ダンベルベンチプレスのメリット・デメリットと正しいやり方
大胸筋を発達させる目的で多くのトレーニーが好んで行なっているのがダンベルベンチプレスです。
ダンベルベンチプレスは大胸筋を鍛える効果を含めて、多くのメリットがありますが、デメリットもあります。ダンベルベンチプレスのメリットとデメリットを検証し、その解決策を提示したいと思います。
ダンベルベンチプレスのメリットを活かして大胸筋を最大限に発達させるためのテクニックを公開します。ネットでいくらでも筋トレ情報があるようでも、実際に役に立つかは千差万別です。ダンベルベンチプレスが正しい方法で行なわれていないことが多いのも、その現実を反映していると思われます。
ダンベルベンチプレスのメリット
大胸筋を鍛えるための基本種目はベンチプレスであることは間違いないですが、ダンベルベンチプレスにはバーベルでのベンチプレスにはないメリットがあります。ダンベルベンチプレスにはどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。
ベンチプレスが効かない人でも効かしやすい
ダンベルベンチプレスの大きなメリットは普通のベンチプレスでは効かない人でも効きやすいことです。
ベンチプレスという種目は効果がある人にとっては劇的な効果がある反面、意外に効かないトレーニーが少なくありません。
4人に1人ぐらいの割合でベンチプレスが苦手というトレーニーがいます。
どんな種目でも好き嫌いや相性はありますが、ベンチプレスも少なくない比率で効果が上がらない人がいます。
これに対してダンベルベンチプレスは苦手なトレーニーの比率がはるかに少ないのが特徴です。ダンベルベンチプレスがまるで効かないトレーニーというのは滅多にいません。
ベンチプレスではどうしても効かないトレーニーでも、ダンベルベンチプレスであれば、ほとんどの場合に効かせることができます。その意味で、ベンチプレスの代わりになる種目です。
可動域が広い
ベンチプレスにないダンベルベンチプレスのメリットとして、可動域の広さがあります。
バーベルでは胸にバーが当たるため、可動域が十分ではないことがあります。これに対してダンベルベンチプレスでは可動域をバーベルよりもかなり広くできます。
バーベルでは効かせられないトレーニーでも、ダンベルベンチプレスなら大丈夫だというのは、この可動域の広さが大きいでしょう。
弧を描くように動かせる
ベンチプレスでは両手でバーを握って動作するため、動作中に手幅を変えることはできません。そのため、動きが直線的になってしまいます。
これに対してダンベルベンチプレスでは片手づつにダンベルを持って動作するため、スタートポジションから弧を描くようにして動かすことができます。この動作の自由度が大胸筋の中部を強くストレッチさせて、大胸筋を発達させる効果があります。
重量にこだわらずに済む
筋トレでは使用重量にこだわることは効果を上げたり、モチベーションを維持するために重要ですが、これも程度の問題で、重量にこだわり過ぎるのも逆効果です。
ベンチプレスの場合、どうしても重量にこだわるあまり、フォームが崩れやすいなどの問題があります。これに対して、ダンベルベンチプレスで、そこまで重量にこだわることがありません。
ダンベルベンチプレスのデメリット
上記でダンベルベンチプレスのメリットをご紹介しましたが、メリットばかりではありません。ダンベルベンチプレスには次のようなデメリットがあります。
ポジションに持って行くのが難しい
ダンベルベンチプレスはフラットベンチで行ないますが、高重量になるほど、スタートポジションに持っていくのが難しくなります。
ダンベルをラックから持って来て、床に置いたところから持ち上げてスタートポジションにセットするのは高重量になるほどかなり大変です。
そのため、プロのボディビルダーなどは高重量でダンベルベンチプレスを行なう際に、自分はフラットベンチに寝ているだけで、補助者にダンベルを手渡してセッティングしてもらっている選手が少なくありません。
セットごとにその動作を繰り返すわけですから、補助者の人たちも大変です。しかも必ず補助者が2人必要なので余計に大変です。ダンベルを両側から同時にセットしてもらわないと、ひっくり返ってしまいますから補助者のタイミングの読み方も大変です。
日本で普通に筋トレしているトレーニーであれば、専門の補助者をトレーニングごとに揃えるなど事実上無理な話ですから、自力でスタートポジションまで持ってこなくてはなりません。
ダンベルを元に戻すのが大変
ダンベルをスタートポジションにセットするのが大変なら、元の位置に戻すのも大変です。それで途中で耐えられなくなってダンベルを床に落としてしまうトレーニーがいますが、これは絶対にダメです。
