスやインクラインプレスは多くのトレーニーが行なっている大胸筋トレーニングの定番ですが、ダンベルフライも同様に、大胸筋を鍛える上で欠かせない種目です。
ダンベルフライはプレス系と違って、回転動作になりますから、効果的に効かせるには独特のテクニックがあります。プレス系の種目だけでなく、ダンベルフライを大胸筋のトレーニングに加えることで、大胸筋の完成度が大きく違います。ダンベルフライの正しいやり方、効果を最大化する方法をご紹介します。
ダンベルフライの効果
大胸筋を鍛える筋トレ種目には大別してプレス系とフライ系があります。プレス系として代表的なのがベンチプレスやインクラインプレス、ダンベルプレスなどです。それに対してフライ系の代表格がダンベルフライです。プレス系の種目は主に大胸筋を大きくする効果があります。ベンチプレスがその代表格です。プレス系の種目で大胸筋を大きくしても、それだけでは大雑把な大胸筋になってしまいます。
同じ大きさだとしても、形の良し悪しで大胸筋の迫力が大きく違ってきます。ダンベルフライは大胸筋を大きく発達させるだけでなく、形を良くする効果があります。ダンベルフライは大胸筋トレーニングに不可欠の筋トレ種目です。
ダンベルフライの種類
ダンベルフライにはフラットベンチで行なうダンベルフライ、インクラインダンベルフライ、デクラインダンベルフライの3種類があります。それぞれのダンベルフライの特徴をご紹介します。
フラットベンチでのダンベルフライ
フラットベンチに寝て行なうのが最も基本的なダンベルフライです。
大胸筋は上部、中部、下部に分かれています。その中の中部を鍛えるのがフラットベンチでのダンベルフライです。大胸筋の中で最も広い範囲を刺激します。
ベンチプレスやダンベルベンチプレスなどの大胸筋を鍛えるプレス系の種目でも、フラットベンチに寝て行なう種目が最も刺激できる範囲が広いです。
ダンベルフライの効果的なやり方!大胸筋に効くフォームのコツを解説
インクラインダンベルフライ
大胸筋の上部を鍛えるダンベルフライです。大胸筋の上部にだけ特化した鍛え方です。
上部を特化して鍛えたいときに行なうダンベルフライです。このダンベルフライはベンチの角度を35度から45度ぐらいに設定して行ないます。
インクラインダンベルフライで大胸筋上部を収縮させるフォームを解説!
デクラインダンベルフライ
大胸筋の下部を鍛えるためのダンベルフライです。下部の形を整えたり、輪郭をはっきりさせる効果があります。
大胸筋下部を鍛えるダンベルベンチプレス
ダンベルフライの正しいやり方
ダンベルフライのやり方をご紹介します。
フラットベンチでは足をベンチに乗せる
フラットベンチでのダンベルフライでは、ベンチに足を乗せて運動します。
ベンチプレスなどのプレス系の種目では足を床に置いた方が力が入りやすいですが、ダンベルフライは足をベンチの上に乗せた方が効かしやすいです。
腕を少し曲げる
腕を完全に伸ばすのではなく、少し曲げるぐらいが力が入りやすいです。
弧を描いてダンベルを動かす
弧を描いてダンベルを動かします。
ダンベルを降ろすときも挙げるときも大きく弧を描くようにします。フラットベンチでのダンベルフライも、インクラインやデクラインでのダンベルフライもすべて弧を描くように動作をします。
胸を張りだすようにして動作する
ブリッジをする必要はないですが、胸を張り出した状態で運動します。胸を張り出す感覚がわかりにくければ、肩甲骨を寄せるようにすると自然と胸が張り出します。
ボトムポジションで大胸筋を伸ばし切る
ダンベルを降ろし切ったポイントでは大胸筋を伸ばし切るようにストレッチします。このストレッチがダンベルフライを効かせるコツです。
トップポジションで収縮したらすぐに降ろす
トップポジションで収縮させたら、すぐにダンベルを降ろす動作に入ります。ダンベルフライでは、トップポジションでは腕が垂直になっているので、負荷がなくなっているからです。
ケーブルやマシンであれば、トップポジションでも負荷が逃げませんが、ダンベルのようなフリーウエイトの場合、主動筋にかかる負荷がほとんどゼロになるポイントが出てきます。ダンベルフライの場合は、それがダンベルを挙げ切った収縮点になります。
スーパーセットとしてのダンベルフライ
