Tバーの構造・タイプと広背筋の発達を最大化するTバーローイングの方法

投稿日: 2018年07月14日

Tバーローイングを行う男性

Tバーは背中全体を大きくするとともに、脊柱起立筋も鍛える効果的な筋トレ器具です。

もともとはバーベルのシャフトに短いバーを溶接して作ったのが最初でしたが、その後、いろいろなタイプのTバーが作られるようになりました。

シャフトにバーがついていて、T字型になっているのでTバーと呼ばれています。ハンドルの形や可動域などで効果が違ってきます。Tバーの特徴効果について解説します。

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Tバーの基本構造

Tバーの基本構造をご紹介しましょう。この基本構造は開発当初から現在でも変わっていません。新しいマシンなどいろいろなタイプがありますが、下記の基本構造を応用したものに過ぎません。

オリンピックバーを加工している

バーベルは大別してエクササイズバーとオリンピックバーに分かれています。エクササイズバーというのは手で握るシャフト部分とウエイトのプレートをつける部分の太さが変わらない1本の棒になっているタイプのバーベルシャフトです。

オリンピックバーというのは、ウエイトをつける部分が太くなっていて、中に入っているベアリングで滑らかに回転するタイプのバーベルシャフトです。太い部分が回転するので、回転シャフトとも呼ばれています。

Tバーが初めからオリンピックバーを加工したのはアメリカならではの発想です。もしも、Tバーが日本で開発されたものだとしたら、オリンピックバーではなくエクササイズバーを使用したでしょう。これには歴史的な理由があります。現在でこそ、スポーツクラブや大学の筋トレ施設などでオリンピックバーが当たり前のように普及していますが、かつての日本のボディビルジムで、オリンピックバーを持っていたところは少数派でした。

理由はオリンピックバーが非常に値段が高かったからです。オリンピックバーと普通のエクササイズバーでは値段が10倍ぐらい違います。現在でも、この値段の差は変わっていません。現在、日本でもオリンピックバーが大きく普及しているのは資本力がある大手のスポーツクラブが増えたことと関係しているでしょう。

しかし、これらは日本の事情です。アメリカの場合は、さすがにもともと筋トレ先進国だっただけあって、オリンピックバーの普及率が格段に高かったです。

Tバーの形でハンドルがついている

バーベルのシャフトに直行するようにハンドルをつけたらT字型になったので「Tバー」と呼ばれるようになりました。ハンドルをつけずにただバーベルのバーの先にウエイトをつける筋トレ器具もあります。それが「レバレッジバー」です。広背筋を鍛えるときの種目名が「レバレッジバーローイング」です。

レバレッジバーでローイング運動をすると、縦のバーを両手で握るため、両手が上下になってしまって動かしにくいという難点があります。両手で行なうには、左右対称の形になっていないとアンバランスです。バーにハンドルをつけることで左右対称で動かせるようにしたのがTバーです。

レバレッジバーのままでも、片手であれば、広背筋に効かしやすいですが、両手で持つとやりにくい運動になってしまいます。Tバーになったことで、劇的に使いやす筋トレ器具に生まれ変わりました。

レバレッジバーと言えば前腕を鍛える筋トレ器具にもレバレッジバーというものがあります。リストカールなどでは鍛えにくい細かい筋肉と手首の強化に役立つ筋トレ器具です。バーの先にウエイトをつける点で共通しているので同じ名前になっているのでしょう。

背中を鍛えるためのレベレッジバーに別のハンドルを取り付けるという発想が斬新です。発明というのはひらめきから生まれると言われていますが、1960年代から1970年にかけて、斬新な筋トレ器具が多数誕生しています。

バーの先にウエイトをつける

Tバーではバーの先にウエイトをつけます。そのウエイトをバーについているハンドルを持って、広背筋の力で引っ張ります。初心者は広背筋が意識しにくいこともあって、腕の力で引っ張ってしまいがちですが、広背筋で引っ張る感覚が身に着くとTバーの効果が格段に上ります。

支点が動かないように固定する

オリンピックバーのシャフト部分ともエクササイズバーの直径は共に28ミリですが、オリンピックバーの回転する部分は直径が50ミリです。この太くなっている両端のうち、片方を根本から切断して、その部分を支点にして広背筋を鍛えるようにしたのがTバーです。この支点部分が動かないように固定する加工が必要です。

Tバーはバーの先にウエイトをつけて運動するので、支点部分が動かないように固定しないと、支点の側が浮いてしまうからです。この部分の固定するための器具も販売されています。

Tバーの加重方式

Tバーの加重方式は差しピン式とバーベルのプレートを装着するディスクロード式があります。

全体の比率としてはディスクロード式の方が圧倒的に多いです。ここがラットマシンやフロアープーリーマシンなどと違うところです。

差しピン式タイプ

Tバーにも差しピン式タイプがあります。差しピン1本で重量を調節できるので便利です。差しピン式タイプの中にはケーブル系のものもあります。ラットマシンなどでは多用されているケーブル系は、長く使っている間にケーブルや滑車部分が傷んだりしますので、メンテナンスが比較的面倒なタイプのTバーです。

差しピン式は重量調節が簡単なことがメリットなだけでなく、広背筋の収縮と伸展をさせやすいメリットがあります。バーベルのプレートをウエイトとして装着しないため、ハンドルを引き切るときにバーベルのプレートが邪魔しません。また、ウエイトを降ろす際にも、広背筋を限界まで伸ばし切ることができます。

