筋トレ器具の中で最強なのは何かを徹底検証
筋トレ器具には多くの種類があります。バーベルやダンベルといった、フリーウエイトと呼ばれるものからマシンやケーブル系のものなど多種多様な筋トレ器具が存在しています。これらの中で最強の筋トレ器具は何かということが古くから議論されてきました。
筋トレは重量物に対して筋肉が抵抗して強く収縮することで筋肉が大きく強くする運動ですから、どのようにな筋トレ器具がその目的を効率よく実現するかが議論の焦点になります。筋トレ器具の中で最強のものは何かを検証したいと思います。
筋トレ器具最強候補
筋トレ器具の中で最強のものは何かを考えるに際して、まずは最強と名乗りを上げるにふさわしい筋トレ器具を特定しておく必要があります。筋トレ器具とひと口に言っても多種多様な器具がありますから、どこまでを最強候補とするかを決めないと議論が始まりません。
世の中にある筋トレ器具の中で、筋トレ界の歴史、過去から現在までの実績まで総合的に考慮して、筋トレ器具最強候補としてふさわしいのがバーベル、ダンベル、マシンの3種と言えるでしょう。これら3種の筋トレ器具について、それぞれの長所や短所を含めて特徴を検証してみましょう。
マシンの特徴
筋トレ器具の中で種類が多いのがマシンです。
バーベルやダンベルは構造も形も完成していて大きく変化することはありませんが、マシンは新しいものがどんどん開発されています。
しかし、新しいものが続々開発されているとはいえ、特徴としては一定した法則性があります。
軌道が決まっているので初心者でも使いやすい
マシンはケーブル系も含めて軌道が決まっています。軌道が決まっていることで、筋肉の収縮に集中しやすいので、初心者に扱いやすいというメリットがあります。
しかし、これは長所である反面、欠点にもなっています。バーベルやダンベルのように自分で重量を支えなくて済むため、神経系が鍛えられないことと、筋肉細胞の稼働率が低くなります。
運動中の負荷が均等になる
多くのマシンの特徴として、運動中の負荷が均等になるという点が挙げられます。
筋肉が伸展した状態から収縮した状態まで均等に負荷をかけられるということです。これはバーベルやダンベルではなかなか難しいことです。
しかも、近年、ハンマーストレングスマシンの登場で、スタートポジションよりもフィニッシュポジションでの負荷を最大化するものも現れました。
ターゲットとしている筋肉以外は鍛えられないものが多い
マシンの特徴として、ターゲットにしている筋肉以外はほとんど鍛えられないものが多いです。
たとえば大腿二頭筋を鍛えるレッグカールマシンは大腿二頭筋を鍛える以外には使い道がありません。ラットマシンであれば広背筋を鍛える以外にも上腕三頭筋のためのプレスダウンとしても使えますが、やはり多くの使用方法はありません。
値段が高い
マシンは総じて値段が高いことが多いです。
大手のスポーツクラブに置いてあるような業務用のマシンは100万円から200万円ぐらいします。1台だけでその値段ですから、個人が自宅で買えるようなものではありません。
場所を取る
かなり場所を取るのもマシンの特徴です。
できるだけコンパクトに設計しようという努力はしていても、それでもかなりの大きさになってしまいますからどうしても場所を取ります。
広いジムなら置くのに困りませんが、仮に自宅に置くとしたら1台でも手に余るでしょう。
ダンベルの特徴
ダンベルはフリーウエイトの一角として、最強筋トレ器具の候補です。
細かい鍛え方ができる点を含めて考えるとバーベル以上に使える種目が多いのがメリットです。
細かい動きに対応しやすい
ダンベルは片手ずつで持つために、片手でも両手でも運動できるため、細かい動きに対応しやすいメリットがあります。
バーベルほど高重量が扱えない
片手ずつで持つので、同じ動きだとしてもバーベルほどには高重量を扱えません。フラットベンチでダンベルプレスを行なうとした場合、バーベルであれば100キロで繰り返せる人が片手にその半分の50キロを持てるわけではありません。合わせてせいぜい6割ぐらいしか持てないでしょう。
バーベルの場合、ダンベルと違ってシャフトを握った両手の間がつながっているため、高重量を扱いやすいです。
高重量だとスタートポジションに持ってくるのが難しい
ダンベルの場合、高重量になるとスタートポジションに持っていくのが難しいという問題があります。
上記のダンベルプレスの場合で考えてみましょう。プレスできる重量とスタートポジションまで持っていく筋力が比例していれば自力で何とかなりますが、これがなかなか難しいです。軽いうちはいいですが、高重量になると補助者がいないとスタートポジションまで持ってこれないということが多くなりがちです。
細かく揃えると費用と置く場所が大変
ダンベルは同じ重さが2個揃って一対になりますが、それを軽い重量から重い重量まで細かく揃えるとかなり高額な金額になりますし、置く場所の確保も大変です。その意味で、自宅で筋トレをするのであれば、シャフトとプレートを組みわせて自分で組み立てるタイプのダンベルがおすすめです。
重量が足りなくなることがある
ダンベルのひとつの難点が重量が足りなくなる場合があることです。
大手のスポーツクラブで設備が良いところであってもダンベルの最高重量としては90キロあたりまでです。90キロまであればほとんどの人には足りますが、稀に非常に筋力が強い人にとっては、重量が足りなくなることがあります。
片方90キロまであってもそうですから、30キロから50キロあたりまでしか置いていないジムであればなおさら足りなくなる可能性が高くなります。
