筋トレグッズで握力を効果的に強化する方法
握力というのは筋力のシンボルのひとつです。握力強化のための筋トレグッズが数多く販売されているのを見ても、握力に対する関心度の高さがうかがえます。
中学校や高校の体力測定で握力が強い人が注目されたのを覚えている人が多いのではないでしょうか。
成人男性の平均的な握力は50キロほどですが、筋トレを熱心に行なっている人でも握力が凄く強い人はあまりいません。筋トレ愛好者でも平均値とさほど変わらない人の方が多いです。むしろ筋トレをしている割に握力が弱い人の方が多いぐらいです。その理由のひとつが握力をちゃんと鍛えていないからです。
今回は主な筋トレグッズをご紹介するとともに、握力を効果的に強化する方法について解説します。
握力を強くする筋トレグッズ
握力を強化するための筋トレグッズが数多く開発されています。握力全体を鍛えるものから個々の指ごとに鍛えられるようなものまで、いろいろと工夫がされたものが販売されています。握力強化のための代表的な筋トレグッズを見てみましょう。
フィンガーグリップ
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ギターのベーシストやピアノを弾く人が握力を鍛えるために開発された筋トレグッズです。細かく指ごとに鍛えられるようになっているのが特徴です。
ギターやピアノというのは指を意外に酷使しますから、筋力がある程度は必要だということで開発されたものです。
リストローラー
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腕を床に並行にした状態で保持して重りを手のひらの力で巻き上げるリストローラーは手のひらを鍛えることで握力を強化します。前腕や手首も強化されます。
この器具でのトレーニングはかなりきついですから、根気がいります。
ハンドグリッパー
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ハンドグリッパーは握力強化のための筋トレグッズの定番です。
握力が弱い人から驚異的に強い人まで対応できるように多種類の負荷のものが用意されています。
握力が20キロの人から160キロまでのモデルがあります。その最強クラスのものを完全に閉じられる人がいるから驚きです。
レバレッジバー
シャフトの先に重りをつけて手首や前腕を鍛える器具です。
前腕の太さと握力は密接に関係していますから、握力の強化に効果的です。使い方を工夫することで、手首を多角的に鍛えられます。
スーパーグリッパー
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普通のハンドグリッパーとは違ったアプローチで握力が鍛えられるようにできていますが、バネでの負荷の関係上、凄く握力が強い人には物足りないかもしれません。
シャフトが太いダンベル
ダンベルのシャフトを握力強化のために直径を50ミリにしてあるダンベルです。
バーベルのシャフトの太さが直径28ミリですから、50ミリというのがいかに太いかがわかると思います。この太いシャフトを掴んでトレーニングすると握力の強化につながります。
グリップボール
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握力強化のためのグッズではないにもかかわらず、握力強化のためによく使われているのが軟式野球のボールとテニスボールです。
握力が強い人がよく行なっているのが、これらのボールをいつも握るトレーニングです。そこに着目して作られたのがグリップボールという筋トレグッズです。見た目はテニスボールにそっくりです。
握力計
握力を強化するための筋トレグッズではありませんが、握力を鍛えた結果、強くなったのかを計測するために握力計が欠かせません。
握力計には針式のものとデジタル表示のものが販売されています。計測できる数値としては最高で110キロまでのものがあります。
握力が強くない理由
筋トレ愛好者であっても握力が強くない理由を考えてみたいと思います。
握力が強い人は案外少ない
握力が強い人というのは案外少ないです。成人男子の平均が50キロほどですが、スポーツ選手や本格的に筋トレを行なっている人でもその数値を大幅には超えていないことが多いです。
テレビの番組でプロ野球の選手たちの握力を計測したのを見たことがありますが、各球団の外国人4番打者たちでもなかなか70キロを超えませんでした。
ボディビルの全日本上位選手が85キロを計測したり、かつてのミスター日本優勝者で90キロを計測したことがありますが、ボディビルダーのように最も筋トレを本格的に行なっている人たちでも、全体としてはそれほど握力が強くありません。
握力が強くない理由
ボディビルダーでも握力がさほど強くない理由として考えられるのは本気で握力を鍛えていないから、ということです。先に挙げたかなりの握力の選手にしても、握力をわざわざ鍛えているのではなく、普段の筋トレを通じて間接的に強くなったに過ぎません。
仮に、大胸筋や脚、背中を鍛えるのと同じ熱意をもって握力を鍛えたとしたら、ボディビルダーの平均値はかなり違った数字になるでしょう。
