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正しい筋トレメニューで陸上競技のパフォーマンス能力を高める方法

投稿日: 2018年02月02日

陸上競技場

2020年の東京オリンピックまで2年半と迫っています。東京オリンピックでも最も注目されるのが陸上競技であることは間違いありません。

近年の陸上競技が目を見張る発達を遂げたのは選手たちが筋トレで鍛えたこととかなり大きく関係しています。しかし、陸上競技とひと口で言っても、100メートルなどの短距離走からマラソンなどの長距離走、走り幅跳びなどの跳躍競技、砲丸投げなどの投擲種目と、実に種類が多いです。筋トレで陸上競技のパフォーマンス能力を高めるには、それぞれの種目の特性に合わせて筋トレメニューを組む必要があります。陸上競技の記録を伸ばすための筋トレメニューについて解説します。

陸上には筋トレが必要不可欠

身体能力の差がそのまま勝敗に直結する傾向が強いのが陸上競技です。他のスポーツでも身体能力は重要ですが、陸上の場合はとりわけその傾向が強いです。なぜなら、陸上競技の種目は速く走る、高く跳ぶ、遠くへ投げるといった競技だからです。これらは、技術も重要ですが、基本になる身体能力がないと勝負になりません。

オリンピックでの陸上競技や世界陸上などで日本人がなかなか活躍できないのは技術的な問題よりも絶対的な身体能力の差です。身体能力の中で外国勢に特に負けているのが筋力ですから、陸上競技には筋トレが必須です。

専門競技の練習さえしていれば、必要な筋力がつくものとされていた時代がありましたが、スポーツ科学が発展したことで時代遅れの考え方になりました。現代では筋トレで補強運動をするのが常識です。ただでさえ外国選手たちに筋力で負けているのに、筋トレをしなかったらさらに差が広がってしまいます。

陸上競技には筋トレが不可欠とは言え、それぞれの種目によって、集中的に鍛えるべき筋肉が違います。次に、種目によって必要な筋トレメニューの組み方をご紹介しましょう。

短距離走のための筋トレメニュー

短距離走

短距離走は陸上競技の華です。2020年の東京オリンピックでも最も注目されるでしょう。100メートルを始めとして、200メートル、400メートルリレーと、華やかな種目が並んでいます。短距離走のための筋トレメニューを組むに当たっては、以下の点に注意しましょう。

脚の鍛え方

短距離の選手がまず鍛えるべきは脚です。短距離を全速力で走るわけですから、まずは脚が弱くては勝負になりません。

脚は大きく分けて大腿部前面の大腿四頭筋、大腿部裏側の大腿二頭筋、ふくらはぎがありますが、これらすべてをしっかりと鍛える必要があります。

大腿四頭筋の強化にはスクワットが最も効果的です。スクワットでしゃがむ深さについては、脚を太くする上ではフルスクワットがおすすめですが、陸上競技の世界ではスクワットの深さについて、膝の角度が90度になるところまでと指導されていることが多いです。膝を痛めないためと、膝の角度が90度になるポイントが最も大腿四頭筋に負荷がかかるとされているからです。

しかし、この説は必ずしも正しいとは言えません。下で弾ませたりすればたしかに危険ですが、しっかりと受けてから立ち上がるのであればフルスクワットは危険ではないからです。

大腿四頭筋に最も負荷がかかるポイントにしても実際には個人差がかなりありますので、膝の角度が90度までと指導しているのは形式的に過ぎます。

フルスクワットが危険なのだとしたら、ウエイトリフティング競技など成り立ちませんし、かつて100メートルの世界記録9秒79を出したモーリス・グリーン選手などは180キロでフルスクワットを軽々と繰り返していました。

ただ、フルスクワットが向いていない体型というのはあります。傾向としては背が高くて膝下が長い人です。こういうタイプの人はスクワットで深くしゃがみにくいですし、無理にフルスクワットにすると不自然に体が前傾してしまうか、そもそも深くしゃがめないこともあります。そういう人はフルスクワットにこだわるのではなく、膝の角度90度あたりにしてみるといいでしょう。

体の裏側の筋肉を重点的に鍛える

短距離の選手は特に体の裏側の筋肉を鍛えるべきです。体の裏側の筋肉というのは、背中、大殿筋、大腿二頭筋といった筋肉のことです。スプリンターには全身の筋肉が必要ですが、体の裏側の筋肉が特に重要です。