差しピン式のTバーは意外に歴史が古く、1970年代から存在しています。アーノルド・シュワルツェネガーやルー・フェリーノなど、1970年代のボディビル界のスーパースターたちが活躍していた時代のゴールドジムでも使われていました。

数としては少ない差しピン式のTバーですが、ラットマシンなどと同様に、広背筋の緊張を持続させやすいメリットもあります。

ディスクロード式

Tバーの多くはバーの先にバーベルのプレートを装着するタイプです。オリンピックシャフトを改造した構造になっているものが多いですから、20キロプレートを7枚か8枚つけることができます。7枚か8枚というのは、プレートのタイプによって厚みが違うからです。

スポーツクラブで最も普及しているIVANKO社のプレートを例にすると、ゴムコーティングのプレートとペイントコーティングのプレートでは、重さが同じでも厚さが違います。ゴムコーティングのものの方が厚みがあるため、Tバーにつけられる枚数が違います。

ゴムコーティングのプレートをTバーにつける場合、ぎりぎりいっぱいまでつけようと思えば8枚までつきます。ペイントコーティングのプレートであれば9枚です。
しかし、シャフトにつくぎりぎりいっぱいまでつけてしまうと、Tバーを降ろしたときの衝撃でプレートが落ちてしまう危険が高いです。

安全を考えて、1枚分余裕を持たせておきましょう。

ハンドルのタイプ

Tバーに使われているハンドルにはいろいろなタイプがあります。シンプルなものから複雑なものまでありますが、シンプルなハンドルの方が効きやすい人が多いです。

ハンドルの両端が曲がっているタイプ

バーの両端が曲がっていて、握りやすくしたものです。バーは曲がった部分を握るだけでなく、ストレートバーとしても使えるように、全体がやや長くなっています。

両端が曲がっているハンドルと平行なハンドルの組み合わせ

両端が曲がっているバーに平行のバーを組み合わせて、引き方のバリエーションを増やしたタイプです。ひとつのバーで3種類の引き方ができます。

バーにハンドルを引っ掛けるタイプ

バーに直接ハンドルをつけてあるのではなく、フロアープーリーマシンなどで使うナローグリップのハンドルを引っ掛けて使うTバーもあります。ハンドルが固定されていないことで、自分に合った位置に合わせることができます。

ライイングTバーローマシン

ライイングTバーローマシンを使う男

Tバーの多くはバーをまたいで前傾した状態で運動します。その際、上半身を預けるものはなく、足腰で体を支えます。このパターンが圧倒的ですが、うつ伏せ状態でベンチに寝て行なうタイプのTバーもあります。それが「ライイングTバーローマシン」です。このタイプのTバーでは、上半身をうつ伏せでベンチ部分に寝かせることができるので、一般的なTバーよりも腰にかかる負担が少なくて済みます。

Tバーは反動が使いにくいこともあって、安全度が高いです。しかし、上半身をベンチに乗せているため、動きがやや窮屈でウエイトをしっかりと引き切りにくいところがあります。そのため、可動域が狭くなっているトレーニーが少なくありません。

このタイプのTバーを使う際にはトレーニングベルトを必ず外す必要があります。トレーニングベルトをしていると、バックル部分がベンチのレザーシートを痛めるからです。

まとめ

背中の発達の凄さで歴史に名を残したボディビルダーの多くがTバーを使って驚異的な背観を作ってきました。ミスター・オリンピア優勝7回のアーノルド・シュワルツェネガーを始めとして、超怪力で知られたミスター・オリンピア2回優勝のフランコ・コロンブ、近年では、ミスター・オリンピア8連覇のロニー・コールマンなど、Tバーで背中を大きくした選手が数え切れないほどいます。

特にロニー・コールマンは過去から現在までのボディビル史上、最も驚異的な背中だったと言えるでしょう。筋力も素晴らしく、Tバーではつけられる限界までのプレートをつけていました。フランコ・コロンブのフォームはTバーのお手本と言えるほど素晴らしいです。上半身を床と平行に近い角度まで前傾させた姿勢で、Tバーの先に20.5キロのプレートを7枚もつけた状態で、ウエイトを引き切ってそのまま止めていられるほどの怪力でした。重量もさることながら、このフォームが素晴らしいです。

動画:Tバーローイングのやり方!広背筋に効く3つのフォームのポイントを実演

Tバーの使い方として、よくある間違いが重量にこだわり過ぎて、上半身が立ち過ぎてしまうことです。Tバーの角度に平行になるぐらいが広背筋に一番効きます。

もともとは非常にシンプルだったTバーですが、大手の筋トレ器具メーカーもTバーの製造に参入したこともあって、構造が複雑なものや、いろいろな工夫がなされたタイプのマシンも出てきています。それにもかかわらず、現在でも最も背中を大きくする効果があるのが、最も基本的なシンプルなモデルです。実際、上記でご紹介した世界的なボディビルダーたちが使っていたTバーは昔ながらのシンプルなタイプです。

Tバーに限らず、他の筋トレ器具にも言えることですが、新しいものが必ずしも進化しているとは限りません。すでに完成していて、いじる必要がないものまで、何か新しい要素を入れようとして、かえって退化してしまうことがあります。Tバーを使う際には、シンプルなタイプがおすすめです。