腓腹筋の効果的な鍛え方5選!腓腹筋の役割を知り強いふくらはぎを作る
何か競技を行っている方でもなければ、普段はそれほど注意を払わないのが、腓腹筋、ふくらはぎの筋肉です。
でも、腓腹筋は、歩行をはじめとする足の運動にいろいろな形でかかわっていますし、下半身のボディメイクを行う場合でも、ポイントになるパーツです。
ただし、腓腹筋はトレーニングによって傷みやすい筋肉でもあるのです。正しい鍛え方やトレーニング後のケアの方法などを紹介します。
腓腹筋はどこの筋肉か
腓腹筋はふくらはぎの筋肉で、上はひざの関節と、下は足首の関節とつながっています。
ひざ関節と足首の関節をつなぐ形で、ふくらはぎ全体をすっぽりと覆っているため、比較的大きな筋肉になります。
腓腹筋の役割
ひざ下の運動をつかさどる
ひざから足首までをつなぐ腓腹筋は、ひざ下の運動を行います。ひざの曲げ伸ばしと、足首の曲げ伸ばしが主な役割です。
ひざの運動に関係した筋肉といえば、太ももの大腿筋がよく知られていますが、腓腹筋もひざの動きを支える重要な筋肉なのです。
腓腹筋は足首を動かすための筋肉でもあります。特に、歩行の際に、足底で地面を後ろに蹴る動作をサポートします。そのため、日常の動作としては、歩く、走る、それからしゃがむ、立ち上がるといった、動作を支えています。
跳躍の運動
跳躍、つまり飛び跳ねる動作もまた、腓腹筋が大きな役割を担っている運動です。
実際に飛び跳ねてみるとわかりますが、足の裏で地面を強く蹴る動作と、ひざを大きく屈伸させる動作が必要です。このふたつの動きをスムーズに連動させて行うのが、腓腹筋の働きです。
また、飛び上がったあと、地面に再び着地するときは、足首やひざを適度に曲げ、衝撃を逃がすという働きもあります。
血流
ふくらはぎは「第2の心臓」と呼ばれます。それは、下半身に送られた血液を、再び心臓に押し戻す役割があるため。
人間は基本的に直立の姿勢で生活するため、心臓とひざ下とでは高さにかなりの落差があります。
足に送られた血液は、そのままではスムーズに戻ることができないので、ふくらはぎの筋肉、腓腹筋が、足にたまった血液を心臓へ押し上げるポンプの役割を担います。この働きが「第2の心臓」なのです。
腓腹筋の効果的な鍛え方
では、さっそく腓腹筋を鍛えてみましょう。
ネットやトレーニングの本では、さまざまな方法が紹介されています。その中から、負荷の軽いものから比較的重いものまで、5つの効果的な鍛え方をピックしました。
エクササイズの動作自体はシンプルですから、体力や体調に合わせてアレンジもしやすいと思います。
1.ウォーキング
あまり運動をしていなくて体力に自身がない方、お年を召した方は、まずウォーキングを行うのも良い方法です。
前述のように、腓腹筋は歩行や走る動作をつかさどっていますから、ウォーキングだけでも筋肉には刺激になります。
とはいえ、漫然と歩くだけでは効率が良くありません。つま先で地面を強めに蹴るように意識してみましょう。これだけでも腓腹筋を刺激することができます。
慣れてきたら、歩行のスピードを上げたり、歩幅を大きく取って歩くと、負荷が強くなります。
2.体前倒れ運動
- 体をやや前方に倒し、壁に手をついて体を支えます。
このとき、足の位置よりも腰が前にくるようにします。 - そのまま片足を上げます。床についている足のふくらはぎに負荷がかかります。
足元がすべると危ないので、滑りづらい場所で行ってください。
簡単なエクササイズですが、しばらく続けていると腓腹筋が刺激されていることがわかります。
3.スタンディングカーフレイズ
腓腹筋を鍛えるエクササイズとしてはいちばんポピュラーなものです。どのサイト、本にも載っており、腓腹筋トレーニングの王道といってもいいですね。
- 段差を作り、足の1/3ほどを乗せて立ちます。段差は、あまり高いとよろけたときに危ないので、階段や平たい箱などがよいでしょう。
できれば、壁、てすりなど、つかまって体を支えるものが近くにあるとより安全です。 - ふくらはぎの力でかかとを持ち上げていき、つま先立ちになります。このとき、手すりなどにつかまっている手の力を使わないように、注意です。
- ゆっくりとかかとを下ろして最初のポジションに戻ります。
両手にダンベルを持って行うと、より強い負荷をかけることができます。さらに強化したい方は、上記のエクササイズを片足で行う方法もあります。
4.シーテッドカーフレイズ
3.のカーフレイズを座って行うエクササイズです。解説をわかりやすくするためにスタンディング型を先に紹介しましたが、かかる負荷はこちらの方が弱いです。