陸上短距離では黒人選手が圧倒的に強いですが、彼らの体を見てよくわかるのが、背中から大殿筋、大腿二頭筋の発達の凄さが目立つことです。

彼らはもともと体の裏側の筋肉が発達しやすいです。それに対して日本人の場合、体の前面の筋肉の方が発達しやすいので、意識して体の裏側の筋肉を鍛える必要があります。黒人選手たちが体の裏側の筋肉が発達しやすいのは民族的な特性ですから、この差ばかりはどうしようもありません。

しかし、筋トレを行なうとどうしても体の前面の筋肉の方を一生懸命トレーニングしてしまいがちです。前面の筋肉ももちろん必要ですが、日本人の場合、前面の方が発達しやすいので、比重としては裏側を重点的に鍛えるのが短距離走のスピードを速くします。

腹筋を多角的に鍛える

陸上選手全般に言えることですが、腹筋を多角的に鍛えるのが競技能力の向上に役立ちます。シックスパックとして一番目立つ直腹筋だけでなく、上体を横に曲げたりひねったりする腹斜筋も鍛えましょう。腹斜筋は外腹斜筋や内腹斜筋に分かれています。

直腹筋はシットアップだけでなくマシンでも鍛えることができます。腹斜筋を鍛えるマシンは直腹筋のためのマシンほどには普及していませんが、筋トレをしているジムや体育館などにマシンがあればマシンで鍛えるのが効率的です。

マシンがない場合はシットアップ台を使ってバーベルのプレートを持ったまま、腹斜筋を鍛えることになります。腹筋を多角的に鍛えると言っても、種目数としては直腹筋1種目、腹斜筋1種目で十分です。

腸腰筋を鍛える

短距離走では特に脚を前方に上げる動作が重要ですが、この動きを強化するにはスクワットなどで大腿四頭筋を鍛えるだけでは足りません。脚の前面にある大腿四頭筋は大腿二頭筋と連動して地面を蹴る動きに強いですが、股関節を支点にして脚を前方に振り上げる動作を強化するには腸腰筋をよく鍛える必要があります。

腸腰筋は体幹部の深いところにあるインナーマッスルです。腸腰筋という1つの筋肉なのではなく、大腰筋、小腰筋、腸骨筋という3つの筋肉のセットのことです。この3つの筋肉の中で小腰筋は、大腰筋から分かれている筋肉で、半数以上の人には存在していない筋肉ですから、腸腰筋と言えば、大腰筋と腸骨筋とで構成されているものだと考えておけば大丈夫です。

腸腰筋を鍛える方法としては、レッグレイズ、ハンギングレッグレイズが効果的です。レッグレイズは筋力が弱ければ、仰向けに寝た状態から始め、筋力が強くなったら、シットアップベンチに傾斜をつけて行なうといいでしょう。

ハンギングレッグレイズはチンニングバーにぶら下がった状態で行なうレッグレイズですが、筋力が普通のレッグレイズよりも筋力が必要です。ハンギングレッグレイズはチンニングバーに両手でつかまって体を支えるため、腕が疲れる欠点がありますので、レッグレイズとディップス兼用のマシンを使えばさらに効率的に腸腰筋を鍛えられます。

上半身を鍛えることで推進力が増す

短距離走だと、下半身だけ鍛えればいいと考えがちですが、上半身もよく鍛えることで推進力が強くなります。

オリンピックや世界陸上に出てくる外国人選手たちはかなりよく鍛えられた上半身をしています。肩にしても腕にしてもある程度は鍛えるのが望ましいですが、ボディビルダーのように極限の発達を目指す必要はありません。

長距離走のための筋トレメニュー

マラソン レース

マラソンのようにほとんど持久力だけが勝負なような種目でも筋トレは必要です。マラソンで一番要求される身体能力はスタミナであることは間違いないですが、やはり筋力がものを言う場面がレース展開の中で出てきます。筋力がないとレース途中でライバルに引き離されたときに追いていくことができません。

マラソン選手が鍛えるべき筋肉

筋トレでメニューを組むときには全身をバランスよく鍛えることが推奨されるのが一般的ですが、陸上選手の補強運動して考えた場合、全身をバランスよく鍛えるのではかえって無駄になることがあります。特にマラソンの場合、全身の筋力が要求される種目ではありません。

マラソンで主に必要な筋肉は脚、背中、腹筋です。筋トレメニューではこれらの筋肉を中心に鍛えるメニューにしましょう。ただし、もの凄く鍛えるのではなく、ある程度の筋力にするというぐらいの認識で十分です。