バーベルの特徴
次にバーベルの特徴を検証してみましょう。
バーベルは筋トレ器具として最も歴史が古いです。現在でこそプレートを付け替えるディスクロード式が当たり前ですが、初期のオリンピックの時代にはシャフトの両端が球状の鉄球になっていました。当然、固定式ですから、現在のダンベルを大きくしたような形だったわけです。そのような形式では扱うのがかなり不便だったでしょう。その後、プレートを付け替えるタイプが開発されたのは大きな発明でした。
高重量が扱える
バーベルの特徴のひとつが高重量を扱えることです。
自重筋トレやダンベルでは負荷が足りなくなることがありますが、バーベルの場合、そういうことは事実上ないと言えます。
スポーツクラブでよく見かけるIVANKO社のオリンピックシャフトを例に考えてみましょう。オリンピックシャフト用のプレートはゴムでコーティングされたものとペイントで塗装されたものがあります。これらのプレートは重さが同じでも厚さが違います。
ゴムでコーティングされたプレートの方がかなり厚みがあります。このタイプのプレートの20キロのものをシャフトにつけた場合、安全のためのカラーをつけるためのスペースを空けての状態で、片面に最大で7枚ずつつけることができます。シャフトが20キロですから合計で300キロです。
ペイントで塗装されたプレートの場合、これが片面9枚ずつつけられますから、シャフトとの合計で380キロになります。これだけの重量をスクワットやデットリフトなどの基本種目で使える人はほとんどいませんから、事実上、重量が足りなくなることは考えられません。
上記の例は20キロのプレートで考えた場合です。厚さが同じで直径が大きな1枚50キロの特殊なプレートを使えば理論上920キロまでになります。これはあくまでも理論上の話です。そういう特殊なプレートを置いてあるジムは少数ですし、920キロにもなるとシャフトの耐荷重量を超えてしまいますし、事実上は必要がないですが、人間の筋力をはるかに上回る重量をセットできるのがバーベルです。
重量の交換が容易
バーベルはダンベルに比べて重量の交換が容易であるというメリットもあります。
ジムでダンベルを使ってトレーニングするときに、セットごとに重量を変えるのが大変だと思ったことがあるのではないでしょうか。固定式のダンベルでセットごとに必要に応じて重量を変えるのはけっこうな手間です。
これがバーベルであれば、プレートをつけたり外したりするだけですので、ダンベルの重量を変えるのに比べてかなり楽です。しかし、重量を変えるのが楽だという点では差しピン式のマシンが最も簡単です。
多種類の種目に使える
バーベルは多くのマシンと違って多種多様な種目に使えます。工夫次第で特定の筋肉しか鍛えられないマシンとは比較にならないほどの汎用性があります。
比較的狭いスペースでも使える
バーベルは比較的狭いスペースでも使えるのも大きなメリットです。ダンベルほどではないですが、多くのマシンに比べて圧倒的に小回りが利きます。
筋力を伸ばす効果が絶大
筋力を伸ばす効果で比較すればバーベルの効果が圧倒的です。
マシンで扱える重量が伸びても、フリーウエイトでの使用重量はさほど伸びませんが、これが逆だと簡単に使用重量が伸びます。
レッグプレスの使用重量が伸びてもスクワットの記録にはさほど影響がないですが、スクワットの記録を伸ばせばレッグプレスの記録は簡単に伸ばせます。
マシンが最強だとする論者の主張
筋トレ器具としてマシンの方が優秀だとする意見があります。有名なノーチラスマシンを作ったアーサー・ジョーンズ氏がマシンの方が筋トレ効果があると強硬に主張していました。自分でマシンを開発していた方ですので、立場的な意味もあったかもしれませんが、根拠としていたのが、マシンとフリーウエイトの負荷のかかり方の問題です。
ジョーンズ氏の主張は、マシンの場合、運動中の負荷が均等にかかるのに対してフリーウエイトは負荷のかかり方に強弱があるので効果で劣るというものでした。
筋肉は収縮のためにかかっている負荷がマシンなのかフリーウエイトなのかを判断しているわけではないので、バーベルなどにこだわる必要はないというのがジョーンズ氏の主張でした。
まとめ
筋トレ器具で最強なのは何かについて検証しました。
最強の筋トレ器具が何かの結論として。2位以下を圧倒的に引き離してバーベルであることは間違いありません。
上記のアーサー・ジョーンズ氏が主張するように、バーベルなどのフリーウエイトは負荷が強いポイントと弱くなるポイントがあることは確かです。
たとえばバーベルでアームカールを行なった場合、スタートポジションから90度までが負荷が強く、90度で最大になります。そこから先は負荷が減少します。
しかし、そういう事実があるとしても、筋トレ器具として最強なのがバーベルである事実が揺らぐことはありません。
マシンと同じ動きの種目をバーベルで行なうと、神経系や筋肉細胞の稼働率が格段に高いです。それが結果として筋トレの強い疲労となって現れます。超回復を起こす効果も絶大です。これは実際に筋トレを経験してみると実感としてわかります。
論より証拠とはよく言ったものですが、過去から現在までのスーパーマッチョな人たちは例外なくバーベルを使ってもの凄い体を作り上げています。歴代のミスターオリンピアもミスターユニバースも、ミスター日本のチャンピオンたちは誰もがバーベルを使っての基本種目を中心に鍛えた人たちです。
マシンも使い方によってはかなり効果がありますが、筋トレ器具として最強は何かを考えれば、バーベルであることは間違いありません。