- 背筋を伸ばしていすに腰掛け、足の裏を床につけます。いすの高さは、太ももと床が平衡になるくらいがちょうどよいです。
- スタンディングカーフレイズと同じように、かかとを引き上げ、下ろします。このとき、太ももの上にダンベルなどのおもりを乗せ、負荷を加えます。
おもりは体力に合わせて選んでください。ダンベルのほか、水を入れたペットボトルや書籍など、いろいろなものを利用することができます。
シーテッドカーフレイズは、負荷をいろいろと選択することができることと、ひざに負担をかけるリスクが少ないことがメリットです。
5.アンクルホップ
ジャンプ運動も、腓腹筋のトレーニングには有効です。アンクルホップはその中でもっともシンプルなエクササイズです。
- 両足を肩幅くらいに開いて立ち、その場でジャンプをくり返します。
- ポイントは、足首の屈伸だけを利用して飛ぶことです。ひざの屈伸や腕、上半身で反動をつけないようにします。
着地時間はできるだけ短く。ちょうど縄跳びをするときのように、すばやくリズミカルに飛んでください。
通常のアンクルホップに慣れたら、片足だけで跳んだり、手にダンベルなどを持って飛ぶなど、バリエーションをつけることができます。
負荷を上げたくなったら、ボックスジャンプに移行してもよいでしょう。段差を用意し、腰を落とした状態から台(箱)の上に一気に飛び乗ります。
箱を高くしていくと大きな負荷をかけることができます。
ボックスジャンプは、いきなり行うとひざを傷めるリスクがあります。必ず、アンクルホップなど軽いエクササイズからはじめ、徐々に体を慣らしてください。
回数は、少し少なめを設定した方がよいと思います。
腓腹筋は疲労がたまりやすい筋肉です。早く効果を出そうと無理をすると、筋肉の痙攣や怪我につながる危険がありますから、体力に余裕がある、くらいでストップするのがちょうどよいです。特にエクササイズ開始直後は、軽すぎるくらいの回数から始めてください。
腓腹筋を鍛えることで、どんな効果があるのか
足のラインにメリハリがつく
足をきれいに見せるためには、太い部分と細い部分のメリハリが重要です。
太ももは大きな筋肉があるため、全体的に太くなります。そのためふくらはぎがしっかり発達していないと何となくアンバランスな印象に。
腓腹筋を強化することで、流れるような足のラインが演出できます。
血流改善
前述のように、ふくらはぎは「第2の心臓」と呼ばれ、血液を心臓に押し戻す大切な役割を担っています。
腓腹筋を鍛えることで、この血液を押し戻すポンプ機能が強くなりますから、全身の血流を促進する効果があります。
副産物として、冷え性やむくみの改善も期待できます。
足首の安定性アップ
足首の動作をサポートしている腓腹筋が強化されると、足首の動きが安定します。
歩行中のつまづき、日常、ちょっとしたことでふらつくといった、転倒につながる症状を予防します。
運動能力の向上
腓腹筋の発達は、足首、ひざなど、足の動作を向上させます。
特に、ランニングや球技など、足を使う運動を行っている方は、パフォーマンスの向上と密接な関係があります。
腓腹筋が衰えると…?
いちばんには、歩行能力の低下につながります。
ひざを上げたり、歩行の際に後ろに蹴りだす力が低下するため、どうしても歩幅がちいさくなります。
また、蹴りだす力に加えて、つま先をあげる力も低下するので、歩き方がすり足のようになってしまいます。
足を引きずって歩くと、ちょっとした障害物、段差につま先が引っかかり、転倒しやすくなります。よろけたときに足首が安定しないので、なおさら、体を支えづらくなる、というのも、転倒の一因です。
若い方は影響が少ないですが、年を取ってからの転倒は、骨折や寝たきりにつながることもあるため、かなり危険な事故といえるでしょう。
腓腹筋を鍛えておくことで、こうした事故はかなり防ぐことができます。
腓腹筋トレーニングの注意点
腓腹筋は速筋繊維(速筋、白筋)で、瞬発力に優れた筋肉です。
でも、逆に言うと長く続く運動には不向きで、疲労しやすい筋肉ともいえます。
ちなみに、速筋繊維が疲労しやすいのは、ミオグロビンやチトクロームといった、有酸素性の代謝を行うタンパク質が少ないためです。
負荷の強いエクササイズを行っていると、気づかないうちに筋肉に疲労がたまり、前述のように痙攣や怪我につながるリスクがあります。
トレーニング後はストレッチを行ったり、疲れた部分をクールダウンするなどして、疲労物質の排出に努めてください。