速筋と遅筋の関係

筋肉は速筋と遅筋で構成されています。速筋は瞬発力に優れた筋肉であるのに対して遅筋は持久力に優れた筋肉です。これらの筋肉の比率は個人差がありますが、遅筋の比率が高い人ほどマラソンに向いています。速筋は鍛えると肥大して大きくなるのに対して、遅筋は鍛えてもほとんど大きくならないのが特徴です。

速筋を鍛えるためには1セットあたり5回から10回ぐらいの繰り返し回数で限界まで追い込むのが効果的ですが、遅筋の場合はこの繰り返し回数が15回から20回になります。マラソンの筋トレメニューではこれらのどちらも鍛えるメニューにすべきです。

具体的には筋トレ種目の中で速筋を鍛えるためのセットと遅筋を鍛えるセットを組み込むことになります。例えばスクワットの場合、ウォームアップセットを終わらせてから、トップの重量で5回から10回で行なえるセットを2セットから3セット行ない、その後に重量を大幅に減らして15回から20回のセットを2セットほど行なうようにすればいいでしょう。

必要以上に筋肥大させないように鍛える

筋肉は筋トレで鍛えれば肥大して大きくなります。筋肉が大きくなることが筋トレ効果のバロメーターなわけですが、マラソン選手の場合、必要以上に筋肥大させないように鍛える必要があります。筋肉が大きくなると体重が増えてしまいますから、42.195キロも走るマラソンでは必要以上に筋肉がつくのはマイナスです。

オリンピックや世界陸上などの大きな大会にしても、学生の大会にしても暑い夏の季節に行なわれますから、無駄に体重が重いと余計にレース中にへばってしまいます。へばることに関して言えば、体重が軽ければ軽いほど良いというわけでもありません。体脂肪率が低過ぎたりすると、スタミナがもちません。個々人にとってのベスト体重がありますから、その体重から大幅に増減しないように調整しましょう。

跳躍種目のための筋トレメニュー

跳躍種目 走り幅跳び

跳躍種目には棒高跳び、走り幅跳び、三段跳び、走り高跳びがあります。それぞれの特性が違います。スクワットなどの基本種目で強くすることは当然として、それ以外にも個々の種目の特性に合わせた筋トレメニューにするのが記録向上の近道です。

跳躍種目で強化すべき筋肉

跳躍系4種目に共通して必要なのが踏み切りの強さです。跳躍種目では必ず踏み切りが重要になります。棒高跳び、走り幅跳び、三段跳びの3種目は前方に踏み切るのに対して、走り高跳びでは後方に踏み切るという違いがありますが、踏み切りの強さが勝負を決します。

踏み切りを成功させるにはタイミングも重要ですが、基本になるのはやはり安定した脚力と背筋力です。そしてそれを支える腹筋力が必要です。背筋力が強くても腹筋力が弱いとパフォーマンス能力が落ちます。

踏み切りを強くするには脚全般をバランスよく鍛えることです。脚の前面と裏面、大殿筋、ふくらはぎもしっかり鍛えるメニューを組むようにしましょう。

背筋力を鍛えるメニューの中にハイクリーンを入れると効果的です。背中の筋肉は大きく分けて広背筋、腰背筋、僧帽筋に分かれます。それらをすべて鍛える必要がありますが、ハイクリーンは僧帽筋、脊柱起立筋、腰背筋にかけてを効果的に鍛えることができます。

しかも全身運動なので、脚力と背筋力を連動させて瞬発力を発揮する練習にもなります。この連動力とでも言うべき身体能力が跳躍競技では大きな武器になります。

腕の筋力も必要なのが棒高跳び

跳躍競技では腕の筋力が必要な場面はあまりありませんが、棒高跳びについては例外です。棒高跳びでは、高い上空でバーを握った状態で体全体をコントロールするだけの筋力が要求されます。上空で体全体を支えるためにはかなりの筋力がないとできません。

腕の筋力だけでなく、上半身全体の筋力もないと体をうまくコントロールできません。棒高跳びが専門競技なのであれば、腕を含めた上半身全体をしっかりと鍛える筋トレメニューを組みましょう。

投擲種目のための筋トレメニュー

投擲種目 槍投げ

陸上競技には投擲種目が4種目あります。槍投げ、円盤投げ、ハンマー投げ、砲丸投げの4種目です。これらの種目で記録を出すには全身の筋力が不可欠です。陸上競技の中で最も筋力が記録に直結するのがこれらの投擲種目です。