ダンベルを落とすのはマナーの問題もありますが、壊れてしまうのが一番の問題です。
自宅でもダンベルベンチプレスを行なう場合でも、決して落とさないように注意しましょう。
セットごとに重量を変えるのが面倒
ダンベルベンチプレスは高重量を扱うことで、セットごとに重量を変えるのが面倒であるというデメリットもあります。
差しピン式のマシンであれば重量を変えるのはピン1本で簡単にできますし、バーベル種目でもプレートの着脱で比較的簡単に重量交換が可能です。
これに対して、高重量のダンベルベンチプレスは重量の交換が他の筋トレ器具に比べて面倒であるのがデメリットです。
コントロールできなくなったときが危険
ダンベルベンチプレスで怖いのが途中でコントロールできなくなったときです。
ダンベルはバーべルほどの重量が扱えないとはいえ、かなりの高重量になりますから、動作中に軌道がずれたりして、コントロールできなくなることがあります。
重量が足りなくなることがある
もうひとつダンベルベンチプレスの難点として挙げられるのが、重量が足りなくなる場合があることです。
ジムにどれだけの重さのダンベルが設置されているかによりますが、筋力が非常に強いトレーニーの場合、重量が足りなくなる可能性があります。
アメリカのジムであればダンベルでも110キロぐらいまでありますが、日本の場合、どんなに重くても90キロまででしょう。
最高でその重さですから、もっと軽い重量しかないジムの方が圧倒的に多いことを考えると、ダンベルベンチプレスで重量が足りなくなるという事態は十分に考えられます。
ダンベルベンチプレスを行なうタイミング
ダンベルベンチプレスを行なうタイミングとしては、いろいろなパターンが考えられます。バーベル種目よりも自由度が高いです。これもダンベル種目ならではのメリットです。どのようなタイミングでダンベルベンチプレスができるかを見てみましょう。
第一種目として行なう
ベンチプレスの代わりに第一種目として行なうパターンです。
ベンチプレスでは効かしにくいトレーニーにとっては、タイミングとしては第一種目として行なうのがいいでしょう。
ベンチプレスの後に行なう
ダンベルベンチプレスはベンチプレスが効かないトレーニーだけが行なうものではありません。ベンチプレスが効くトレーニーであれば、ダンベルベンチプレスも効きやすいです。
そして、ベンチプレスで追い込んだ後に、同じ大胸筋中部をダンベルベンチプレスでさらに追い込むというのはかなり効果的な方法です。
インクラインプレスの後に行なう
インクラインプレスの後に行なうのも、大胸筋全体をさらに鍛えるために効果的です。この場合、インクラインプレスが第一種目である場合と、第二種目である場合があります。
ベンチプレスの後にインクラインプレスの場合と、インクラインプレスから大胸筋トレーニングに入る場合とのパターンで違います。
フライ系の種目の後には行なわない
ダンベルベンチプレスはフライ系の種目の後に行なうよりも、前に行なう方がおすすめです。
変化をつけるために順番を変えるのもいいですが、一般的にプレス系を先に行なった方が効果的です。
まとめ
ダンベルベンチプレスは大胸筋を発達させるには非常に効果的な種目ですが、上記のようにスタートポジションにセットしたり、元に戻すのが大変であるというデメリットがあります。これを解決するに高重量のダンベルを扱うためのテクニックを身につけましょう。
やり方としては、ダンベルを床から持ち上げながらフラットベンチに座る際に、いきなりダンベルベンチプレスのスタートポジションに持っていくのではなく、一度ダンベルを手で持ったまま、膝の上に乗せます。
そして、ダンベルを膝に乗せたままベンチに寝るようにします。ダンベルを腕の力だけで支えるのではなく、膝に乗せた状態を利用してベンチに後ろ向きに倒れ込む際に、腕の力と膝の力全体を利用してダンベルをスタートポジションにセットするようにします。
文章にすると長いですが、これを一連の動きとしてスムーズにやらないとうまくダンベルをセットできません。
慣れるまでは動きがぎこちないかもしれませんが、慣れれば、ダンベルベンチプレスの際に非常に役に立つテクニックで、「オン・ザ・ニー・テクニック」と呼ばれています。ダンベルを一度膝に乗せて、体全体でスタートポジションにセットするために、このように呼ばれています。
【オンザニー】ダンベル種目のスタート時に必要なテクニックを解説
セットが終わって、ダンベルを戻す際には、フィルムの逆回しのように、一連の動作の逆の動作で行ないます。この「オン・ザ・ニー・テクニック」を上手く使えるようになると、ダンベルベンチプレスがかなり楽になります。