もうひとつボディビルダーや筋トレ愛好者の握力が見た目ほど強くない理由として考えられるのが、トレーニング中に使うリストストラップやパワーグリップの存在です。リストストラップやパワーグリップというのは背中のトレーニングなどのときにシャフトやマシンからグリップが離れないようにするための筋トレグッズですが、これらを使うことで握力を使う場面が劇的に減っています。
前腕の太さと握力
前腕の太さと握力は正比例はしないまでも密接な関係があります。前腕が太い人はやはり握力が強いことが多いです。
しかし、ハンドグリッパーの最強モデルの160キロのものを完全に閉じられる人の前腕は決して太くありませんから、個人差が激しいとも言えます。
手の大きさとの関係
手が大きい人ほど握力が強い傾向があります。手が大きい人は体全体が大きいことにも関係しているでしょう。
手が非常に大きい人の場合、握力を正確に計測できないことがあります。握力計というのは、枠の中に手を入れて握る構造になっていますが、手が非常に大きい人だと、この枠に手が入らないことがあります。
筋トレ器具でもグッズでも標準的な大きさの人を想定して作られていますから、そういうことが現実に起きてしまいます。極端に大きな人を基準に器具を作ったとしたらコストが合わないということでしょう。
かつて、大相撲の横綱だった北尾光司氏が握力を計測しているのを見たことがありますが、身長2メートルで体重160キロの北尾氏は手が大き過ぎて握力計に入り切らず、人差し指から薬指までの3本で握力を計測していました。
それでも99キロを出しましたから大したものですが、仮に小指まで全部入れた状態で計測できていたら、100キロはるかに超えたでしょうし、計測不能だったでしょう。
握力の強化法
握力の強化法について解説します。握力を強くするには筋肉を鍛える以外に、手のひらや指の筋肉が力を発揮できるように神経系も鍛える必要があります。
手と指を鍛える
握力を強くするには手と指をよく鍛えることです。
前腕を鍛えることでも握力が強くはなりますが、もっと直接的に使われるのは手の平の筋肉と個々の指の筋肉です。
ハンドグリッパーなどで鍛える際にも、手全体で鍛える方法と併用して、個々の指ごとに鍛えるようにすると効果的です。そのためには、ハンドグリッパーも軽い負荷のものも揃えておくといいでしょう。
リストローラーを使う際にも、手全体で全部の指を使うパターンと使う指の本数を減らしたパターンを併用してやってみましょう。そうすることでピンポイントで細かく指を鍛えることができます。
釘を曲げる練習をする
釘を曲げる練習などと聞けば、かなり変わった方法だと思われるかもしれませんが、握力を強くするのに、この釘を曲げる練習というのが意外に効果的です。もちろん、太い釘を曲げることはなかなかできませんが、細い釘から始めるとかなり強くなります。
釘を曲げる練習で握力が強くなるのは、細かい指の筋肉に負荷をかけることで、指先の神経系が強くなるからです。
空手の極真会館の創始者である故大山倍達先生は、人差し指、中指、親指の3本の指で10円玉を曲げることができました。単に握力が強かっただけでなく、指先の神経も強かったからこそできた芸当です。
握る力と離さない力
握力と言うと、握る方の力ばかりが注目されがちですが、掴んだものを離さない力を鍛えることでも握力が強くなります。
体操の選手は総じて体格は小柄ですが握力が普通に80キロぐらいあったりします。吊り輪や鉄棒など、掴んだものを離さない練習を繰り返していることと関係があるでしょう。
ロープを腕の力で登る
消防士やレスキュー隊の人たちがロープを掴んで腕の力だけで登る訓練をしていますが、この訓練が握力を強くします。ボディビルダーはそういう訓練をまったくやりませんが、仮にそういう練習をしたらかなり握力が強くなるでしょう。
初代タイガーマスクとして知られる格闘家の佐山聡氏はこのロープを掴んで腕だけの力で登ったり降りたりする訓練をしたことで、握力が105キロにまでなったそうです。佐山氏は腕相撲が非常に強いことでも知られていました。
リストストラップやパワーグリップを使わない
特別に握力のためのトレーニングをしなくても、筋トレで使うリストストラップやパワーグリップをやめるだけでも握力が強くなるでしょう。リストストラップやパワーグリップというのは手の力を使わずに背中を鍛えられるのはいいですが、本当に必要かどうかをよく考えずに使っている人が少なくありません。
握力が本当に弱い人には必要だとしても、なくても問題ない人まで無条件に使ってしまっている例が多いと思われます。
パワーグリップなどのグッズを使わないでトレーニングするだけでかなり握力を使う場面が増えます。それが結果的に握力を強くするでしょう。
まとめ
筋トレを真剣に行なっている人でも、握力に関してはあまり熱心に鍛えているとは言えません。ボディビルダーでも握力が意外に弱いのはそのためでしょう。握力に絡んだ個々の筋肉が小さいことも関係しているでしょう。
握力というのはベンチプレスやスクワットのようにジムで力を証明する場面が少ないこともあってか、真剣に鍛えることが少ない傾向が強いです。大胸筋や腕の筋肉のように視覚的にすぐに見えるものではないことも影響しているでしょう。
しかし、一般人が驚くほどのマッチョな体をしていながら握力が弱いというのではいかにもパッとしない話です。
筋トレをよく知らない人たちにがっかりされてしまうかもしれません。見た目がマッチョであるほど、その見た目に負けない握力にしておきたいところです。