全身を高重量で鍛える

投擲種目のための筋トレメニューは全身をバランスよく高重量で鍛えるメニューになりますから、ボディビルダーやパワーリフターのような筋トレになります。ベンチプレスやスクワット、デットリフトといった基本種目で使用重量を伸ばして行くほど投擲の記録が伸びるでしょう。

鍛えるべき筋肉としては、全身の筋肉ということになります。脚、胸、肩、背中、腕、腹筋のすべての筋肉を強化することが投擲種目では記録を伸ばします。腹筋にしても直腹筋だけでなく、体を回転させる腹斜筋もしっかり鍛えましょう。円盤投げやハンマー投げでは特に回転力が重要です。

ボディビルダーのような筋トレになるとは言え、筋肉の形を良くするための種目は必要ありません。筋力を伸ばすための種目に特化したメニューを組むようにしましょう。

体重を増やす筋トレメニューにする

投擲種目では体重が重過ぎることが問題になることはあまりありません。体重が重過ぎて動きのキレが悪くなるのでもない限り、投擲種目では体重が重い方が有利に働くからです。実際、オリンピックや世界陸上に出場している投擲種目の選手たちは非常に大きな体をしています。

十種競技のための筋トレメニュー

走り高跳び

十種競技というのは文字通り10種もの種目を2日に分けて、1日目に100メートル、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400メートルの5種目を行ない、2日目に110ハードル、円盤投げ、棒高跳び、槍投げ、1500メートルの5種目の計10種目を行ない、総合点を競う実に過酷な競技です。キング・オブ・スポーツと呼ばれるのもうなずけます。

短距離、跳躍、投擲のすべてを網羅していて、筋力、スピード、スタミナのすべてが要求されます。個々の種目で見ればスタミナ系ではないようでも、わずか2日で10種目もこなすわけですから、かなりのスタミナが要求されます。しかも、これらの10種目で出されている記録もかなり高いです。単独競技での世界記録には及ばないにしても、各種目の日本記録に迫る記録である場合もあり、かなりのハイレベルです。

十種競技日本代表の右代啓祐選手は身長196センチで体重95キロの堂々たる体格をしています。筋力も非常に強くて、ベンチプレスで190キロを挙げているほどです。身長196センチの長身であることを考えると驚異的な強さです。右代選手はかなり大きな体格ですが、世界陸上やオリンピックに出ている各国の十種競技代表選手たちは皆が似たような体格ですから世界レベルの凄さがわかります。

十種競技のための筋トレメニューは投擲系、短距離系、跳躍系の筋トレを合わせたような内容になりますから、質量ともにかなりハードな内容になります。

まとめ

陸上競技は種目数が非常に多いです。大きく分けて、走る種目、跳躍種目、投擲種目に分かれていますが、それぞれの中でさらに細かく分かれています。それぞれの種目ごとに強化すべきポイントがありますから、競技種目によって必要な筋トレメニューがかなり違います。マラソンの選手が砲丸投げの選手のような筋トレメニューで鍛えるのは合理的ではありません。

陸上のための筋トレは1年中同じメニューをこなすのではなく、試合日程に合わせてピークを作れるようにメニューを組むようにします。陸上選手が筋トレを行なうのは試合でのパフォーマンス能力を高めるためです。筋トレだけを行なっているのであれば、1年中同じような強度やボリュームでも問題ないですが、陸上のための筋トレであれば、試合の日程に合わせてピーキングする方が効果的です。

陸上競技の試合は春から夏にかけて行なわれることが多いです。春よりも前に行なわれる東京マラソンのような例もありますが、陸上競技の最高峰であるオリンピックや世界陸上は真夏ですし、国体にしても10月です。

オリンピックは4年に1回、世界陸上は2年に1回という特殊な事情がありますが、学生の大会や国体などを含めて考えても陸上競技のシーズンは春から夏、遅くても秋の初めまでと言えます。これらのことから陸上競技のシーズンは競技がよく行なわれているオンシーズンと秋から春前までのオフシーズンに分けることができます。

陸上競技で記録を伸ばすにはオフシーズンをいかに過ごすかが重要です。オフシーズンは筋トレの量を増やして身体能力を伸ばす時期です。

オフシーズンの筋トレで筋力を高めておいて、試合が行なわれるオンシーズンには筋トレの量を減らして専門競技の練習量を増やします。筋トレと専門競技の練習の比率を調節しながら試合の当日にベストパフォーマンスができるように調整しましょう。