ダンベルフライの活用方法のひとつとして、スーパーセットで行なうこともできます。
スーパーセット法は拮抗する筋肉同士で組むのが一般的ですが、同じ筋肉同士で行なうこともできます。ダンベルフライをプレス系種目とスーパーセットで組み合わせることで、さらに大胸筋を追い込むことができます。
プレス系だけでは追い込めない人に効果的
肩や上腕三頭筋が強いタイプの人はベンチプレスで繰り返せる限界まで追い込んでも、大胸筋そのものを十分に効かし切れないことがあります。せっかくベンチプレスで追い込んでも効かし切れない消化不良な感覚があると、効果の点でも不十分ですし、精神的にも満足できません。そのような場合に効果的なのがダンベルフライとのスーパーセットで追い込む方法です。
ベンチプレスだけでは追い込み切れなかった部分を、ダンベルフライで追い込み切る方法です。ベンチプレスを例にしましたが、大胸筋の上部のためにインクラインプレスとインクラインダンベルフライとの組み合わせ、大胸筋下部を鍛えるためのデクラインプレスとデクラインダンベルフライの組み合わせもできます。
具体的な方法
具体的な方法をご紹介します。ベンチプレスとダンベルフライの組み合わせの場合を例にで見てみましょう。
ベンチプレスでまず繰り返せるところまで限界まで追い込みます。そして、バーベルをラックに戻したら、インターバルなし、文字通りインターバルゼロですぐにダンベルフライで限界まで追い込みます。このベンチプレスとダンベルフライの両方の種目で限界まで追い込むところまでで1セットと数えます。ここで初めてインターバルを取り、その後数セットのスーパーセットを繰り返します。ダンベルをあらかじめ足元に置いておきます。
前段階疲労としてのダンベルフライ
上記のスーパーセット法以外にも、ダンベルフライを活用することで、大胸筋をよりハードに追い込む方法として、前段階疲労法という筋トレテクニックがあります。
あらかじめ特定の筋肉を疲労させておくことで追い込むテクニック
ベンチプレスのように、大きな筋肉を小さな筋肉が組み合わさって動く多関節運動では、大きな筋肉である大胸筋よりも先に小さな筋肉である上腕三頭筋の方が先に疲労してしまって、大胸筋を限界まで追い込めないことがあります。
大きな筋肉の方が筋力にしても強いので、このようなことが往々にして起きます。その場合、強い方の大筋群をあらかじめ疲労させておけば、瞬間的に小さい筋肉の方が強くなり、ベンチプレスのような種目でも、大筋群を限界まで追い込むことが可能になります。
具体的なやり方
ここでも、ベンチプレスを例に取ると、上記のスーパーセット法とは逆に、まずダンベルフライで限界まで追い込んだ後、インターバルを一切取らずにベンチプレスを限界まで繰り返します。このダンベルフライの1セットとベンチプレスの1セットで1セットと数えます。
ダンベルフライで限界まで追い込んだことで、大胸筋が疲労し、一時的に弱い方の上腕三頭筋と能力が並びます。そこでベンチプレスで限界まで追い込むと、本当の意味での限界まで追い込めます。
この組み合わせも数セット繰り返します。
まとめ
上記のようにダンベルフライには3種類ありますが、1回のトレーニングで全部を行なう必要はありません。大胸筋は上部、中部、下部に分かれていますから、すべて網羅するのが理想的とはいえ、実際にダンベルフライだけで3種目も行なったのでは多過ぎます。ベンチプレスを始めとして、プレス系の種目を中心にして大胸筋のメニューを組みますから、ダンベルフライは必要に応じて1種目か2種目で十分です。
具体的にはフラットベンチでのダンベルフライだけで十分であることが多いでしょう。大胸筋が上部、中部、下部に分かれていても、中部を中心にして鍛えればかなりの範囲を網羅できます。それでも、上部や下部の発達が遅れるようなら、必要に応じてインクラインダンベルフライやデクラインダンベルフライを組み込めば効果的です。
大胸筋を単純に大きくするだけならベンチプレスやインクライプレスなどのプレス系の種目だけでもかなりの効果がありますが、大きいだけで形が良くない大胸筋では迫力や見栄えに欠けます。シスベスタースタローンの大胸筋がカッコイイのは大きさ以上に形が良いからです。大胸筋の発達と形を良くするダンベルフライを大胸筋の筋トレメニューに必ず加えるようにしましょう。